オリエンティア Advent Calendar

オリエンテーリングを語ろう。

オリエンテーリングと地理教育

1.はじめに 自己紹介など

 小林岳人(こばやしたけと)と申します。この度、エディターの小柴さまからお話をいただきまして、このような貴重な場で書かせていただくことになりました。私の話がここで書かれている皆さまのお話のようなものになれるのか、少々力不足かもしれませんが、書かせていただきますのでよろしくお願いいたします。
 オリエンテーリング筑波大学に入学以来、30数年間になります。ES関東クラブに所属しており、各地の大会に参加しています。競技歴としてはインカレエリートに1回、全日本(当時はロングだけ)エリート15回出場(最高位は9位)です。このほか、スキーオリエンテーリングでは1996年に世界選手権大会に出場したことがありますが、競技者として、それほど大きな成果をあげているわけではありません。また、大会運営はそこそこおこなっているものの、競技責任者などを務めたことは殆どありません。地図作成に関しても、近隣の公園マップ程度の作成にとどまっています。仕事は、千葉県の県立高校の地理の教員をしており、現在の勤務校は県立千葉高等学校です。また、勤務のかたわら筑波大学の大学院(人間総合科学研究科学校教育学専攻)に通っており、「オリエンテーリングと地理教育」というテーマで研究をしています。そこで、オリエンテーリングについて、「地理教育」という視点からの話をしてみます。

 

2.オリエンテーリングと地理(地理学・地図学・地理教育)


 私の仕事である「地理教育」は地理学や地図学といった背景学問を持っています。地理の学習では地図が学習に際しての極めて重要なツールです。地図を自在に扱う技能(専門用語では地理的技能と呼んでいます。)はそのまま地理の能力(専門用語では地理的な見方・考え方)に直結します。地図についての技能は多岐にわたりますが、道案内を行うような使い方ももちろん含まれます。つまり、オリエンテーリングで行われていることは、地図の技能そのものであり、すなわち、地理の学習の内容そのものに位置付けられます。文科省の「学習指導要領」の高等学校の地理Aの解説の「3 指導計画の作成と指導上の配慮事項 (2) 地理的技能について ②地図の活用に関する技能」に 「a 地形図や市街図,道路地図,案内書の地図などに慣れ親しみ,どこをどのように行けばよいのか,見知らぬ地域を地図を頼りにして訪ね歩く技能を身に付けること。」という記載があります。これは、オリエンテーリングをしなさい、といわんばかりの内容ではありませんか。これは地理Bについても同様です。


http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2014/10/01/1282000_3.pdf


 日本の学校教育では体育の野外活動で行っているのが中心であり、青少年野外施設でのオリエンテーリング活動が大半です。オリエンテーリングはスポーツですが、地図という道具を用いて行います。この地図に関する技能がオリエンテーリングにおける重要な技能です。これは、他スポーツと異なる大きな特色です。地理もまた地図を大いに活用します。しかし、日本では地理の学習とオリエンテーリングの関係は密ではありません。オリエンテーリングの発祥地である北欧諸国のほかイギリスやカナダ、ニュージーランド、東欧諸国などでは、この考え方は自明として扱われています。
 オリエンテーリングの楽しみは、そのナヴィゲーションを行う楽しみそのものです。このナヴィゲーションというオリエンテーリングで培われる技能は、オリエンテーリング競技以外に、日常的に、街歩きや山歩きのような時に、変災時になど、いろいろな場面で汎用的に使われます。なにより、地図を見て現地の様子と照合するということは、あらゆる縮尺の大きな地図の基礎的基本的な技能です。オリエンテーリングを行うこと自体が地理の学習として有効な一つの方法であることがいえましょう。また、オリエンテーリング地図は大縮尺の地図の中でも、極めて高い精度をもっています。これは、しばしば多くの地図などでみられる、「地図にないが現地にあるもの」「現地にないが、地図に記載されているもの」などにまどわされることなく、利用することができます。このことは、特に初学者に対して地図を現地の様子を照合させるような場合に、高い学習効果をもたらします。そして、オリエンテーリング地図は世界共通の地図図式を持っています。一定の期間をおいて、よりよい表現を目指して継続して改訂が行われるということも興味深いところです。さらに、精細な地図表現という観点からは、地震の痕跡、噴火口の名残、植生変化、炭焼き産業の名残、ドリーネやウヴァーレなどカルスト地形、氷河の末端のモレーン、城跡の特徴ある地形、旧市街の入り組んだ街路、古墳といった地理的に興味深い事象の様子が特徴的に表現され、これを読み取ることもできます。こうした場所を含んだオリエンテーリングイベントは大いに興味を惹きます。日本においては、火山山麓扇状地、洪積台地などは、他地域に比べて緩やかな傾斜、平坦な地形ということから、地形的な視点でのオリエンテーリング適地です。地理の楽しみともつながります。オリエンティアオリエンテーリングの大会参加の視点でとらえれば観光行動・ツーリズム(観光地理学 トラベル エクスカーション)といった観点で見ることができるし、オリエンテーリング地図作成やGPSラッキングといった部分に注目すれば、地図学・GIS(地理情報システム・地理情報科学)のような地球科学における先端科学的な観点でとらえることになります。そしてなにより、オリエンテーリングをすること(ナヴィゲーション)自体が行動地理学や認知科学の対象になります。このように、オリエンテーリングは教育(地理)的な側面を持ち、教材(地図)的に優れ、地理そのものの楽しみが存分に得られ、地理学や地図学としての学術的な対象となります。
 さて、ICA(国際地図学協会)という地図関係の国際的な学術組織の中にはオリエンテーリングが明確に位置付けられています。ここで、ICAについて少し説明しますと、隔年で開催されるICC(国際地図学会議)ではオリエンテーリングが一つのセッションとして位置づけられて、研究発表がなされています。

