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オリエンティア Advent Calendar

オリエンテーリングを語ろう。

日々のトレーニング(走ることのすゝめ)

こんにちは、オリエンテーリングアドベントカレンダー12日目担当の佐野萌子です。

ゆるい記事を書いてほしいと言われたのでゆるい記事を書きます。

具体的には日々のトレーニングや走る関連のことです。(宮西さんのすばらしい文章のあとに書きにくいですが…わたしは走ることが好きなので 笑)

 

はじめに

 わたしのことを知らない方も多いと思うので、まずは自己紹介から。

京都女子大学2年生、オリエンテーリングを始めて1年半です。

高校までは陸上部で長距離をやっていました。ボーイスカウトもやっていたので、中学の時に1回だけ、極寒の箕面(激斜)ロゲイニングに参加したことがあります。たしか中1の時で、その時初めてE カードを持ちました。(←まだフォトロゲじゃなかった時代)不思議な機械を使ったという印象が強くて(あと寒かった)記憶によく残っています。

 最近のことでいうと、スイスJWOCに日本代表で行かせていただきました。集合写真があれば、その中で一番小さいのがわたしです。スイスでは2週間もオリエンテーリング漬けの日々を送ることができて楽しかったです。

インカレでは、まだ成績を残せていません…ですが、先週末(先々週末?)の関西ミドルセレに通ったので春インカレに向けて頑張ります!

 

では本題に…

 

トレーニングをするメリット

オリエンテーリングは読図、走力、判断力…と色々な要素から成り立つスポーツです。走るのが速ければ必ずしもオリエンが速いというわけではありません。

ですが、トレーニングで体力をつけておくといいことはけっこうあります。

例えば、体力があれば練習会や合宿でたくさんメニューがこなせます。一定のレベルまではオリエン経験を積めば積むほど上達していくので、早くオリエン上手くなりたい人はまず体力をつけるといいと思います。(←とくに女子は)それに、山でオリエンできる機会が土日に限られている人も多いのではないでしょうか。限られた時間をフル活用するには、体力をつけておくことが大切だと思います。

で、手っ取り早く体力をつけられるトレーニングといえば、「走る」だと思います。

 

では、どんな風にすればいいのか

 今までもトレーニングしてきた人にはあまり参考にならないかと思います…これからやってみようかなという人向けです。

あと、体力面に絞って書きますが、体力だけでなくオリエン技術もトレーニングで磨きましょう。

 

1.距離について

わたしの今の走行距離は土日のオリエンを合わせて月間130~160kmです。だいたい1回のトレで10km走るので2日に1回ぐらい走っています(走るの好きとか言っておきながら、思ったより走ってなかった)

この距離まで伸ばすのに1年生の前期期間(4~7月)をかけました。部活を引退してから受験が終わるまでの5ヶ月間、全く走らなかったうえに体重も増えていたので、一から始めて徐々に増やしました。

急に距離を走ると体がついていけず、ケガや故障(←オーバーワークにより足が痛くなる)につながるので時間をかけて走行距離を伸ばしましょう。目安は 前月の走行距離×1.2 の範囲内らしいです。

 

2.走る場所

これは好みでいいと思います。強いて言うなら、アスファルトは足に負担がかかるので地面がやわらかいコースも開拓しておくといいかもしれません。

わたしは鴨川沿い(等間隔に座るカモップルで有名?)を走ることが多いです。信号がなくて車が通らない、土や芝生の部分がある、ランナーが多い、景色がきれいという点でポイントが高いです。唯一残念なのは距離表示がないことです。ガーミン持ってない&スマホ持って走らないので、google mapで距離計算をしています。ロードは景色が変わって楽しいですが、グラウンドがあればなーと思うこともあります。

余談ですが、東京の石神井公園も気に入っています。2km弱の周回コースで距離表示もあり、適度なアップダウンと景色がころころ変わるところが好きです。

お気に入りのコースを探してみてください。

 

3.トレは計画的に

わたしは週末のオリエンを見越して、先に1週間の予定を決めています。アバウトですがこんな感じの軸↓があって、細かい内容は土日の大会の重要度や練習会の目的、疲労感で決めています。

月、火:徐々に上げる 水:頑張る 木:落とす 金:調整

それから、必ず走らない日も作っています。まあ、毎日走る人のほうが珍しい気もしますが(笑) 続けていくうちに体力はつくので、自分が続けられる程度でコツコツトレをしたらいいと思います。「継続は力なり」です。

 

4.色々なトレ

続けるためには楽しくないと!ということで、今までやったトレ(やってないのもある)や工夫を紹介します。普通に走るのに飽きたら参考にしてください。はじめの3つは練習のアレンジであって楽しいかは分かりません…。

  • ビルドアップ(徐々にペースを上げる。キロ5→キロ4’50”→キロ4’40”みたいに)
  • インターバル(ダッシュ→ジョグを繰り返す。追い込み用の練習なので誰かと一緒にするのがおすすめ。わたしは京大トレの時以外しようと思わない。)
  • 坂ダッシュ(短時間で高負荷という効率のいい練習。京大には秘伝トレという400mの坂ダッシュが存在する。これはやったことがある。)
  • トレラン(不整地を走る練習に。地図(O-mapがなければ市販のものでも)を持ってサムリーディングの練習も。※)
  • エアポストオリエン(オリエン上達への一番の近道。わたしはまだやったことがないが、セレ前に東山でやっている人がいるらしい。)
  • 駅メモラン(駅メモ=スマホGPSで最寄り駅にアクセスし、駅を収集するアプリ。これをお供にロングジョグをすること。※※)
  • ラーメンラン(1000円札を持っておいしいラーメン目指して走る。食べ過ぎると帰りが地獄。※※※)

比叡山トレラン(2016/11/1)

9:45バプテスト病院スタート→11:00ケーブル比叡着。

登山口以外で人に会わなかったが、霧の中で牡鹿に遭遇、帰り道でサル2匹に威嚇された。はじめは晴れていたのに山頂付近は薄暗く、濃い霧に覆われていて、一人で来たことを後悔した。帰りはまた晴れて、気持ちよく走ってたら道を間違えて予定外のルートに。地図とコンパスを持ってきていてよかった。(約15km)

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↑道を間違えて一回下山してしまったので再入山した。

 

※※駅メモラン(2016/9/23)

15:30スタート→17:40ゴール。市営地下鉄東西線(東山六地蔵 10駅

電車好きというわけではなく、収集癖があるので駅メモにはまってしまった。(無課金だからセーフ)このトレは、市営地下鉄制覇イベントを走って達成しようと、3限終わりに突然思いついてやってみた。急に思いついたからこれも一人で。六地蔵(地図の一番南)まで順調で、さあ帰ろうと思ったら伏見の山塊を切るコース(いちおう鞍部だけど…)で死にそうになった。そこは自力で越えたが、京女OLCの懇親会に遅れそうだったので、結局京阪に課金して2.8km(紫部分)電車に乗ってしまった…(笑) (19.7km+2.8km電車)

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↑右周り。赤い線に被ってしまったが北から南へは地下鉄のライン上を走った。

 

※※※きらめきラン(2016/11/28)

京都にはラーメン激戦区の一乗寺という町があり、そこの「夕日のキラメキ」というラーメン屋さんに学科の友達と食べに行くことになった。でも、最近運動不足だし、ラーメンは太りやすいし、まずいな…ということで、走っていくことにした。(友達は自転車で)帰りはおなかが危ないかと思ったが、食べた後に5分歩いてから走ったら余裕だった。(13km)

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↑ルートの西の川が鴨川。右はその日食べた鶏白湯塩ラーメン。

 

こんな感じです。

わたしは食べるのが大好き(食物栄養学科)なので、こういう食べ物関係の企画ランは楽しみのひとつです。他にも31日のサーティワン31%OFFを狙って、サーティワンランをしたり、おいしいパン屋さんを求めて自転車で一人旅をすることもあります。

他に楽しいトレをしている人やアイディアを持っている人がいたら、ぜひ教えてください。

 

