オリエンティア Advent Calendar

オリエンテーリングを語ろう。

JWOC遠征記2019@デンマーク

こんにちは、東大OLK所属、立教大学文学部3年の香取瑞穂と申します。

私は、今年の7月にデンマークで行われたJunior World Orienteering Championships 2019に参加してきました。12/9のアドベントカレンダーでは、その時のことについて書きたいと思います。

開催地

今年のJWOCは、デンマークのシルケボーを中心に開催されました。シルケボーは、ユトランド半島中部に位置し、人口約41,600人のこじんまりした穏やかな町です。

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シルケボー周辺

気候

日本に比べてとても涼しく、大会が開催された7月の最高気温は17度ほど、最低気温は10度ほどでした。夏のシルケボーは曇りが多いようで、大会期間中もほぼ曇りでした。時々虹を見ることが出来ました。雨は、大粒の雨が降る日本とは違って、傘がいらない程の小さい雨粒なのが印象的でした。

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宿舎から見えた虹

物価 

デンマークはクローネ(DKK)という独自通貨を使用しており、1クローネは約16.6円でした。デンマークは物価が高く、観光の時に買ったこの高級そうな500mlの水、15DKK(約250円)くらいしました。

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250円もした水


時差

シルケボーは日本とは7時間の時差があります。緯度が高いため、夜の10時頃になっても昼間のように明るかったです。それにより中々時差ボケは直りませんでした。

日本チーム

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上段:左から、大石洋輔、椎名晃丈、金子哲士、朝間玲羽、寺嶋謙一郎、落合英那 下段:左から、阿部悠、大栗由希、香取瑞穂、世良史佳、古田島鈴音


今年のチームは、高校生から大学3年生まで、幅広い年代がいました。(参加予定だった森清星也君は直前合宿での剥離骨折により欠場)

オフィシャルとして、落合志穂子さん、近藤康満さん、伊藤樹さんが帯同して下さりました。今回仕事の都合により来られなくなってしまいましたが、ヘッドコーチの石澤さんは日本にて沢山のサポートをして下さりました。

レースについて

詳しい競技日程はこのようになっていました。

7/7 スプリント

7/8 ロング

7/10 ミドル予選

7/11 ミドル決勝

7/12 リレー

7/2 出国 

朝9:50、成田空港からフィンエアーの飛行機に乗車。飛行機の中で椎名君が話をした北欧系の乗務員さんが、数年前にJWOCに出場していたことを聞き、とても驚きました。飛行機は無事に出発し、約10時間かけてフィンランドヘルシンキ空港に到着。そこで2時間ほど乗り継ぎ待ちをし、続いてデンマークのビルン空港行きの飛行機に乗車。1時間ほどでビルン空港に到着しました。そこから2時間ほどバスと電車を乗り継ぎ、夜9時頃に宿に到着しました。

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宿舎

シルケボーについた翌日には、大会期間中の宿となる宿舎に移動。宿にはA・B・Cとランクがあるので選択する形になります。日本チームは一番安いCランクの宿を選択。部屋は大学の小教室で、椅子や机を教室の端にずらし、そこに簡易ベッドを置いたような感じでした。シャワーは外の駐車場に止まっている移動式仮設シャワーでした。

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大学の小教室が今回の宿

食事

大会期間中は全ての食事が提供されるので、とてもありがたかったです。

宿舎について初めての昼食は、麦にサーモン、エビ、メロン、パプリカ、キュウリ、人参が混ざっており、そこに無味のオリーブオイルのようなものをかけて食べるものでした。日本人の口には合わず、この先が思いやられる食事でした。

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麦にサーモン、エビ、メロン、パプリカ、キュウリ、人参

朝食・夕食はビュッフェスタイルの食事でとても豪華でした。朝食はサラダ、パン、ハム、チーズ、フルーツなど、夕食はそれらにポテト、肉などが加わりました。中でも、デンマークのパンは日本のパンに比べ、ずっしりとしており食べ応えがありました。

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朝食の写真

デンマークの森 

本戦前のトレーニングキャンプでは3つの森に入りました。

3つとも、地図でパッと見た印象としては日本で言う矢板テレインに似ているなあ、という印象でした。斜面はそれほど急ではないので走りやすいですが、同じような尾根や沢が複雑に入り混じっているため、気を抜くと間違った尾根や沢に入ってしまいそうでした。地図を見るよりかは、現地の見通しが悪いため、方向維持が難しそうだと感じました。

さらにデンマークの森の中には超巨大でカラフルなナメクジがいました。

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全長10センチの超巨大ナメクジ(写真では地図の奥)