http://icaci.org/

 ICAが国際地図年(IMY、2015-2016)にちなんで発行したThe World of Mapsという地図の啓蒙書の中にも、オリエンテーリングについての記載が一つの章として位置づけられています。

http://icaci.org/publications/the-world-of-maps/the-world-of-maps-english/

 また、ICAとIOF(国際オリエンテーリング連盟)との関係には興味深いものがあります。 ICAの会長以下、主要なメンバーにもオリエンティアの方が少なからずいます。先ほどのThe World of Mapsの編集者の一人であり、ICAの以前の会長であったスウェーデンのBengt Rystedt氏の名前をO-Ringenのリザルトなどで検索すると見つかります(スウェーデン人で地図に携わっている方なので当然かもしれませんが。)。現会長のイギリスのDavid Fairbairn氏のお名前も検索してみると、オリエンテーリング大会に関わったサイトでも見ることができます。その中で、最も関係が深い方は、ICAの現事務局長で、The World of Mapsのオリエンテーリング関係の章の著者であるハンガリーのLászló Zentai氏です。ICCオリエンテーリングセッションの中心人物であり、IOFの理事の一人でもあります。IOFでは長らく地図委員会のメンバーであり、オリエンテーリング地図の国際図式であるISOM、ISSOMの制定に大きくかかわっておられます。また、Zentai氏は2005年の愛知県での世界選手権大会の時に来日され、マップクリニックの際に講義されていました。Zentai氏はオリエンテーリングについて特に地図に関して、学術的な意義づけを行っている論文を多数著作されております。


http://orienteering.org/wp-content/uploads/2010/12/Scientific_Journal_Of_Orienteering_2014_vol19_1.pdf


 さらに、ご自身も熱狂的(?)なオリエンティアであり、ホームページによりますと、年間80レースぐらい出場された年もあるようです。
 このICCの次回開催である2019年の大会は東京(日本科学未来館、7月15–20日)で開催されます。またICCでは、オリエンテーリングについては研究発表のセッションのほか、併設大会も開かれます。

http://icaci.org/orienteering/

 会議参加者限定なのですが、スイスや北欧などのエリートクラスの技量を持つ方もおり、トップレベルに近いレースになることもあります。
日本ではオリエンテーリングは社会的にはとても小さい集団です。地理学・地図学・地理教育もそれほど大きな集団ではありません。そこで、オリエンテーリングと地理学・地図学・地理教育とを結びつけることで、双方にとって世界がひろがることになり、どちらにとってもwin、winになるのではと思っています。

 

3.オリエンテーリングと学校教育(特に地理学習)


 学校教育の中での基本は学校で行う授業にあります。学校での教育活動は体育祭や文化祭などの行事、修学旅行や宿泊研修、遠足といった校外学習、そして部活動など広範囲に及びますが、なんといっても基本は学校での授業の時間です。そこで、地理の授業でオリエンテーリングそのものを行なおうと考えました。詳細は以下の資料をご覧ください。


https://www.teikokushoin.co.jp/journals/geography/pdf/201502g2/09_hsggbl_2015_02g2_c04.pdf
http://www.kokon.co.jp/book/b186686.html
http://www.gakuji.co.jp/book/978-4-7619-2147-7.html


 今でこそこのような形式でオリエンテーリングを行うことに違和感はないと思いますが、以前ではこのアイディアはありませんでした。OCADや空間データ(GISデータ)の充実によって高精度の地図作成が手軽(でもありませんが、)できるようになった、EmitやSIのような計時システムが普及した、なにより“森のスポーツ”であったオリエンテーリングが、スプリント形式というアイディアに“地図のスポーツ”としてより開催場所の可能性が大きく広がったことが、こうした学校の授業という極めて制約された環境(人…教員1名生徒40名、時間…50分、場所…学校敷地)で可能になったといえましょう。
 前任の県立松戸国際高校では4年間にわたって、地理の授業で多くの生徒にオリエンテーリングを実施してきました。

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 そして、現在は県立千葉高等学校で実施しています。

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 県立千葉高校では、地理は必修科目であり、第1学年8クラスの生徒327名全員が授業で3回オリエンテーリングを経験しています。これほどの多くの生徒がISSOMに準拠した地図で、Emitを使ってオリエンテーリングを行うことは今までにあまりなかったと思われます。貴重な知見も多く得ることができました。オリエンテーリングをやることで地図読図技能(特に、ナヴィゲーション技能)が向上すること、オリエンテーリングの結果が地理の成績と体育の成績の双方に相関関係があったことなどです。なにより、殆どの生徒たちが「面白かった」「楽しかった」と感じてくれたことです。そう、オリエンテーリングって面白くて楽しいものなのです!特に“授業時間”に実施しているのがというのがとても効果的だという見方もできます。(詳しくは以下をご覧ください。)


https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajg/2013s/0/2013s_167/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajg/2014s/0/2014s_100008/_pdf/-char/ja