5.シューズ、W-up&C-down

長くなったので終わりにしようと思いましたが、大事なことを書き忘れていました。

シューズの選び方とアップとダウンの大切さです。

シューズはランニング用のものを使い、外反母趾やケガなどを予防するために自分の足に合ったものにしましょう。足幅が広い人向けのシューズはアシックスとミズノに種類が多い気がします。サイズ感は、靴を履いてつま先を上げ、かかとをトントンとした時に、つま先に1cmほど余裕があるものがいいと教えてもらいました。選ぶ時に店員さんに見てもらうといいと思います。

それから、アスファルトなど硬い地面を走ることが多い人は、クッション性重視のものを選ぶと足の負担が減ります。ある程度走れるようになり筋肉がつけば、軽い靴でもいいとは思います。偏平足の人は(土踏まず(アーチ)があまりなくて、故障につながることもある)インソールを入れると改善されます。

 

次にアップとダウンについて。

これからの季節、寒いのでトレの時もオリエンの時もしっかりアップをしましょう。不整地は捻挫しやすいのでケガ防止のためにも、いい走りをするためにも大切です。オリエンのミドルだったら3km程度しかありません。体を温めておかないと、動きが良くなってきたなという頃には終わってしまいます。

高校の時のアップはジョグ→動的ストレッチ(もも上げ、スキップなどなど)だったので、わたしは今もオリエン前はそんな感じでやっています。走る前は座ってやるストレッチより、動きのあるものがいいそうです。冬場のアップは筋トレだったりもしました。(←ジョグもしてた)筋トレはけっこう温まります。室内でもできるので、外に出る前から体が温まっていいかもしれません。

ダウンは忘れがちですが、疲労を残さないためには終わってすぐにしたほうが効果的です。きつい練習をした日は、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かってほぐしてあげるといいでしょう。

 

おわりに

長々と書いてしまいました…最後まで読んでいただきありがとうございました。

わたしはスポーツの専門家ではないので、中高6年間の部活で学んだことを書いています。なので絶対に正しいと信じられるとちょっと困ります(笑) オリエンのためにトレーニングしてみようかなと思ったら、みなさんも自分で少し調べてみてください。

 

では、また大会などでお会いしましょう (^^)/

 

 

 

 

 

 

 

月間走行距離50kmでもインカレ入賞する10の方法

おい誰だよ陳腐な啓蒙書みたいなタイトルつけたの・・・

 

 自己紹介

はいこんにちは、東北大オリエンテーリング部OB1年目の宮西優太郎(@iwahage)と申します。

公開が遅くなってしまいましたがAdvent Calendarの9日目を担当します。

 

本題に入る前に、僕のことを知っている人も多いかとは思いますが一応自己紹介をしておきますね。オリエンテーリングは中学の時から始めて、高校、大学の間は受験期間を除いてずっと続けてきました。自慢ではないですが、インカレはロング2回、ミドル3回、スプリント1回入賞しています。自慢ではないですが。内3回2位のれっきとした(?)シルバーコレクターです。特に自慢するわけではないんですが、国際大会はJWOC2010, 2011, 2013とWUOC2016に出場経験があります。自慢じゃないですよ。

 

1秒を削る

えーさて、先日のインカレロング、僕はオフィシャルとして参戦しました。現役を退いて初めてのインカレでしたが、あの熾烈な争いを目の当たりにすると見てるだけで興奮しますね。最高でした。でもちょっと悲しくなったのは、自分も現役の時あれくらい努力していればな、と後悔したことです。

僕はそんなに走るのは好きじゃなくて、走る系のトレーニングはかなり少なめでした。走るのめんどくさいんです。走れば体力つくし、速くなるのは分かっててもやっぱり走りたくありません。だって夏は暑いし冬は寒いんだもん!この気持ち、分かりますよね?

でもでもでもやっぱり速くなってシード選手に選ばれてネタ動画で会場沸かせたいし、ネタ紹介パネルをTwitterに上げて”いいね”もらいたい。。。(ふぁぼくれ)

そんな人、多いと思います(みんなそうでしょ)

でも僕はあの手この手を駆使してなんとか走らずに速くなろうと試みました(いや走れよ) その結果、なんとインカレミドル2014、スプリント&ロング2015では月間50kmも走らずにインカレ準優勝にこぎつけたのです(もっと走ってたら優勝してた)(よいこのみんなはちゃんと走ろう)

 

と、いうわけで。走らなくも速くなる小ネタ集書きます。

例えば、ベストなレースをしてもトップから5分遅くて、トップの選手はだいたいインカレ入賞レベルだとします。ミドルセレの場合、たぶんトップから5分くらいなら通るか通らないかぎりぎりのラインでしょう。基礎的な技術と最低限の体力はあるとして、この5分=300秒をいかにして走らずに削るかを考えてみることにします。

正直インカレのレベルでは、ミドルはあまりタフさを必要としません。だから意外と体力つけるよりも細かい動作で1分1秒を削っていったほうが速かったりします。いや、もちろん速く走る体力も必要ですよ。

走れる人はこれをやらなくていいかといえばそうではないです。ここ数年のインカレを見てるだけでも1位と2位が秒差だったことは何度もありました。きっとみなさんも1秒の大切さを実感してるはずです。そのレベルだと、多少の体力差はナヴィゲーションのスピードがボトルネックになってあんまりタイム差に反映されないような気がします。他のあらゆる手段でもタイムを削っていったほうがいいのは確実です。

 

1. パンチングの動作をスムーズに行う

今までいろんな人のパンチング動作を見てきましたが、速いタイムで走る人でもうまくない人は多いです。ふつう1コースで20コントロールくらいあるので、1回1秒短縮できるだけで20秒も速くなっちゃうのです。

みなさんのクラブに電池の切れた使わないユニットやカードは転がってませんか? もしあったら練習したほうがいいですよ。あの戸上直哉選手もインカレに向けてひたすらパンチの練習をしてたって聞きました。室内でもできますしね(これ重要)

広い場所があるならいろんな方向からいろんな速度で進入していろんな方向に脱出してみてください。どの向きが得意とか苦手とか、自分の癖も分かるかもしれません。

 

2. ディスクリプションの確認を効率的に

毎回毎回コントロールについてからディスクリプションを確認してる人いますが、あれは絶望的に遅いのでなんとかしたほうがいいです。

僕は走りやすい&ナヴィゲーションでロスする可能性が低い区間で3つを番号だけ覚えるようにしています。ショートレッグが続く場合は次のコントロール1つだけ覚えてても間に合わないので。これも全体で20秒くらいは短縮できるのではないでしょうか。

リレーなんかだといちいち地図開かないといけないですし無理してスピード上げる場合も多いので難しくなります。ミドルではデフケース必須ですよ。

まあでもThierry Gueorgiouは番号確認しないみたいですから、正しいコントロールについたと自信があるなら確認しなくてもいいかも知れません。この人たまにペナってますが。

 

3. 先読みする

先輩に先読みした方がいいよって言われても具体的にどのタイミングでやればいいのか分かりにくいのかもしれません。

ズバリ先読みをすべきときは、次のチェックポイントまでの距離が十分にあり安全かつ自信を持って走れる区間です。例えば長い道走りとか、見通しが良いときとかです。そんなに何レッグも先まで読む必要はありませんが、今のレッグが終わるまでに次のレッグのルートチョイスができているといいですね。

一朝一夕で身に付くものではありませんが、普段地図読み練習をするときにどの区間なら読図しやすいかを考えるといいでしょう。

 

4. 読図走をする

先読みするには読図走やんないとだめですよね。読図走の練習はだれでもやってますが、後輩たちをみてるいまいち効率的にできてないな、と思うことがあります。そこで僕がいつも気をつけていることを紹介します。

まずはサムリーディングで現在地のあたりを押さえておきます。

次に視線を上げて向かう方向を決めます。これによりナヴィゲーションの負荷を減らし(=安全に進める区間を準備する)地図を読むための時間を作ります。またオリエンテーリング中に走りながら地図を読むにはある程度走りやすい地面を選ぶ必要があります。

