オリエンティア Advent Calendar

オリエンテーリングを語ろう。

学連のこと、幹事長のこと

おはこんばんちは。
大阪大学4回生、OLP兵庫所属の遠藤です。
オフショルニーハイ女子に森を走らせる趣味を持つ人の2年後輩にあたります。平成最後の年の思い出は、本命の院試に落ちたこと&滑り止めの院試に受かったことです。

今日は私が所属している日本学連のお話です。今年は裏Advent Calendarの方に2年生の熱い記事とか3年生のクソみたいな対談とか学連関係のやつが多いですが、少しばかりお付き合いください。

 

自己紹介

私と学連との関係はもう3年目。
平成28年に関西学連の副幹事長に就任した後、関西学連幹事長、不本意ながら日本学連幹事長の順に役職を務めております。

この日本学連幹事長というポストが一応学生方トップの扱いであり、はたから見ると強そうな印象を与えるようです。最近は初対面の人からも「ああ、あなたが幹事長の遠藤さん?ご苦労様です」という反応をされることが増えました。

 名前を覚えてもらえるあたり肩書きというのも役に立つなあと実感するのですが、同時に肩書きだけが独り歩きしているような気もします。
これまで自分のしていることを積極的に発信することもありませんでしたし、たまには語ってみようかと思ったり。
特に低学年の現役学生の人が少しでも学連に興味を抱いてもらえたら嬉しいです。

 

ところで日本学連って何してんの?

幹事長のお仕事について書く前に、学連って何なのかをまとめておきます。
会議したり規約つくったりお金出したりってのは確かに学連の業務ですが、それは手段であって目的じゃないわけです。皆さん学連が何のためにあるのかご存知ですかね...?

まずはここ数年間に日本学連で話し合われた重要議題を列挙してみましょう。

・インカレスプリント導入
・Bエリート廃止
・大学院生の加盟の是非
・全日本大会へのインカレ地区予選併設
・インカレスプリントの財政課題*1
・加盟校基準の改定

これらの議題は「インカレ」という共通項でくくることができます。
日本学連ではインカレが全く絡まない議題を探すほうが難しいんです。

 意外に思われる方がいるかもしれませんが、第1回インカレから今年で40年経つのに対して、日本学連は来年で創立35周年です。生まれた順番ではインカレが先で学連が後ということになります。
でもよく考えればそれは当たり前で、草創期の大学クラブが何の目的もなく強い連帯を形成することはないですよね。インカレという共通目的、共通利益ありきの組織が学連だったんだろうと思います。

 

結局「日本学連って何のためにあるの?何してんの?」と尋ねられたら、
「インカレの継続開催が学連の存在意義であり、そのためなら何でもやる」
というのが一つの正解かもしれません。少なくとも私はそのつもりで取り組んでます。

もちろんタテマエとしては「我が国の学生オリエンテーリングを統括する唯一の中央競技団体」とか言ってもいいんですが、別に学連は加盟校を縛ろうとする組織ではないし、そもそも加盟校あっての学連ですから。これについては後述しましょう。

 

幹事長のお仕事

さあ日本学連幹事長のお仕事を解説するぞと思ったところでキーボードを叩く手が止まってしまいます。なかなかすっきりと説明できないんですよね今の役職。

 

これが地区学連幹事長だと若干わかりやすくなります。
地区学連最大の使命は毎年3回のセレクションの実施です。セレや定例戦などの年中行事をいかに完璧にこなすかというのが恒久的なテーマであり、そのための最適な制度設計であったりトラブルへの対処が地区学連幹事長の腕の見せ所なんです。

もちろん雑務も多々ありますが、例えば関西学連の場合は外部への対応とかよりも過去の尻拭いをしてるだけのことが多かったかな。わりと年間計画を立てやすい環境だとは思います。

しかし地区学連って顔見知りの範囲の業務だからトラブル処理とかでやりづらいこともあったし、幹事もみんな業務に不慣れで、日本学連と比べて楽ちんかって言われたら微妙でしたねぇ。がんばれ全国の地区学連。

 

そんな地区学連幹事長と日本学連幹事長の大きな違いは、日学幹事長の定例業務の少なさです。就任時点で積まれてるタスクはほとんど無いと言ってもいい。

言わば最初は真っ白な地図を与えられるんですが、任期を通じて学連内外からの要請/提案があったり、今後を見据えて必要となる施策に気づいたり、現行制度下での問題点が顕在化したりします。先述の重要議題がまさに具体例ですね。

幹事長の仕事は、時に理事の方の助言も仰ぎながら、新しい地図を描いていくこととでも言いましょうか...決してリニアな形では完結しない、たくさんの要素を勘案しながらの作業です。できるだけ多くの人がハッピーになるように学連の方針や制度を決めています。また、日本学連の制度設計は小手先のものばかりではなく、「インカレはどうあるべきか」みたいな根本のところ、すなわち学連の掲げるテーマそのものに触れることが往々にしてあります。それもあって私自身去年より慎重な姿勢になりました。

まあ具体的な作業は、各所との連絡、会議の準備、規約の作成、決済の承認などなど、結構ありきたりです。単純事務は担当部局に丸投げすることが多いので、どちらかというと頭をひねることを要求されます。