 IOFはWOD(世界オリエンテーリングの日)を毎年5月に設定して、世界中のおもに学校でのオリエンテーリングを推奨しています。20万人以上の児童、生徒、学生がオリエンテーリングをするというような計算になります。私のこの授業も、この日(および前後)に併せて実施しています。

http://worldorienteeringday.com/

 (県立千葉高校が登録されているところもご覧ください。)

このような授業を行ったところ、何人かの生徒はさらなる興味を示してくれました。県立千葉高校には地理部という珍しい部活動があり、私はその顧問をしています。巡検(エクスカーション)や研究活動などを行う部活動ですが、活動にオリエンテーリングを加えました。パークOを中心に少しずつ大会に参加するようになり、メンバーも増え、フォレストの大会にもでるようになってきました。また、オリエンテーリング強豪校からの誘いもあり、仲間に加えていただくようにもなりました。ただ、多くの生徒が陸上部、テニス部、山岳部、生物部など、主たる部活動に加入しているという兼部での入部であり、生徒にとって活動の優先順位は1位ではありません。このため、活動はしばし停滞してしまいます。また、校外での活動は交通費など、費用の面での課題もあります。それでも、授業と部活動が連動することは、とても有意義です。
 オリエンテーリングを学校教育で行うに際しての考え方の整理をしてみました。個人が単位で、短時間→長時間、慣れ親しんだところ→未知のところ、大縮尺地図→小縮尺地図、パーク・アーバン→フォレストといった体系が見いだされます。これらの視点は、地理(地図)の学習の視点と整合性が高いともいえます。


https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajg/2017s/0/2017s_100102/_pdf/-char/ja

 

4.おわりに 展望、課題など


 私がこのような取り組みを始めたのは、オリエンテーリングの持つ価値を世の中に示したいということです。私もそうですが、多くの方々が、例えば「ご趣味は」という質問に対して「オリエンテーリングです。」と答えるのが億劫になってしまっているのではと思われます。「オリエンテーリングです。」と答えると、たいてい、説明を多く付け加えなくてはならなくなります。そして、説明をしたからといって、必ずしもそれがきちんと伝わるかどうかはわかりません。こうした状況を少しでも改善させて、さっと「オリエンテーリングをやっています!」と答えることができるような雰囲気にしたい、と思ったからです。それには教育が効果的、そのためには、オリエンテーリングをきちんと位置付けること、学術的にとらえることが必要、と、そして、これは、教育に携わる自分に課された使命と思い、大学院へ行くことを考えました。
 高等学校では5年後の2022年から実施の学習指導要領下で地理は必修科目(「地理総合」)になります。地理教育界では必修に向けての対応が始まっています。必須科目「地理総合」では「地図とGIS」が基礎基本として扱われており、地図の実用的な使い方、応用性、汎用性に富む使い方などが求められています。教育全般の方向性としては主体的能動的な学習、いわゆるアクティブラーニングと呼ばれる学習方法が望まれるようになり、「何を学ぶか」というようなコンテンツ中心から「何ができるようになるか」というコンピテンシーへと学習のパラダイムシフトもみられます。これらについてもオリエンテーリングは十分にアピールできるでしょう。また、今はやりのことばでいえば、オリエンテーリングレジリエンス(「抵抗力」「復元力」「耐久力」)の強化にもなりましょう。地理だけでなく、野外活動との関係も深いことから、オリエンテーリングは学校教育において非常に多くの場面での利用が期待できます。
 今まで、私の地理の授業でオリエンテーリングを経験した生徒は1000人以上になります。地図読図のノウハウを学び、そしてこのスポーツを知ってもらえたかなとも思っています。教育の力って、大きいなと実感します。こうした経験を通じて得た知見を、関連学会の学術大会(日本地理学会、日本地図学会、日本地理教育学会、地理空間学会、中等社会科教育学会、日本地球惑星科学連合、全国地理教育研究会)やイベント(G空間EXPO)、教員の研修会(千葉県高等学校教育研究会地理部会)や文献上で発表してきました。珍しい話ということで、興味深く聞いて頂いております。このような授業を広めていくかはなかなか簡単にはいきそうではありません。地理の世界、オリエンテーリングの世界にそれぞれ、活動の受け皿になるような組織、例えば、地理関係の学会の中で研究グループを作るとかオリエンテーリング協会の中に委員会(学校教育委員会)を作ること、このほか、大学の地理の教員養成課程でのオリエンテーリング関係の実習が行われること、地理の教科書にオリエンテーリングという文言が掲載されること、いくつかはおぼろげに頭の中に浮かんではいますが、それらはまだまだ現実的ではありません。今のところはこのような足跡を残すことで、後々何かのお役にたつことにでもなれば、というぐらいでしょうか。でも、そのためには、さらにもう少し、きちんとしたものにしなければと思っています。皆さま方からのお知恵を授かることができればと思っております。ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

 

地図を綺麗に描くこと

おはようございます、こんにちは、そしてこんばんは。

東大OLK所属の大学4年生の瀬川です。アドベントカレンダーで記事を書く機会を与えていただきました。ありがとうございます。

 

何を書くか迷ったんですが、インカレで感じた「やっぱり山ちゃん・西村さんの地図はいいなあ」ということを書こうと思います。「尾根の隣が沢で沢の隣が尾根」これだけのことなのに作図するのは難しいなあって話をします。その前に、まずOLKの調査と地図の話からします。