で、今把握している情報を整理し、欲しい情報を考えておきます。(例えば、この沢を越えた先のヤブをどこで切るべきかの情報が欲しい、とか)

ここでようやく地図を見て必要な情報を拾います。一度では読み切れないことが多いので、1秒程度の読図を数回繰り返して必要な情報を得ます。

ただ漠然と地図を読もうと思っても情報量が多すぎて処理できないので、準備をしておくことと細かく分けることが大事ですね。先読みじゃなくても走りながらナヴィゲーションできるようになれば止まる回数がぐっと減るはずです。1レッグで5秒減らせるだけでも100秒削れます。すごい。

 

5. ルートプランは時間をかける

ルートプランは重要です。というか、僕はルートチョイスが苦手なので時間をかけるようにしてます。

ミドルでも最近はロングレッグがあることが多いですよね。まあロングレッグがなくても勝負レッグみたいなものがいくつかあると思います。そういうレッグではじっくり考えて選んだ方が速い、ということが少なくありません。

自分の場合、ショートレッグはコンパスでバシッと決めますが、300m以上になってくるとしっかり右、真ん中、左の3つのルートは最低限考えてからチョイスをするように心がけてます。読み切れてないときはコントロールで止まってでも読みます。こういうとこはゆっくり丁寧に考えた方が結果的に速いです。ミスはなくてもちょっとしたルートの違いで10秒くらいすぐ違ってくるんですよね。自分がミスしない範囲でできるだけ登りや距離が少ないルート、走りやすいルートを選びましょう。

 

6. コントロールが見えてから着くまでの時間を有効活用する

特別にヤブかったり隠されたコントロールでなければ、20〜30m手前からフラッグが見えます。この距離だとだいたい10秒くらいかかると思います。読図走ができる前提なのですが、アタックの10秒でかなりの地図が読めると思いませんか? というかかなり読めるようになるまでトレーニングしてください()

1レッグ全部プランまでするのは厳しいかもしれませんが、それまでの先読みと合わせてルートチョイスと脱出方向くらいは決めておきたいですね。

実はコントロールにつく前に脱出を考えておくのはすごく重要で、コントロール手前で脱出方向が分かっていればより広い視野で見ることができ、スムースに脱出できます。脱出方向が90度違った!とかも防げるわけです。

 

7. 他のランナーを利用する

こいつクソかよ、とか思わないでください。追走するんじゃなくて、利用するんです。必ずしも他の選手が正しい方向に進んでるとは限りませんが、自分の行き先と似ていたら利用します。前を走る選手がヤブに引っかかっていたり崖ですべっていたらそこが通りにくいと分かりますし、難なく走っていたらその後ろをいけばいい。アタックのあたりで前の選手が方向を変えたらコントロールが見えたのかもしれないので自分でも確認します。結構使えますよ。

ただし忘れてはいけないのは、ナヴィゲーションの主体は自分であること。相手はあくまでも利用するだけで依存してはいけません。これを気をつけるだけで快適に追走ができます。

 

8. コンパスを使わないで整地する

コンパスなくても整置できるようにしましょう。整置するためたけにコンパスを見るのは遅いです。針が動くのを待たないといけないですから。もちろんコンパスを使った方がいい場合もありますが、コンパスを待っていられない場面も多いはずです。針が止まるまでの0.5秒が惜しい人は整置練習しましょう。

昔僕が整置練習とか直進練習に使ってた地図がこれです。

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これ使って部屋でくるくる回ってました。インドア派なので。

 

9. リスクマネジメントはしっかり

走れない人にありがちなんですが、がんばって走りすぎてあまり考えてなかったからミスったという人。よく走る人にもいますが。

体力の有無にかかわらず、自分のできることとできないことを把握してルートプランを立て実行するのが大事ですよね。

1分1秒の争いをしているという意識を持ってできるだけミスがなく速いルート取り、ナヴィゲーションをするべきです。そうじゃないと走れる人たちに勝てません。

リスクマネジメントをしろというのは決して安全なルートを通れというわけではありません。全体を通してもっとも速くなるようなルート、プランをしてほしいのです。僕にもまだ難しいんですが、まずは自分がどういうスキルを持っていて、どれくらいの時間をかければどれくらいの精度で実行できるかを知っておきましょう。そこから自分のスタイルとか、得意不得意とかが分かってくると思います。

 

10. 応援してもらう

ネタが尽きてきたのでこんなのも入れときました。実際応援してくれると速くなりますからね。

 

 おわりに

以上、10の方法でした。全部やったら5分くらい速くなるでしょ(雑) いつもうちの後輩たちに言ってることになっちゃったかも。

オリエンテーリングの練習と言えば、走力トレ、地図読み、実践練習くらいしかやったことないかもしれませんが、こういった1秒を削る練習をしてみると分単位で速くなるはずです。でもここに書いたことだけじゃなくて自分で考えて削れるとこを探すのも必要だと思います。闇雲に練習するんじゃなくて、きちんと自分と向き合ってください。

最後にもう一回言っておきますが、これをマスターしたからといって走らなくていいわけはではないです。ちゃんと走ってね。

 

 

番外編 11. 練習は裸足で走る

騙されたと思って靴脱いでみよう。

 

 

 

 

おまけ(OCADのはなし)

OCADのことを書いてほしいと言われてる気がするのですこしだけ。

最近はほとんどOCAD触ってないので昔部内誌に載せた内容そのまま抜粋しただけの内容です。読んだことある人は飛ばしてくださいな。OCADのノーマルモードで透明を設定したときの話です。簡潔にいきますよ。

 

ノーマルモードでは色の画面(ここではカラーテーブルと呼ぶ)から透明を設定できます。デフォルトでは100になってます。

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数字が0に近づくほとその色が薄くなり、下にある色が濃くなります。下にある色とは、カラーテーブルでより下にある色のことです。

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こうやって設定すると…

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こんなかんじでシアンが薄くなって透けました。

透明の設定をしたときに表現される色がどうなるかを調べると、一般的に以下のようなことが言えると考えました。まずはカラーテーブルのそれぞれの数字を文字で置き換えます。

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で、Tiが表現される色のCMYKとすると一般式はこんな感じです。

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ぜひ透明を使ったお絵かきに応用してください。

 

いや、こんなことはどうでもいいんです。色を複数用意して透明を同じに設定してみてください。試しにシアンとマゼンタの透明の値を同じにしてみました。

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どうですか?透明になりましたか?

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実はこれ、シアンとマゼンタが重なってるところが透明にならないんです。いろいろ試してみると、上下で隣り合わせの色が同じ透明の値が設定されていると全く透明にならないということが分かります。なので近い透明の値を設定したい場合、全く同じ値ではなく少しずらす必要があります。こんな感じです。

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こうやって設定するとちゃんと透明になってくれます。

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透明の値が同じだと透明にならないのはおそらくOCADのバグだと思われます。みなさんOCADでお絵かきをするときは気を付けてください。あ、地図描くときは別に気にしなくていいですよ。OCADは奥が深いなぁ。

さすがにざっくり書きすぎて何が起こってるのかついてこれないと思うので、興味があったら聞いてくださいな。

 

おわりに②

なぜか二部構成になってまとまりがなくなってしまいました。よくばりすぎ。ほんとは軽量化についても書きたかった!けどまた何かの機会で。

オリエンテーリングで1秒を削るのも、ファストパッキングで1gを削るのも似てる気がします。こういうのが好きなんでしょうね。

この企画、読んでて面白いし自分で書くのも楽しかったからぜひまたやりたいな。

 

それでは。

 

ストリートマップ作成と特色表示のすすめ

オリエンティア Advent Calendar 2016 - Adventar

12月8日担当の坂野翔哉と申します。東京理科大学3年・東海高校卒です。

記事何書こうかな-とアンケートを取ったところ大学クラブの話とかインターハイ運営も人気がありました。が、日本学連の記事には人気がありませんでした、わたくし広報なんですが。。。なお広報部は後継者を募集中です。

結局本記事はオリエンテーリングマップの作成方法についてなんですが、Advent Calendarには今後さらなる地図オタクさんが控えていらっしゃいますのでその導入ということで書かせていただきたいなと。