しかしながら、どこまでこだわって業務を進めるかというのは幹事長にほぼ任されてます。だから「幹事長の仕事は何?」と問われても、「それはその年度による」って答えるしかないかも...初代から私に至るまで34人の幹事長の中には、ラディカルにいろいろいじった人も、保守的に任期を終えた人もいたんじゃないでしょうか。

一律のゴールや正解がない自由さこそが、この役職の特徴なのかなと感じます。

ちなみに(誰にも言ったことないけど)私のテーマは「学連の整理整頓」です。少しばかりガタガタになってきている学連の構造をきちんと見つめ、40周年ないし50周年を盤石な体制で迎えられたらいいなと。役員が1~2年で交代することの弊害に対して私なりに挑戦しようということでもあります。

 

 

幹事長の心構え

幹事長の仕事にゴールが無いってことは、その気になれば手抜きし放題ってことです。
実際、山積する課題を全てフォローしようなんて考えたら学生辞める覚悟が必要です。そこは私生活*2との均衡が不可欠だし、周囲の関係者の様子も伺いながらどこまでやれるか決めなきゃいけません。

 それでも私は、自分にできる範囲で「主体性」と「当事者意識」という姿勢を大事にしています。極端な言い方をすれば「俺が学連だ」という自惚れですね。業界の動きに関してアンテナを高く張り、学生に関する意見や要望を見かけたときに「あ、自分の領分だ」と思えるかどうか。

直近の例だと今年の裏Advent Calendar 12/10の記事
記事中で日本学連がご指名を受けちゃってます。こういうのは見逃さずにピックアップしたいわけです。

とはいえ、色々やってるうちに「ぼく出しゃばりすぎてないだろうか」と心配になることは当然あります。でも集団で活動してる限りは、誰かがやらなきゃいけないこと(誰がやったっていいこと)って必ず出てくるはずで、その時に見て見ぬふりをせずに先陣を切ることがリーダーシップだと思ってます。何も行動しなけりゃ失敗することも叩かれることもありませんが、私はそういうのあんまり好かないんですよね。

少々青臭いですが実際ピチピチの22歳だから仕方ない。

 

学連へのいざない

学連はいいぞって話もしておきましょうか。

何を隠そう私自身が学連と関わる契機はいつも消極的でした。関西学連に入ったのは他になり手がいなかったからだし、現在のポストも厳正なるアミダくじ*3で決まっちゃったし。

それでも、今となっては学連に来てよかったと断言できます。

・社交性皆無の私に全国の友人ができた

・この業界の歴史と現状を勉強するモチベーションになった

・いろんな立場の方とお話しする機会を得られた

などなど...メリットを挙げればキリがないです。端的に言って視野が広がります。

中でも一番の収穫は、利害調整をこなしていく中で養ったバランス感覚かなと思います。高校のときまで結構ストイックなアスリート*4だった私は「自分に厳しく、他人にも厳しく」という思想になりがちだったんですが、学連で過ごす中で間違いなく丸くなりました。「みんないろいろ事情あるよね~」という姿勢を心に叩き込まないとやってられないことばかりです。ほんとにもう地区学連時代のトラブル処理は未だに思い出したくない。

まあ学連に入って成長できたってのは私に限らず誰しもが感じるはずかと。インカレ表彰台すら俯瞰するのが学連という組織ですから、学連幹事なんて実質インカレ入賞者です(謎理論)

脈絡もなく学連礼賛したせいで胡散臭くなってきました。でもこれを読んで興味が出てきたって人は思い切って学連に飛び込んでみるといいかもしれません。多分皆さんが想像するより学連は気楽な場所で、門戸は開かれています。学年も所属も競技成績*5も関係ありません。幹事になる以外の参画の仕方だってたくさんあります。

気になる人はお近くの学連幹事にぜひ尋ねてみてください。あるいは私のTwitterでもフォローして連絡ください。Twitter上でたまに巻き起こるオリエンテーリング討論が好きな人は学連向いてると思いますよ。

 

学生の皆さんへのお願い

あとは私からの個人的なお願いのコーナーです。
学生の皆さんは学連と加盟校の関係をどう捉えてますか?例えばこんな感じ?

 

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 組織の構成としてはそれで正解です。

でも敢えてこういう捉え方をしてほしいんです。

 

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加盟校間が結びつくことで形成される目に見えないものこそが学連の本質だと私は思います。私たち学連幹事は実務を担当する人としてがんばりますが、学連を構成しているのはあくまで加盟している皆さんであり、学連は元々皆さんが作り上げた場であり、皆さんのために用意されている場なんです。

だから、ボトムアップで学連を盛り上げていってください。インカレに参加すること、各校渉外を通じて議論に参加していくこと、新歓をがんばって学生オリエンティアを増やすこと。全て学連にとって価値あることです。

 

例えば、 キャンパスOツアー・ジャパン(COTJ)2019 *6に参加するのも価値あることです。
http://www.orienteering.com/~uofj/?blogid=1&catid=8&itemid=1423


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お問い合わせは cotj2019@gmail.com まで。

*1:現在進行形の課題です。

*2:例えば院試。例えば卒論。

*3:最後に余計な横線を書き足してくださった前幹事長には深甚なる謝意を表してやみません。

*4:400mとか800mとかね、しんどい種目やってたんですよ。

*5:もし競技成績が必要なんだとしたら私は即刻幹事長解任です。

*6:幹事長が自分の好きなことをやり出した好例