 

 

 

OLKの地図調査合宿

いわゆる調査です。

OLKの人は大体南関東に住んでいるんですが、OLKが版権を持っているテレインは南関東にはないことが多く、通えないため、公民館を格安で借りて調査合宿を行います。45日程度の調査合宿を年に6回くらい行い、渉外をし、地図を完成させ、大会準備をします。調査能力のある人に調査範囲を割り当てて一次調査をし、それが終わったら代わる代わる他の範囲で修正調査を繰り返し、地図をよりよいものにしていきます。

 

GPSデータを点情報としてとり(1秒に1回誤差10mの点データをとり、30秒取った平均の点)、とった地点にスズランテープを目印として巻きます。ちょっとやりすぎな気もしますが、1:10000A31枚の地図を描くために約6000本テープを巻きました。林業をされている方はとっても親切で、こっちが巻かせていただいているのに、外してもいいか連絡をくださる方もいました。

 

それを確定点情報として、コンパスと歩測で地形をとって、下図に描きこみます。会館に帰ってきたら清書します。いわゆる「クリーン」です。

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クリーンには3点のトンボと位置合わせも描いてもらう

OLKのマッパー(=作図責任者)は基本的にこのクリーンをスキャンし、OCADデータに直す(=丸写しする)ことが調査合宿中のメインの仕事です。翌日は最新の地図で調査するので、その日のうちにすべてのクリーンを反映します。みんなが作図に慣れてくるとたくさん描いてくるので、130分×20=10時間とかかかるようになります。

 

調査合宿は、調査自体がなければ楽しいとか言われてます。空いた時間はゲーム(スマブラ)したり、ボードゲームしたり、わいわい楽しめます。プライバシー環境・睡眠環境が悪くしんどい調査合宿ですが、その分仲間との距離が縮まるような気がします。

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皆で体幹。寝袋も道具も散らかってる……。

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GPSテープづくり。スマブラ

 

よく、「OLKは地図調査のノウハウを持ってる」など他大から言われるのですが、あんまり特別なことはしていないです。ここ数年のOLKの人数の多さを活かして、GPS点を大量にいれ、コンパスと歩測等で地道に描いているに過ぎないです。さらにぶっちゃけて言うと、数人ちゃんと描ける人がいてそれに頼っている感じもあります。たくさんオリエンテーリングの経験を持っていると、地形の引き出しが多くなって描けるみたいです。

 

森の地図調査してみたい大学はまず描いてみるのが一番だと思います。

 

 

 

 

 

 

「吾妻太田」の地図について

僕は2016年6月のOLK大会の作図責任者でした。テレインは群馬県榛名山北麓の「吾妻太田」。「吾妻太田」の範囲には残念ながらレーザー測量データはありませんでした。また旧図は24年前のものでした。当時試走を終えた鹿島田大先輩が「この地図ではオリエンテーリングはできない」と言い放ったという伝説を聞いています。しかし他に頼りになるものもほぼないので、というか知らなかったので、旧図を下図としGPSを入れて地図を描きました。「吾妻太田」は地形として地図にとるか微妙な大きさの地形も多く、悩まされました。また夏と冬で植生が全然違うので困りました。C藪がA藪になるっていう。大会当日の藪はどうなるのっていう。

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夏はC藪だった

 

 

 

下図はあるとは言えほぼほぼ1から描くようなものだったので、時間はシビアでした。

 

 

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初日できた作業はこれだけでした。赤い点がとったGPS点データです。感慨深い。レーザーデータがないので、自分の範囲に何本コンタを入れるかを決めます。OLKの調査は大人数で調査するのが強みですが、でもこのせいでコンタが足りなかったり余ったりして、地図が「歪み」ます。

 

 

 

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8月調査①が終わった直後。2週間でこれしか描き進まず、テレインの大部分が未着手でおわらないんじゃないかとひやひやしました。GPS入ればかりしてた。

 

 

 

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一生懸命描いてだいぶ完成に近づきました。23月は本当に寒かった。

 

 

 

 作図責任者は枠を作ったり、磁北線切ったり、地図の微調整もします。

 

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上の題字もスキャンして、OCADで淵をなぞり、中を塗りました。

 

まあ、そんなこんなでどうにか大会にこぎつけました

 

 

 

 

 

 

YMOENishiPROによる地図がいかに素晴らしいか

昨年のNishiPRO西村さんのアドベントカレンダーの記事

https://www.facebook.com/notes/1190163404400388

を改めて読んでみると

真実を知ることをおろそかにして表現にこだわった地図はどんどんおかしくなっていきます。特定レッグ、特定のコントロール位置、特定のルートに限ってみれば違和感のない地図に仕上がったとしても、ひとたび違うコースが組まれると途端にぼろが出てしまいます。」

「地図のきれいさには徹底的にこだわりましょう。作図がきれいだとそれだけで信頼感がずっと増します。」

このように仰ってました。

地図の正確さと綺麗さを両立させること。これがプロの技なのだなと思います。

表現にこだわると地図はおかしくなる。けれどきれいに描く。深い……。

 