自己紹介的に作図遍歴を述べますと第1回東京理科大学大会「にいじゅくみらい公園」、葛飾松戸ロゲイニング第36回早大OC大会「両総用水」で地図を描きました。かさ増しすると茶屋が坂公園、可児やすらぎの森、深良財産区、戸山公園、早稲田ストリートマップシリーズもちょろっと関わってました。競技責任者もしばしば。最近もOCADばっかり触ってます。そういうわけで第37回早大OC大会!2/19(日)新宿駅から1時間、「大地沢」を航空レーザー測量成果GPSを導入して完全独自リメイク!こちらからどうぞ→37th-oc-comp

 

ストリートマップの作成

自分で地図を作って持って走る、山に行かなくても近所でオリエンテーリングできちゃいます。オリエンテーリングでもなんでも、どこでもナビゲーションスポーツができます。さらに、作った地図を沢山の人に走ってもらえたら、それはもう面白いことです。
西村さんの記事の通り、いまは大変優秀なソフトウェアとハードウェアがオリエンテーリングのために利用できます。近所を走るのにも地図があるだけで楽しい。地図を読むことは楽しい!じゃあ作りましょう!これから書く私の方法では、慣れて運が良ければ10分でストリートマップ作れます。なお、すでに私が細々と売ってるマニュアルの抜粋が多いです。持ってる方ごめんなさい。加筆もあります。

 

国土交通省国土地理院基盤地図情報

基盤地図情報ダウンロードサービスでは、道路・建物・水域、そして航空レーザー測量成果などが得られます。要登録。無料。基盤地図情報を使用して作成した地図の営利目的の使用などには国土地理院への申請と承認が必要らしいです。申請は測量成果ワンストップサービスが簡単便利です。

基盤地図情報ダウンロードサービスに登録しログイン
基盤地図情報基本項目JPGIS(GML)形式をクリック
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③ 地図から選択→地図から必要なエリアを選択

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⑤ 選択完了→別の基盤情報を追加で②の画面に戻る
基盤地図情報数値標高モデルJPGIS(GML)形式をクリック
⑦ 5mメッシュを選んで、③と同様にエリアを選択
⑧ 2種類の基盤情報をまとめてダウンロード(zip形式)

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Vector Map Maker

VectorMapMaker国土地理院が公開している測量成果をOCADで使えるように変換してくれるフリーソフト。マニュアルを見るといろいろな地図が作れるようだ。

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①さきほどダウンロードしたZIPファイルを解凍してできたフォルダを「基本設定」で指定します。まとめてダウンロードした場合は地理院と標高データフォルダが同じになりますがそれでも大丈夫です。国交省は使ってないので無視。書き込みフォルダはお好きに。この画面は「描画設定」タブですが、「標高凡例間隔」タブの入力数値が等高線間隔になります。

②用紙サイズ、用紙方向を適当に設定。完成地図の縮尺やサイズとする必要はなく、テレイン周辺まで含む大きめのサイズに。以下の「地図で指定」でも範囲選択ができる。
③「描画設定範囲」の「地図で指定」で、ダウンロードしたファイルがきちんと読み込まれていれば該当エリアの市町村界が表示されます。この際、縦横の分割をするとファイルが分かれてOCADで読み込めないので、サイズは縮尺や用紙や選択範囲を変更して対応しましょう。座標系は適切に選択、東京なら第9座標系と書いてあります。地図名は完成後のファイル名になります。
④上図画面右側、「国土地理GML」で必要なデータ項目をチェック。オリエンテーリングマップなら水域、道路縁、歩道、建物で十分かと思います。
⑤「処理開始」をポチッとな!数分待ちます。読み込みデータフォルダ内のファイル数が少なければ早いです。(設定名).dxfというファイルが指定したフォルダにできているか確認しましょう。

 

OCADでdxfファイルの読み込み

オリエンテーリングクラブなら誰かは必ず持ってるソフトのOCADです。画像データにコースを組んで印刷するだけじゃもったいないです。私か使っているのが9なのでそれを前提に進めます。Windows10で使っています。

①OCADで新規作成を開いて通常の地図、orienteering map 1:10000を選択
プリセット記号が違うだけで何を選んでも大丈夫ですが、いろいろと設定済みのJSOM記号セットがあれば便利です。CAMap研究会でOCADの購入や記号セットのダウンロード可能です。

②ファイル→インポートでさきほどのdxfファイルを選択。以下の画面になると思います。

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③オフセットはGPS成果や別の基盤地図情報など、今後他のdxfを今後インポートするときに使えばピッタリ合わさるというもの。初回は新しいオフセット。

オリエンテーリングマップは磁北を真上にしなければならないので、テレインの磁北と真北の差を知るために国土地理院 地磁気測量でテレインにおける偏角を調べます。今月発表されたばかりの2015.0年値で東京は7.31 °(度)でした。日本は西偏だから磁北は真北から西向き約7度ずれているということ。dxfデータは真北が上になっているため、オフセットの角度には-7.31が入ります。地磁気ですが、意外と侮れない経年変化があります。地球って凄いですね。

⑤完成地図の縮尺はいま決断しましょう。あとで変更するとなにかと面倒です。dxfデータ作成のときと値が違ってもOCADが勝手に調整してくれます。

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でました!私の住んでいる葛飾区金町です。これは東西およそ2km。西部の空き地は大学が建つ前の工場跡地ですね。どうやらデータはそう頻繁に更新されるわけではなさそうです。このデータは葛飾松戸ロゲイニングに使用しました。

 

O-mapの場合。薄紫が基盤地図情報。随分修正はされていますが、航空レーザー測量成果で生成した等高線はかなりの精度があります。すこし前まで崖の左右で等高線の本数が違うなんてザラだったくらいですから。f:id:orienadvent:20161205090143j:plain

2016の両総用水はもともと2012年NishiPRO作のものを更新しただけなのですが、この西村さんの等高線が絶妙でとても真似できるものではないのです。表現の素晴らしさに感動しました。

 

航空レーザー測量成果は多くの地域で利用可能なので、お暇な方はgoogle mapや基盤地図情報を使ってテレインハントでもどうぞ。新規テレインの予習もできてしまいます。

国土地理院 基盤地図情報の整備状況(5mメッシュDEMを選択)

 

f:id:orienadvent:20161205083828p:plain

そして山川さんも凄い 。

 

OCAD作図

読み込んだ灰色の線は選択すると「013建物L」だとか「等高線10m」などの名前が付いているのが分かります(画面下に表示される)。灰色線をクリック→記号ボックスの記号をクリック→ツールバーの「記号の変更」または「すべての記号の変更」により、OCADで設定された建物や等高線などのオブジェクトへ置換していきます。この灰色線たちはレイヤーという機能で、レイヤーごとに選択して置き換えや、置き換えの対称ファイル作成もできます。

 

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「にいじゅくみらい公園」作成中の図です。渉外で頂いた下絵画像を読み込んで、等高線をなぞっています。すごい精度の下絵でした。渉外は作図のためにも重要です。

 

ここまでできるともう地図ができたようでウキウキしてくると思いますが、道の肌色をどうやって塗るのか多くの人が途方に暮れます。他のオブジェクトは周囲をレイヤで囲われているので変換すれば内部が自動で塗られますが、道はそうはいきません。このときに便利なのがカラーテーブルです。メニューバーの記号から色をクリックして下さい。

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この表の並び順で色が重なります。つまり、建物の黒色や私有地の緑色より下に舗装路の肌色を下げればいいのです。また、地図記号を透過して判読性を高めるための特色設定というものがあります。いまメニューバーの表示欄はノーマルモードになっていると思います。これを特色表示に変えてみると肌色と緑色が混ざってしまいました。つまり、ノーマルモードでは上の色が優先されて下の色が完全に覆われますが、特色表示では下の色は上の色に混ざります。

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歩道を塗るならちょっと面倒ですが、これでストリートマップが完成すると思います!あと磁北線は特別→グリッド線で垂直線を作成・角度0で描きます。この要領で特徴物を増やし、色を塗り、体裁を整えればほとんどO-mapですね。