OLKのマッパーは、基本的には反映者なので、地図の調査能力はいらないんです。ただ写すだけ。調査していない範囲のことは調査した人が一番わかっているので、忠実に写すのが一番だと思ってました。しかも当時はまだ2年の夏~3年の春、「現地→地図」「地図→現地」両方のイメージ化が下手で、提出されたクリーンに疑問を抱かなかった。なので本当にもう忠実に写すしかなかった。正確さという意味では間違ってなかったかとは思います。

 

でも僕自身のこだわりが足りなかったと思います。正確さに綺麗さを両立させることはできてませんでした。

やっぱり今になって、こういうところを作図中に気を付ければよかったなあというのを書いておきます。もしかしたら多くの人にとって当たり前なのかもしれないですが……。

 

 

    意味のある傾斜変換以外は傾斜変換にしない

傾斜変換に意味のない部分はコンタをなるべく等間隔に描く。基本的にコンパスと歩測で地形をとることが多いため、必要のない情報(競技中走っていると地形として情報を拾わない情報)も描かれていることが多い気がします。その描き方以外(見た目こんな風に見えるからそのように描く)23年生では不正確な地図になる危険性の方が大きいと思いますが、描かれたクリーンに本当にその傾斜変換に意味があるのか、小さすぎる地形に意味があるのかどうかは、気を付ければよかったなとおもいます。

 

一例として「吾妻太田」の地図を修正してみます。

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こういうのは多分斜面の向きだけ抑えておけばいいのかも。あとはコンタの間隔。

 

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これでよかった気がする。真偽は定かではない。

 

 

 

 

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こうじゃなくて

 

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こうだったかな。

これくらいなら学生大会の地図も改善の余地がありそう。

 

 

 

 

  尾根線、沢線がはっきりしている尾根沢とそれ以外を書き分ける。

「尾根上の補助コンピークをどのように描くか?ともとして素人は楕円形で描きがち」これは昨年度の山リハ前の合宿で松澤俊之さんが山川さんに質問したことです。

 

 

矢板の補助コンピークはこんな感じ。

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確かに、地形がわかりやすい気がします。

 

 

 

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学生大会では楕円でとりがち。

 

 

また、山川さんは矢板の「方向を失いがちな尾根」を丸っこく描くと仰ってました。

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多分こういうことですね。逆に言うとそういうところは使われやすいとも仰ってました。

また、いわゆる「山ちゃん沢」は見やすさと向きにこだわりが見られる。

 

 

 

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尾根線がこうなら

 

 

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こうかな……少し良くなった気がする……。

 

 

 

 

 

   藪を細かくとらない

藪はある程度の面積がないと地図としては見にくいんですよね。季節によっても違うし、藪は調査のコストパフォーマンスで考えるとあんまり労力を割かない方がいい。走れるけど見通しが効きににくい藪が一番面倒ですね。走っているとき見た目の藪さをチェックポイントになりそうだとBで描くかどうか、微妙なところです。

 

OLKの修正調査には大臣制度があって、最後に大臣が地図全体の何かのオブジェクトを統一調査します(岩大臣・崖大臣など)。藪大臣は分担してテレイン中のすべての藪に入るので、精神を病んでしまうことが多いです。お疲れ様です。)

 

 

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ちょっとどうよくすればいいかはわかりませんが、苦労の跡が見えます。実際この通りだったと思います。

 

 

 

今になって、今年のインカレで、やっぱりプロマッパーの地図ってすごいなと感じました。地図はとても綺麗で整然としていて、情報が頭に入ってきやすいなと思いました。インカレがワクワクする理由の一つです。

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インカレ中、地図最高だなってずっと思ってました。(ちなみにここは通らなかった。)

 

 

 

「吾妻太田」のリマスター版を描きたくなってきますね。(描かない。)

まあ山川さんも「矢板日新」のリマスター版を描いていたので、そういうものなのかもしれません。

 

 

 

 

ここまでグダグダと書いてしまいましたが、でもこれは今になって思うことです。「地図はこれがスタンダード」とか「こうしなきゃいけない」だとかは学生大会の地図では気にしなくていいと思います。参加者に対する思いやりと気遣いをもちつつ、自由に楽しくやりたいようにやるのが、学生大会にとって一番だと思います。大変なこともあるかと思いますが、調査合宿は楽しかったな、大会運営は楽しかったなと思える学生大会が今後とも続いていくことを願っています。

 

 

 

 

 

赤城楽しみ。

 

 

 

 

 

埋め草

私は現在日本学連幹事長を務めておりまして、本当は秋インカレ後の閉会式に言いたかったこと、けれどインカレ報告書の挨拶に載せると間に合わないことを一言だけ言わせてください。

 

「インカレは楽しんだもの勝ち」と言いましたが、インカレで感じたことはきっと「楽しかったこと」だけではないと思います。やりきれない思いも悔しさもあると思います。それらも丸ごとクラブ・部員の仲間と是非共有してください。きっとどの部・クラブにも部誌や会報といったものがあると思いますが、なんでもいいので是非書いてください。オリエンテーリングは基本的には一人で森を走るスポーツですが、一人ではできないスポーツですその時感じていたことがきっといつか誰かの原動力に変わります。それは同期かもしれないし、先輩かもしれないし、まだオリエンテーリングのことを知らない名も知らない後輩かもしれません。でもきっとそうやってインカレは繋がってきたのだと思います。「インカレは(皆で)楽しんだもの勝ち」だと思います。

 

ま、書くのが面倒だったら飲みに行けばいいと思うけどね!

 

 

 

 

 

話題になったあの大会のこと

はじめに

 

 ーー遡ること4年前の7月。男たちは突如、謎のオリエンテーリング・イベントを開催した。

 

 このイベントは開催が発表されるや否やオリエンテーリング業界に激震が走り、業界のインフラとして活用されるOrienteering.comへのアクセス数がたぶん激増し、もうひとつの業界のインフラであるところのTwitterではとある二文字を見ない日はなくなり、誰しもが所属欄での大喜利に頭を悩ませ、不朽の名練習会として後世まで語り継がれる予感を全オリエンティアにもたらした。

 

 練習会開催後は期待に違わず褪せることのない名イベントとして語り継がれ、世界的に有名なWebサイトLapCenterのトップにはあの二文字がやはり燦然と煌めき、学業職業そっちのけで参加した58名は初代練習会参加者として経歴に箔がつき、世論はバカバカしい運営者だと賛美する者と馬鹿な運営者だと蔑む者に二極化され、Twitterでは第2回の開催を渇望するツイートが連日タイムライン上に現れ……、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、留年の輪が広がった。

 

 

 本日は、オリエンテーリングを愛するあまり、長い学生生活を送ることになってしまった愛すべきものたちによって開催される「留年大会」の姿に迫る。 

 

 

オリエンティアAdvent Calendar 1日目

「我留年す、ゆえに我あり」

 

 本文は、留年生のことを大いに笑っていただくことを目的としている。もちろん笑いの中から大会運営のヒントや儲け話、さらにはオリエンテーリングが速くなる方法を見つけてもらうことも大歓迎である。もし見つけた場合は、こっそり筆者に教えて欲しい。

 

 

 

1.留年大会(練習会)とは?

 

 留年大会の歴史は………と執筆しようと思ったのだが、留年生は「歴史」という言葉に弱く、中には政治経済学部経済学科の授業で西洋経済史の単位をいつまでたっても取得できなかった過去を思い出してアレルギーを発症する者もいるらしい。また、筆者は普段一度に140文字までしか発信しない生活に慣れきってしまっているため、まじで書くのがしんどい。留年大会の概要は下記リンクを参照いただくこととして、筆者から見た留年大会の特色(思い出?)を書く。

 ■#10_広げよう、留年の輪-第四回留年練習会 (OK-Info, 2017/2/24)

 http://okinfo.hatenablog.com/entry/2017/02/24/143335

 

 ■#33_ヤツらが「大会」運営に乗り出した! – 第5回留年大会:第1部(スプリント、ダウンヒルミドル) (OK-Info, 2017/7/15)

 http://okinfo.hatenablog.com/entry/2017/07/15/173055

 

 ■#35_運営者が来ないかと思った – 第5回留年大会:第2部(ナイト) (OK-Info, 2017/7/17)

 http://okinfo.hatenablog.com/entry/2017/07/17/205230

 

 ■#36_実走20km!?のウルトラロング! – 第5回留年大会:第3部(ウルトラロング) (OK-Info, 2017/7/20)

 http://okinfo.hatenablog.com/entry/2017/07/20/075604

 

■広げよう留年の輪 Twitterアカウント

https://twitter.com/ryunenteer

 

 

【筆者の見る留年大会(1)】

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 第2回留年練習会@勢子辻、前日夜。このときは1日のみの練習会だったので、運営者にも前日にBBQをする余裕があったらしい。楽しそうである。

 

【筆者の見る留年大会(2)】

 第2回留年練習会@勢子辻の開催キャッチコピーは「いちりゅうオリエンティア達による一流の練習会」だったのだが、近年はこのフレーズを聞かなくなった。なぜか?運営書の多くが二留してしまったからである。

 

【筆者の見る留年大会(3)】

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 第4回留年練習会@両総用水の前泊運営宿の様子を某運営者がリークしていた。ご覧の通り、撮影者を含めて3名しかおらず、過疎化していることがわかる。

 

 某運営者の考察によると若者の留年離れが激しいとのことで、これは日本体育大学の公表している「留年者数(5年間推移) http://www.nittai.ac.jp/about/information/remain.html 」を見ても明白なようだ(余談であるが、このページは「留年練習会」でググると出てくる。正直ビビった)。

 

果たして留年生はクラブ員減少に歯止めをかけることができるのか。

 

【筆者の見る留年大会(4)】

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 第5回留年大会@西蔵王の試走をしたあとに、運営者が焼肉をしている様子をTwitterにアップしている。このときは泊まり込みでの試走会だったため、運営者にも焼肉をする余裕があったらしい。ちなみにこのときはキャンプもしているらしく、楽しそうである。

 

【筆者の見る留年大会(5)】

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 第5回留年大会@西蔵王 1日目ミドル競技のあとに、運営者が焼肉をしている様子をTwitterにアップしている。このときはすぐ後にナイト競技が控えていたはずなのだが、なぜか運営者には焼肉をする余裕があったらしい。楽しそうである。

 

【筆者の見る留年大会(6)】

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 第5回留年大会@西蔵王 2日目競技終了後に、運営者が焼肉をしている様子をTwitterにアップしている。こいつら肉焼いてばっかだな。実に楽しそうである。

 