※レイヤの線が途切れているせいで一括変換だけではうまく面状に色が塗れていないことがあります。そういうときは手動で線をつなげるか、なぞって編集していくしかありません。

 

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このように私有地や建物を全部塗ったものを印刷するとシアンやイエローのインクだけが大量消費されます。住宅密集地や常時立入禁止の記号の使用をおすすめします。

 

特色表示

まず下の2つの図を見てください。f:id:orienadvent:20161205064252j:plain

 

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上がノーマル表示、下が特色表示です。パープルの下が透けて見えるだけでなく、等高線も透けて藪の境界が等高線に隠れてしまっても判読可能になっています。混ざりあった色が良いですね。気品と高級感があります。でもただメニューバーの表示欄を特色にすればいいというわけではありません。まずこんなことが起こります。

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混ざりあっちゃいけない色が混ざってしまいました。ここでカラーテーブルの混色してほしくない色の特色欄に0を書くと

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こうなります。

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緑と黄色は混ざらず緑が優先されます。水色は茶色とだけ混ざる。茶色の特色欄は0を書かなかったので黄色や緑と混ざる。実際の地図ではこれ以外にもいろんな色同士が混ざりカラーテーブルが複雑になるため、なるべく境界をきちんと重ならないように描くことも大切です。この場合は黄色と緑は境界を重ねなければ特色の設定は不要ですが、水系や等高線など線状特徴物の設定は避けられません。

ストリートマップでのカラーテーブルの一例です。下から舗装路<私有地<水域<建物<等高線として、私有地・水域・建物の特色欄Brownを0にすると舗装路が混色されませんが、等高線のBrownは影響ありません。建物の特色欄の黄色と緑を0にすることで私有地との混色を避けられます。

 

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この加工をしていないと

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 ノーマルモードだと建物の形が等高線で隠れてわかりにくいです。

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特色表示の素晴らしさは伝わりましたでしょうか。特色表示を使用して印刷された地図は多くはないのですが、ぜひ利用していただきたい機能です。

 

最近見つけた小ワザ

いくら見やすい特色表示でも見づらい箇所は存在するのですが、コントロール番号ってたまに邪魔になりませんか?特にスプリントやリレーのスペクテーターエリアで顕著です。文字に白い縁取りを作るとくっきりとして見やすくはなりますが、透明化ができないので覆われた情報が読み取れなくなりました。が、透明化と白フチを両立することに成功しました。

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白フチなら記号の編集にて輪郭タブからwhite・線を選択するとできます。コースをエクスポートして原図に重ねた後、文字を全て選択して記号化して下さい。すると新しく作った白フチが実は文字の内側と外側の2パーツに分かれていました。内側を選択して削除すれば上記のようになります。つまり、馬鹿みたいに面倒です。特にコース数が多いリレーでは現実的じゃないです。

 

よくある質問

Q:等高線の直線と曲線を切り替えて1本に繋げたい

A:一度切ってオブジェクトの末端からShiftキーを押して描くか、2本を近づけて合体。

Q:道沿いに耕作地があるので道の線をなぞりたい

A:任意の位置でCtrlキーを押して、任意の位置までのトレースが可能

Q:コントロール円の円弧切りやレッグ線切りがしたい

A:はさみマークで切断。クリックするとその位置で分割される。ドラッグするとその範囲でオブジェクトが削除されて分割される。

Q:でかい崖を表現したい

A:崖のヒゲを伸ばします。鉛筆マークの図形化により、ヒゲ1本1本を編集します。

 

おしまい

長くなってしまいましたが、とりあえずこれくらいです。オリエンテーリングマップの作図は角度とか色とか印刷とかデザインとかめちゃめちゃ奥が深く、時間もかかり、いま作成中の「大地沢」も試行錯誤中です。私は有り難いことに、作図に関しての助言を明日に控えるiwahage氏からいただきました。こうした試行錯誤だとか成果が共有・評価できたらもっと地図作成や更新が盛り上がるんじゃないかなあと思いながら記事を書きました。オリエンテーリングマップを評価管理するような仕組みがあると良いのですが。

まだ数枚の地図しか手がけたことのない若輩者ですが、マッパーがオリエンテーリング界に増え、良質なテレインが増えてくれることを願っています。

トロント(および、カナダ)オリエンテーリング事情

トロントオリエンテーリングクラブ 加藤弘之 

会社の都合で、トロントに二年間滞在している加藤です。この記事が出る一か月後には、日本に帰国していますが、ちょうど良い機会ですので、カナダ・トロントオリエンテーリング事情について紹介したいと思います。異国の地でのオリエンテーリングを経験して感じた、日本の良さ、日本でも取り入れるべきこと、カナダの魅力など、つづりたいと思います。

自己紹介

最初に、自己紹介させていただきます。2002年卒の東大OLK出身です。同期には、Lapcenter管理人で有名な的場さんがいます。他大の同期では、O-support代表の小泉成行さんがいます。永遠のライバルです。日本にいる間は、ES関東Cに所属してました。学生時代は、インカレ2位を3回取るなど立派なシルバーコレクターでした。卒業後、全日本勝ったり、アジア選手権勝ったりしましたが、旬な時期は短かったような気がします。

海外遠征大好きで、これまでにオリエンテーリングをしたことのある国・行った回数は、Sweden・3回、Norway・1回、Denmark・1回、Great Britain・1回、Latvia・1回、Ukrain・1回、Czech・4回、Hungary 1回、Bulgaria・2回、台湾・1回、中国・1回、香港・1回、USA1回、カナダ数回です。いろんな国や、いろんな大会に出ました(JWOC99,2000、ユニバー2002、WOC2006-2010、WC2005、EOC2008、WG2009、O-ringenなど)。そんな海外オリエンテーリングマニアが、カナダのオリエンテーリング事情を紹介したいと思います。

トロントとは?

まず、トロントの基本情報を紹介します。トロントは、五大湖の一つであるオンタリオ湖の脇に存在する北米第4の都市です。人口260万人で、ほぼ東京の1/4程度、横浜市よりも少ないぐらいです。オンタリオ州の州都で、カナダ最大の経済都市です。特徴は、移民が多く流れ込んでいる都市です。世界で暮らしやすい都市、第二位に選ばれるほど、暮らしやすい良い都市です。治安も北米の街の中では、かなり低く(犯罪率は、北米のほかの都市の半分以下、でも、日本の3倍ですが)。町は清潔で、ごみはほとんど落ちていません(ホームレスはたまにいます)。気候は、夏場は、30度を超えますが、冬場は、最高気温が。特に、オンタリオ湖に面しているため、冬場に猛烈な風が吹くので、外に5分もいると死を身近に感じられます。冬の気候以外では、とても暮らしやすい良いところです。トロントには、MLBNBA、NHL、MLSのチームがあるので、一年中スポーツ観戦が楽しめる良い都市です。

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グーグルマップ、ざっくりカナダの大きさを感じてみるために、日本地図を重ねてみた。思ったより、日本長いな。面積は、比べ物にならないですね。

トロントオリエンテーリングクラブ

そんなトロントに二年間住むことになり、オリエンテーリングクラブを探しました。カナダはオリエンテーリングが盛んとは言えませんが、それでも大きな都市にはオリエンテーリングクラブが存在します。トロント周辺にも、トロントオリエンテーリングクラブ(TOChttp://torontoorienteering.com/wp/)、Don’t get lost(という名前のクラブです)、Starsなどのクラブがあり、それぞれ少人数ながらも集まってオリエンテーリングやアドベンチャーレースなどをしています。TOCの総在籍者数は、良くわからないのですが、ウクライナ系移民、北欧、チェコからの移民など、本国でオリエンテーリングをやっていた人が集まって活動しているという印象で、それぞれ本国で培った運営手法(地図調査、コースセットなど)を駆使して、運営されているのが特徴でした。年会費は、30ドルなのですが、練習会参加費割引、水曜日の練習会が無料など特典は満載でした。主な活動内容は、①水曜夜の練習会、②年に二回の練習会③総会(飲み会)の3つです。

 Wednesday-night

まず、一番考えさせられたのが、5月~8月の間の毎週水曜日の夜にトロント近郊の公園、森林公園にて開催されていた練習会です。運営者が、地図を印刷して、ポストの代わりに、赤いスズランテープを巻いただけの簡易な運営で、 毎回、20人程度が集まるぐらいの小規模なもので、皆思い思いの時間に来て走って、三々五々いなくなるので、あっさりとしたものです。それでも、オリエンテーリングのクラブたるものオリエンテーリングの練習をする機会があってこそです。毎週、顔を合わせるということがクラブの活動として重要で、やはり、地域クラブというのはこういうものだよなと、これは日本でも見習うべき点だなと思いました。それぞれは、そんなに面白いテレインでやれるわけではないですが、仲間が集まって同じ時間を過ごす、顔を定期的に合わすというのは大事にしていきたいなと思った点です。

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トロントでは有名な公園 High Parkの地図。5-6の区画には桜があり5月の頭に見ごろになる。

 

春・秋の練習会

4月と9月に練習会があります。以下の地図は、4月の練習会。ロゲインタイプだったのですが、特別ルールが二つありました。

①時間限定コントロール

②First runner's point

一つ目は、M○○と書かれているコントロールには、スタートから○○~○○+10分の間だけ、ヒトが来て、ポストを持っているよ。ということ。つまりM30は30-40分の間だけポストが存在します。それによって、戦略性が高まります。

二つ目は、各コントロールに、ヘアゴムのようなものを置いておき、一番最初にそのコントロールに行った人は、+10点などのような+特典もあります。このような工夫があるのも、熟練した経験ならではだと感じます(この運営はチェコ人が運営していました)。

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 Ontario Cup

冬場11月~2月にかけて、トロント周辺のクラブが共同で運営し、持ち回りの練習会を全4回ぐらいを行います。

 特徴は、ハンデのつけ方です。年齢と、性別でハンデを0-7まで割り振ります。そのハンデに沿って、以下のルールで走ります。

  • 四角に囲まれた区画の中で、ハンデの数を差引した数のコントロールを取る。(ハンデ1の人は、7-1=6個のコントロールを取る)。Dog Boneタイプの場合は、6セットとる。B-bは、どちら向きにとってもOK。でも、Bからbに行く間はほかのコントロールを取ってはいけない。
  • 同時スタート
  • 自分のハンデの数の番号が最初のコントロ―ルになる(ハンデが2の人は、2番からとる。):このルールは、適用されない場合もある。

 

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このコースの場合は、スコアーO形式。最初のコントロールは、ハンデの数。
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Dog Boneタイプ。ルートチョイスをミスって、大きなミス(プラン上では、Ⅽ -G-A-E-F-Dと行くつもりが、Gを飛ばしてしまった)。その上、この日はハンデが強すぎて、シニアクラスに惨敗。

この方式のメリットは、①皆が同時にスタートできるので、競える。スタートの運営が楽②皆が同じ状況で競える。③BOX内である程度ばらける。ということが考えられます。
 参加者数が少ないので、年齢別のカテゴリーで表彰にしてしまうと、各カテゴリーが2,3人しかいないということになるので、こういうハンデ方式が生み出されたのだと思います。しかし、運営の簡素化&皆が競える環境を作るという意味で、とても面白いアイデアだなと思いました。やはり、オリエンテーリングの基本はほかの人と競い合うこと、そのために、いかに異なるカテゴリーのヒトを同じ土俵に挙げさせるか。という工夫だと思います。


オンタリオ選手権

今年は、トロントの隣の年のクラブが運営の持ち回りだったので、気軽に参加できました。オンタリオ州は、トロントと、オタワが中心地で、オタワ周辺の方がオリエンテーリングは盛んです。とはいえ、500-600kmも離れているので、オタワ開催の場合は、なかなか行きづらいのです。

され、オンタリオ選手権の参加者数は、200人にも満たない小さな大会ですが、そのクオリティは素晴らしいです。特に、フォーマットにのっとった適切なコースセットが目を見張ります。ミドルは、テクニカルで、地図とのコンタクトを要求し、ロングはルートチョイスとタフネスさを問うコース。スプリントは、大学構内など、スピーディーで、細かいチョイスとマップコンタクトを要求。このメリハリは、日本ではなかなか見られない徹底ぶりでした。

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オンタリオ選手権スプリント、序盤1-5までのレッグは、本当に難しかった。世界選手権でも通用するレベル。

 

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オンタリオ選手権、ロング。タフさをベースに。ルートチョイスは少な目。

 

以上が、トロント周辺でのオリエンテーリングの機会です。これ以外は飛行機に乗って、他州の大会や練習会に行かなければいけません。私は、関東での生活しかしたことがないので、この状況はとても寂しいものでした。やはり、関東圏でのオリエンテーリング事情が如何に恵まれているかということですね。上に挙げた隣の都市のクラブというのも、100km以上ぐらい離れているので、関東から静岡や日光に行くぐらいの距離感ですし、関東圏というのは人が多くてよいです。

 

カナダオリエンテーリング事情

続いて、カナダのオリエンテーリング事情も紹介します。

人口:全体の人口は良くわかりませんが、カナダ選手権の参加者数は、400人ぐらいです。オリエンテーリングの人口自体はそれほど多くないのですが、そもそものカナダの総人口は、3600万人、関東平野の人口ぐらいです。人口比でいえば、同じような物かもしれません、物好きが発生する割合というのはそんなものなのかもしれません。

 

レベル:カナダでのオリエンテーリングについての事前情報といえば、世界選手権で、よく同じような成績を取っているなということぐらいでした。でも、いまは、差をつけられようとしています。女子のEmilly Kemp(Emily Kemp - World of O Runners)は、今年の世界選手権ミドルで4位になりました(最後の2レッグ前まではトップ)。とはいえ、彼女は北欧在住なのですが。

 

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カナダ選手権ミドル会場風景:完全なる青空会場。駐車場から2kmぐらい歩く。雨だったらどうなったことやら。ちなみに、熊スプレーは必携品。ロングのテレインでは熊が確認されたため、開催日の一週間前にテレインを変更するという徹底ぶり。それでもロングを開催できてしまうあたりに運営慣れ感がある。

 

f:id:orienadvent:20161128123227j:plain子守のため、妻のゴールを待ってから走ったので、スタートに10分ぐらい遅刻しましたが、20分ぐらいの差で優勝しました。でもカナダ人じゃないので、表彰対象外。商品だけもらいました。M35A。隣の人たちのでかさたるや。

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Western Canadian orienteering championship 2015 ロング:大したテレインではないが、ロングらしいルートチョイスとタフさを問う良いコース

 

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f:id:orienadvent:20161128111045j:plainWestern Canadian orienteering championship 2015のミドルの森と地図:とても難しくて楽しい森でした。北欧を走っているかのようです。湿地がないので、北欧よりも走りやすくてナビゲーションの喜びを味わえる素晴らしいテレイン。(2018年の北米選手権でも使われるようです。おすすめ!)

 

カナダオリエンテーリングの資金調達の工夫

カナダのオリエンテーリング人口は、日本に比べても少ないような気がするのに、参加費は、日本よりも安いような気がするし、その割には、素晴らしい地図と運営が提供されていました。資金源がどうなっているのか、わかりませんが一つの資金源として、ドネーション&オークション、ナショナルチームウエアの販売があります。

ドネーション&オークション

まず、参加者から不要になったものを寄付で集めます。その後サイレントオークション(紙に、買い取りたい額を書いていき、一番高い金額を書いた人が買いとる)によって、現金化しその収益を協会に寄付するというやり方です。カナダではメジャーなやり方のようで、娘が通っている保育園でも同様のドネーションを集めていました(実際には、企業に、寄付(商品券など)を募り、それを販売して収益を集めていた)。また、カナダのオリエンテーリングストアとして、O-storeというものがあるのですが、そこがナショナルチームウエアを作る代わりに、それを販売しその収益をナショナルチームに寄付をするというやり方でした(我が家も娘に一着買いました)。

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サイレントオークション:ほしいの物に、自分の名前と金額を書く。制限時間になった時に最高額を書いていた人が買い取る。お金は寄付へ。

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バンケットの様子、壁沿いに商品がおかれて、サイレントオークションが行われている。

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カナダのナショナルウエア・デザインがいい。さすがに私は着にくかったので、娘に購入。85ドル(6500円ぐらい)

 

 カナダに遠征するなら?