【筆者の見る留年大会(7)】

 留年大会(練習会)は、学生の試験時期に重ねて開催されることが多い。第1,2,5回留年大会(練習会)は言わずもがな7月中旬の前期試験前に開催されている。第4回留年練習会は2月中旬に開催されているが、おそらく国立大の中にはまだ試験を受けていた人もいるのではないか。「そんなこといっても、第3回留年練習会は11月下旬に開催だから、関係ないじゃないか!」という人に対しては、中間試験やTOEICがあった可能性を指摘したい(そもそも、学生とは常に試験に追われている生き物なのである)。

 なぜ学生が苦しむ時期にイベントを開催するのか。それは、挫折を味わう貴重な体験によってこそ人間としての魅力が磨かれるからである。言い換えると、一度膝を折り曲げるからこそ高くジャンプが出来るようになる……そんな留年生なりの親心に違いない。挫折は、良い。社会保障が手厚い現代社会において、挫折するという希少体験ができる唯一ともいえる機会がある。これこそが留年であって、精神的・社会的・金銭的という様々な挫折を味わうことができるのである。だからこそ、大きく羽ばたくことができるのだ。

 従って、挫折という経験を味わえないまま学生を卒業するのは、非常にもったいない。留年生は留年のおかげで挫折経験には不自由しなかったからよかったが、挫折を知らない可哀想な人間に対しては何とかして立場を代わってあげられないだろうか、と常々考えているのである(立場を代わることができないまでも、何とかしてこちら側に引きずり下ろしてやれないものか、と常々考えているのである)。

 ここまで読んで「いいないいな、留年っていいな」と考えている人もいることであろう。かの有名なY城克哉氏も「俺も留年したかった……」と常々こぼしている。先日のCC7の優勝監督、H宇津佑亮氏だって先日筆者に対して「僕も親に留年したいって伝えたのにダメって怒られちゃいました〜(>_<)」と報告してきた。オリエンテーリング界のスター・トータスの彼らが留年したいと望んでいるのだ。きっと留年はいいことに違いない。

 

 

2.留年大会の出走者数が増え続ける10の秘訣

 

 第5回留年大会が盛況のうちに終わったことは読者の皆様も覚えておいでだろう。「2017年ナンバーワン大会を決めるとしたら、留年大会だと断定することに一切躊躇をしない」と言う人もいるかもしれない(もちろん、いないかもしれない)。過去5年間の大会出走者数推移が”58名-88名-158名-67名-726名”となっていることからも、留年大会が多くの支持を獲得してきたことがわかる。しかし筆者は断言したい。運営者の学年が留まったとしても、留年大会の人気は留まることはない。出走者数で考えた時に、次回は1,000人、いや、1,500人にだって届きうると考えている。出走者数を年々増やす秘訣は10個ある。ひとつは次の章で後述する。ふたつは機密事項のため今回の執筆では割愛するとして、もうひとつは忘れてしまい、さらにふたつは今まさに考え中である。今回は、残りの4つについて考察してみたい。

 

(1)チャレンジングでタフなコース

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 留年大会の特色は?と質問をしたときに最も多く出てくる答えだと考える。地図を開いた瞬間に飛び込んでくるえげつないレッグ。「これ本当にたどり着けるの?難しすぎる」と言いたくなるような難解なコントロール位置。「これ本当にたどり着けるの?しんどすぎる」と言いたくなるようなロングレッグ。通常の大会では味わえないようなレッグの数々が、参加者を待ち受けている。しかし、単体のレッグとして見たときにきちんとオリエンテーリングに必要なすべてのスキルを要求する。運試しではなく、れっきとした競技。”クレイジー”ではなく”チャレンジング”であることが、人気なのかもしれない。……といった趣旨のことを、M西が語っていた。

 

(2)メディアの活用、そして意外性

 広報責任者は、シャープ株式会社のTwitterの人気ぶりを見て思ったそうである。

 

 「これ、まんま真似すればいいんじゃね?俺って天才だわ。」

 

 企業の公式Twitterアカウントが会社とはあまり関係ないゆる〜い内容をツイートすると、なぜか人気が出る法則。これを真似しようと考えたのだろう。一般的常識と照らし合わせたらクソくだらない内容にしか思えないのだが、

 

 

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こういうのとか、

 

 

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こういうのとか、

 

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 こういうツイートを継続してポストしまくってみたところ、なぜか反応が良かったようだ。不思議なものである。他にも実行委員長やテレインをルーレットで決めたりするなど、やっていることがめちゃくちゃである。だが、手法が何であれ、大会に注目してもらうことが重要という目線に立てば、こういうのも良いのかもしれない。

 

 ちなみにマーケティング論的には、ザイオンス効果であるとかアイドマの法則だとか色々あるらしい。だが、中にはマーケティングという言葉を聞くと政治経済学部経済学科の授業で行動経済学の単位がいつまでたっても取得できなかった過去を思い出して嗚咽する者がいるかもしれないので、ここでは難しい話はしないこととする。ともかく、筆者は勝手にこれらのツイート手法を「”抜け感”ツイート」と呼んでいる。留年生のバカ加減とのシナジーがあったのだろう。

 

 

(3) 参加したくなる動機づけ ハッシュタグ、留年ボード

 「みんなが参加するなら俺も行こうかな……」

 同調、同列、付和……、批判をするわけではないが、日本人の特性としてよく語られていることである。だが、大会運営者にとってこれほど日本人の習性にありがたみを感じることがあるだろうか。みんなが行くなら彼も行くのだ。