と、ここまでカナダのオリエンテーリングについて紹介してきましたが、実際に、オリエンテーリングをするためにカナダに来るか?と思った方のために。

日本からだと、北欧や東欧に遠征するのと同じぐらいの時間がかかります。なので、オリエンテーリング目的だと、カナダを選ぶのはなかなか難しいなと思うのが第一。でも、カナダの自然との組み合わせによる観光旅行はお勧めです。とくに、カナダの西側で開催されるカナダ選手権、もしくは北米選手権はおすすめです。たいてい、カナダ選手権と西カナダ選手権が連続した週末で開催されるので、その間を観光に使うことができます。カナダが誇るロッキー山脈は、山好きにはたまらない観光地だと思います。我々も、カナダに滞在する直前の2014年夏にカナダのウィスラー(バンクーバーオリンピック開催地)での大会、および、今年のカルガリーでの2016年夏のカナダ選手権に参加し、オリエンテーリングとロッキー山脈の雄大な景色を堪能しました。 

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スマホのカメラで、こんな感じ。現物を見るべし。Lake louise。

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この日は曇っていたので。暗いですが。良いところです。

 

 

まとめ

オリエンテーリングを始めてから、ヨーロッパ各国、中国、台湾など、オリエンテーリング遠征をたくさんしてきましたが、一か所に滞在し、その国のオリエンテーリング文化を堪能するという経験は初めてで、いろいろな経験・視点を得ることができました。カナダと日本のオリエンテーリング環境を比較することで、日本の良さもわかりました。まず、オリエンティアがいっぱいいる。特に、若い人が‼。オリエンテーリングなんてマイナーなスポーツだよね。と、思いますが、それでもカナダよりも多いですし、年中楽しめますし、毎週のようにオリエンテーリングの大会・練習会があるという環境はやっぱりすごいと思いました。

その一方で、カナダ・トロントのよかったところは、毎週水曜日にオリエンテーリングする機会があったということ。やっぱり、地域クラブたるもの、毎週のように顔を合わせる機会があるということ、オリエンテーリングの練習をすることがあってこそだと思いました。日本でそれを実現するのはなかなか難しいですが、何か工夫をしていきたいと思います。やっぱり、オリエンテーリングしたいですよ、平日も。だって、道路走るのはつまらないですから。帰国後、川崎~横浜北部を中心とした地域クラブを発足させたいなと思っています。平日夜に集まってオリエンテーリングをやるような活動を。

オリエンテーリングのために、カナダを訪れようと思う人はほとんどいないと思いますが、ぜひ、ロッキー山脈と合わせての遠征は良いものになるとお勧めできます。2018年の北米選手権はユーコンで開催されます。またたぶん2019、2020年あたりは、カナダ選手権がロッキー山脈のふもとで行われると思いますので、それも、おすすめです。

参考:North American championships @ Yukon 2018 August 17-22, 2018 (http://yukonorienteering.ca/naoc2018/

 

最後に

トロント・カナダのオリエンテーリング事情について書かせていただきました。長文でしたが、何か面白いなと思ったり、参考になる点などあれば幸いです。とりあえず、2年間離れていたので、日本でオリエンテーリングをするのが愉しみですし、日本のオリエンティアの人と話ができるのが待ち遠しいです。

練習会を開こう! ~10(8)回練習会責任者より~

 こんにちは、こんばんは。慶應義塾大学4年生の小泉知貴と申します。前2人がとてもいい記事を書いてくださっているので、私が後を引き継ぐのは大変恐縮ではありますが、是非気楽に読んでください。

 先日、Advent Calendarの企画の立ち上げの立役者である田中基成君から、記事の執筆依頼をいただきました。おそらく彼は私の日本学連幹事長という立場からの記事を期待していたと思われます。その期待に応えたいところではありましたが、日本学連というスケールの大きいものを私ごときが扱えるわけもない(そもそも、日本学連の全貌を把握しきれていません…)ので、表題のような内容にしました。

 私は今年度、10回練習会というイベントを開催しています。その内容は、名前から見てわかるように、1年間に10回練習会を開こう、というものです。諸事情により、第9回と第10回は開催することができなくなってしまいましたが、ちょうど本日、第7回練習会を無事終了することができました。1/21に最終回が行われます、皆さん、ぜひご参加ください。

 

 さて、これから書く記事は、ざっくり言えばもっとみんなで積極的に練習会を開いていこう、というものです。どちらかというと学生向けの記事になってしまいますが、ご了承ください。

 

オリエンテーリングで速くなるためには?

 皆さんはオリエンテーリングで速くなるために必要なことは何だと思いますか?諸説ありますが、一番大きな要素を示すのは、間違いなく「オリエンテーリングの数をこなすこと」だと思います。どんなに色々と理論を考えたり、トレーニングをしたり、地図読みに精を出したとしても、山に入る経験が少なければ、それらを活かしきることはできません。他のスポーツでもそうですが、練習をしなければ上手くなれないと思います。オリエンテーリングの場合の練習は、山に入らなければ行うことができない、という特徴がある(スプリントはちょっと違いますが)ため、ある程度山に入る回数を増やすことは、速くなるためには必須の条件になります。

 とはいえ、山に入ることのできる機会は決して多くはありません。なぜなら、日本にいる以上、基本的にオリエンテーリングは休日にしかできないからです。オリエンテーリングを行える環境は生活圏から少し離れた場所にあることが多く、平日の学校・仕事終わりに…といった感じで行くことは困難です。なので、オリエンテーリングをするのは、基本的に休日に開催されている大会に参加することが主になります。とはいえ、大会では基本的にレースを一本走っておしまいです。つまり、オリエンテーリングができる回数というのは非常に限られているのです

 その改善策の一つが練習会に参加することだと思います。練習会ならば、山に長くいることができるため、レースを走るだけでなく復習もできたり、またレース以外にもメニューをこなしたりなど、一日に何度もオリエンテーリングをする機会を得ることができます。コーチの方や先輩がいれば、時間を見つけて直接指導していただくこともできるでしょう。色々な団体が試行錯誤して提供してくださる大会も非常に魅力的ではありますが、オリエンテーリングの成長という観点から見れば、練習会のコストパフォーマンスの高さは多くの人に納得していただけるかと思います。

 

〇練習会の要素

 一言に練習会といっても、その内容はそれぞれで大きく異なってきます。スプリントだったりフォレストだったり、近郊で行ったり少し遠いところまで足をのばしたり…というように、練習会には色々な形があると思います。また、先日東大OLKが行ったゴリラ杯(アップ率15%越え)のようにコンセプトが明確な練習会も稀に開かれています。

 当たり前のことではありますが、多くの人が参加したい!と思う練習会は、参加者のニーズを満たすことができるものです。そして、私が思うに、そのニーズは大きく分けて、「開催地・参加費・開催時期(タイミング)・コースの質・コンセプト」になると思います。具体例として、私が今年開催した練習会について、これらの要素を列挙してみます(コースの質は除きます)。

 

第1回「テスト期間息抜き練」…93人・東京(公園)・500円・テスト期間

→テスト勉強の息抜きに、さくっと走れるスプリント練習会。

第2回「スプリントセレ対策練」…121人・東京(公園)・1000円・セレ直前

→セレクション前に、本番を意識した対策練として。

第3回「新入生向け練習会」…44人・埼玉(山)・500円・8月中旬

→一年生がオリエンテーリングを楽しめるようなメニューを用意。

第4回「日光指導練習会」…67人・日光(山)・1200円・10月初旬

→超豪華コーチ陣をお招きして、一日指導を受けられるような練習会。

第5回「帰ってきたKOLC復活大会」…201人・矢板(山・リメイク)・1800円・インカレ1月前 ※大会形式

→昨年度KOLC大会の行われたテレインの完成版を公開(完成しなかった)。

第6回「インカレスプリント対策練」…92人・東京(公園)・700円・インカレ1週前

→インカレ本番直前の最終調整の場を提供。

第7回「ミドルセレ対策練」…96人・日光(山)・1500円・セレ2週前

→ロングからミドルへと切り替え、セレクション本番に備える。

 

 複数の練習会を開催していて、「参加費以上に、開催時期やコンセプトの方が大事である」ということに気づきました。一概にいうことはできませんが、開催時期に合わせたコンセプトで練習会を開く、ということが一番参加者のニーズを満たすことにつながるのかもしれません。実際に遠方の開催で、かつ参加費も少し高めの帰ってきたKOLC復活大会でも、インカレ一か月前の矢板ロングという要素も相まってか、200人以上の参加者にお越しいただいております。また、私の練習会では、対策練という形をとっているものが多くはなっていますが、それ以外にもテスト期間息抜き練という(ふざけたタイトルの)練習会にも100人弱の人の集まっていただくことができました。この時はそれ以外に練習会がなかった事が、参加者が集まった一番の理由ではありましたが、このことは、全ての人が参加するわけではない遠征の裏での練習会も、一定のニーズがあることが予想できます。

 今後、練習会を開くときには、これらの要素を意識してみてはどうでしょうか?開催時期に考えられるニーズを早い段階で察知して公報・提案すれば、たくさんの人が来てくれるかもしれません。

 

〇練習会を開こう!

 練習会の重要性とその要素をここまで書いてきましたが、それを理解したとしても、「さぁ、練習会を開こう」、とはならないかと思います。その理由は、「申請や準備が面倒くさい」「いいコースを組める自信がない」「練習会を開いても自分の練習にならない」などが考えられるかと思います。他にもあるかもしれませんが、ここではこの3つについて考えてみます。

 

・申請や準備

 おそらく、一番練習会でネックになってくる要素かもしれません。大会などとは違い、メインの運営役員が少ないがために、これらが負担に感じる人はいると思います。しかし、ちゃんとやることがわかっていれば、準備は大きな負担にはなりません。

 やるべきことを時系列にまとめてみます。

 

1~2か月前…練習会の開催日程・開催地・コンセプトなどを決める

        開催地の県協会と、地図版権所有団体(学生はここに加えて学連)に申請

1か月前…要項・エントリーシートの用意→公開

3~4週間前…コース組み(+必要があればコースコントロール)

1~2週間前…エントリー締め切り→エントリー・スタートリスト・プログラムの作成→公開

3~5日前…資材・運営役員割り振り

当日…設置・運営・撤収

数日後…報告書提出、地図代振り込み

 

 詳しい方法などは場合により違いますが、おおまかにはこのような形になるかと思います。やることが多いように見えますが、その時その時にやることは決して多くありません。しっかりとスケジュール管理をしていれば負担は少なくなります、慣れれば簡単に準備することができます。

 

・コース組み

 少なからず、自分で組むコースに自信がない人はいると思います。一生懸命組んだコースであっても、参加者があまり楽しんでくれないと、かなりへこみます。正直、練習会を開くことと、コース組みの慣れは別物であるといわざるを得ません。

 しかし、ここについては他の人を頼ってしまってもいいと思います。コース組みが得意な人に委ねるもよし、だれかにコースコントロールをお願いするのもありです。どうしても自分でコースを組みたいのであれば、練習しましょう。コースはいくらでも用意する手段があるので、これを理由に練習会開催を諦めてしまうのは非常にもったいないと思います。

 

・自分の練習について

 よく、「自分で組んだコースを走っても練習にならない」「設置をしてしまうと覚えてしまうから、意味がなくなる」という人がいます。確かに、初めてその地図を読む人よりはアドバンテージが生まれてしまいますし、それが原因でナビゲーションが容易になってしまう要素があることは否めません。

 しかし、だから練習にならない、という観点は間違っていると思います。仮にルートやポスト位置を知っていたとしても、ナビゲーションの練習には十分できます。というか、オリエンテーリングはそんなに単純なスポーツではありませんよね。ルートを知っていたところで、実際にプラン通りにたどることは容易ではありませんし、また、ポスト位置を知っていたとしても、それはリロケートが容易になるだけでナビゲーション自体には影響を及ぼしません。

 いずれにせよ、コースを組んだり、設置をしたからといって練習が全くできなくなるわけではありません。普通にまっさらな状態でオリエンテーリングするのとは事情は異なりますが、それを理解したうえで練習すればいいのではないでしょうか。

 

 練習会を開くことは決して難しいことではありませんし、自分の練習も十分することができます。…と、デメリットと考えられる要素に対しての反論を書いてきましたが、メリットになりうる要素もここに書いておきます。

 まず、一番大きいのは達成感です。周りの人にとっては、数ある練習会のうちのひとつかもしれませんが、主催者側にとっては長い間色々と試行錯誤をしてきたものであるため、思い入れは強くなります。終わった後に、参加者から「楽しかったよ」と一声かけていただくだけで、努力が報われた気になります。よく、東大OLKの皆様がよく、帰る前に主催者にあいさつをしてくれますが、本当にこれは嬉しいです。これが練習会を開く一番の目的であるといっても過言ではありません。

 次に、運営やコース組みの技術が高まります。オリエンテーリングをする以上、ただ競技をするだけではなく、運営をする機会も多くあります。具体的には所属団体主催の大会やインカレ運営、全日本大会の運営などが考えられるでしょう。この時に、最低限の知識として練習会運営の経験は必要になると思います。また、実際に自分が組んだコースを走ってもらった感想を聞くことは、机上でコース組みの練習をすることの何倍もの価値があります。そして、コース組みのセンスが高まれば、予想コースなども質がいいものが組めるようになり、結果として狙った大会でいい記録を残すことに役に立つことでしょう。

 最後に、少しいやらしいですがお金を稼ぐことができます。私が開いている練習会は、オリエンテーリングの機会を提供するということとは別に、私の所属しているKOLCの大会資金を稼ぐ、という目的もあります。最終回の見通しがまだ立っていませんが、おそらく8回で30万円近くになる見込みです(本当に、参加してくださっている皆さん、ありがとうございます)。

 

 以上のように、練習会を開くことは、確かに大変なこともありますが、多くの人が喜んでくださる場を提供できるだけでなく、自分自身の成長の機会も得ることができます。是非、練習会を開くことを検討してみてください。

 

〇最後に…

 突然ですが、私の夢について書きたいと思います。それは、「だれもが毎週オリエンテーリングを楽しめる環境を作る」ということです。これは、私が関東学連の幹事長に就任したときに表明したことなのですが、残念ながらそれを現役中に実現することはかないませんでした。毎週全国のどこかでオリエンテーリングのイベントが開催されていますが、全てに参加するにはお金と時間がいくらあっても足りません。なので、それとは別に裏で練習会を開き、遠征に行けない人は近場でオリエンテーリングを楽しむことができる、そのような環境が私の理想です。

 完全に実現できるとは思っていませんが、少しでもこれに近い状態になればいいな、と思い、今回の記事を書かせていただきました。私の練習会のように公開練習会を誰かが開くのでもいいですし(10回練習会後継者募集中!!交代制などでも!!)、そうではなくとも、各団体がそれぞれ練習会を開き、そこに他団体の人を招く、という形でもいいと思います。オリエンテーリングをしたいときに、そこにイベントがある、とても魅力的な環境だとは思いませんか?

 最初に書きましたように、オリエンテーリングで上達するためには、数をこなす必要があります。練習会が増え、毎週のようにだれもがオリエンテーリングをできるようになれば、日本の競技レベルは上達し、より公認大会や全日本大会も盛り上がるようになると思います。是非、皆さんも練習会を開きましょう!!

オリエンティア Advent Calendar

このブログはオリエンティア Advent Calendarの投稿用に開設したブログです。