 

 「なら、みんなが行くことを示せばいいんじゃね?やっぱ俺って天才だわ。」

 

 広報責任者はそのように考えたのだろう、このようなツイートをしてみた。

 

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 参加者は留年大会の話題にハッシュタグをつけてつぶやくと、何かしらの特典がもらえるかもしれないらしいので、たくさんつぶやく。つぶやきが他人の目に触れる。これらによって「あいつが行くなら俺も行こうかな…」「こんなに話題になるなんてさぞかし良大会に違いない」と考えてくれたなら儲けものである。自らの力で広報せずに参加者任せにするなど言語道断、と思われるかもしれないが、広報責任者はひたすらハッシュタグを検索してリツイートするだけだったので、楽だったようだ。

 

 他にも、

 

 

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とか

 

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とか

 

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 など、各種大会会場で「留年ボード」を手にそこら中の人々と記念撮影を行い、Twitterにて広報させてもらっている。悲しいかな、表彰台にあがって宣伝をする実力がないため、Twitterで宣伝しまくったようだ。どれほどの効果があったかはわからないが、「あいつも参加しちゃうの?」と思ってくれたらラッキーである。

 

 筆者はこれらを総称して「"赤信号 みんなで渡れば 怖くない"式マーケティング」と呼ぶことにした。

 

(4)運営者が楽しめる大会

 これ、大会終了後の参加者の声で意外と多かったので驚いた。参加者が楽しむための秘訣として、運営者が楽しんでいること……そんなことがあるのだろうか。確かに運営者はひたすら楽しそうに運営をしていた。

 大会運営は、大変である。それはもう紛うことなき事実である。なぜ大変なのか?時間が奪われる、競技ができない、お金がなくなる…。様々な理由があるとは思う。しかし、しんどそうに運営している様子を参加者に見せてしまうと、参加者もげんなりしてしまうのではないだろうか。運営者が運営のことでTwitterに愚痴をこぼしている大会に、果たして参加したいと思うだろうか……。改めて、そのようなことに気付かされた。

 ちなみに留年大会の運営者はしんどい感じを表に出さなかったのではなく、たぶん本当に楽しんでいたのだと思う。そりゃもう、参加者から頂いた参加費で連日のように肉を焼いて酒を飲んだり、余剰金でCC7にタダで出場できたりしたのだから、めちゃくちゃ楽しいに決まっている。運営がしんどくなる理由のうち、ひとつだけでも解消できたことは大きかったのではないだろうか。

 

 

 

 

 

 以上、筆者なりに留年大会の人気の秘訣を考えてみた。これらの秘訣は、例外を除けばすべての人にわかっていただけると思う。(どんなものにも例外があるのが残念である)。

 その他にも留年大会の良かったことがあれば、ぜひハッシュタグをつけてTwitterでいまいちど大会を振り返って感想を述べて欲しい。(悪かったところはたくさんありすぎて悲しくなるので、述べないで欲しい)。

 

 

3.第6回留年大会開催情報!

 11月26日に開催されたCC7。1走でなんかよくわからん変な名前のチームがトップフィニッシュしたことが記憶に新しい。実はレースと並行して、とある重要会議が行われていた。なんと次回留年大会の開催が正式に決定したのである!!!まだ構想段階ではあるため確定ではないが、以下にその情報を記す。

 

■日程

2018年7月21日(土)、22日(日)

 

■開催種目

7月21日(土)

スーパーフラットミドル

・ナイトO(タイムスタート?)

キャンプファイヤー

・もしくはバーベキュー

 

7月22日(日)

・リレーマラソン

→2-5人のチームでリレーを行い、一巡したらまた任意の走者へ。制限時間(6時間or8時間)内に何コース完走できたかを競う。

(これこそが、先の章で述べた、次回留年大会の述べ出走者数が絶対に増えると断言できる理由である)

 

■テレイン

愛知県田原市『休暇村 伊良湖

テレイン旧図その1 ( http://home1.catvmics.ne.jp/~ono511/map/iragos.jpg )

テレイン旧図その2 ( http://home1.catvmics.ne.jp/~ono511/map/iragon.jpg )

マキノ高原を少しやぶくした感じだろうか?10年使われていないらしい。楽しそう。

 

■役職

実行委員長                    茂原(1留)

運営責任者                    若松(1留)

競技責任者                    重石(2留)

渉外責任者                    川上(1留)

広報責任者                    山川(1留)

1日目プランナー           ふみごん(1留)

2日目プランナー           熊見(1浪1.5留)

会計責任者                    細淵(1浪1留)

イベントアドバイザー   宮西(2留)

 

 ちなみに、実行委員長は前回大会の表彰式においてルーレットで決定したことは有名だが、その他のメンツは全員分の免許証/学生証を集めて、役職ごとにカードをツモることで決定されたらしい。

 

 

 

 いまのうちにスケジュールを確保してほしい。次回大会にもご期待あれ。詳細はそのうち出ます。

 

 

さいごに

 

留年してしまったあなたへ。

恥ずかしい、みっともない、情けない、しんどい、、、わかります。その気持ち。

互いに傷を舐め合い、そしてクラブ員として一緒に運営しましょう。黄色いTシャツがあなたを包み込みます。

広げよう、留年の輪。

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