さらに、テレイン内にはベリーの木が沢山ありました。レース中の外国人選手は、お腹がすいたのかそこら辺のベリーを摘んで食べていました。私たちも真似をして食べてみたらとても美味しかったです。

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ベリーの実を食べている様子


スプリントのトレーニングキャンプ

レーニングキャンプ2日目の午前中には、市街地でのスプリントトレーニングをしました。地図をパッと見た感じでは、一つ一つの建物も大きく、そこまで難しそうに見えなかったのですが、いざ走ってみると日本チームは皆大苦戦。レース後半のルートチョイスが難しかったです。

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トレキャンのスプリント地図

開会式

7/6の昼に、JWOCの開会式が行われました。日本チームは椎名君が旗手として先導し、シルケボーの町を行進しながら入場しました。

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行進している様子

本戦1種目目 スプリント

7/7 宿舎からスプリント会場までは、バスで1時間ほどのオーフスという町で行われました。オーフスはコペンハーゲンに次ぐデンマークの第二の都市であります。

モデルイベントのスプリント地図は、非常に細部にまで渡って書かれていたため、本番でも、細部まで読む必要がある難しいコースが来るのではないかと予想していました。しかし、実際にはそれほどコースの難易度は高くなく、細かい地図の中でいかに最低限必要な情報を読み取ってスピードを出すかということがカギでした。普通の市街地なので、近所の住人なども辺りを歩いていたり、家の裏の細い路地までも地図上で書かれていたりして、ここ本当に通って良いの?と思うことも多々ありました。

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本番のスプリント地図

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森清くんを始めとする東海生作のスプリント対策地図

スプリントの対策マップを、森清くんを始めとする東海生の方々が作成してくれました。この対策マップは、勿論現地には行かないで日本で製作されています。本番の地図と比較しても分かるように、クオリティーが本当に高かったです。

 

本戦の後には一般クラスがあり、オフィシャルの伊藤樹さんが出場していました。しかし、オフィシャルの方が併設クラスに参加することをあまり考慮されていないのか、スケジュールはとてもタイトでした。

一般クラスのスタートは14:15からフリースタート。しかし、宿舎行きのバスの発車時刻は14:30。コース距離は3.0キロほどあります。

ということは、15分以内にレースを走り、結果を読み取り、そこから500メートル程離れたバス停に向かわなければならないという何とも絶望的なスケジュールでした…

しかし、バスが少し待っていてくれたことや、樹さんの素早さにより、無事にバスに乗車することができていました。

本戦2種目目 ロング

7/8 大石君が87位という日本人歴代3位の好順位でフィニッシュ。朝間くんは、レース中に派手に転んだ衝撃でコンパスを破壊、金子君は、スピードに乗って全力で走っていたらいつの間にかコンパスの外側しか残っていなかったそうです。男子のパワーは凄いなと思いました。

レストデー 

7/9 本戦期間中の休みの日。午前中はモデルイベントがあり、午後には自由参加のスポーツ大会がありました。日本チーム男子は「モルック」というゲームで盛り上がっていました。モルックとは、ボウリングピンの様に立っている点数が付いた木製のピンに、木の棒を投げて倒し、倒した点数が50点ぴったりになった人の勝ちという、フィンランド発祥のゲームです。

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モルックをやっている写真

本戦3種目目 ミドル予選 

7/10 翌日の決勝戦に向けての予選。翌日はA・B・C決勝に分かれており、予選で3分の1以上に入ったらA決勝に参加することができます。

地図をパッと見た感じだと、白くて走りやすそうなテレインに見えましたが、実際には全然違いました。地図上では白い所でも見通しの悪い所が多く、なんといっても下草に足を取られて中々スピードが出ず…。走っているつもりなのに中々進んでいないせいで、ポスト手前でウロウロしてしまうことが多くありました。

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ミドル予選の地図

本戦4種目目 ミドル決勝 

7/11 日本チームは全員がC決勝に。昨日のリベンジとして挑みましたが、やはり複雑な地形に対応することが出来ず、悔しい結果となりました。

最終種目 リレー

7/12 女子は日本から2チーム(香取・世良・阿部、落合・大栗・古田島)、男子は日本から1チーム(大石・寺嶋・金子)と香港と混同チーム(朝間・椎名・香港)が出場しました。一緒に走ってみて、やはり海外選手のスピードは凄まじいなと感じました。


JWOC 2019 Denmark - Relay (JWOCリレーのハイライト動画)

動画からも分かるように、海外の選手は全然止まらないのです。薮でさえも無いもののようにすいすいと掻き分け、ずっとトップスピードで走っていて本当に凄かったです

バンケット

夜はJWOC恒例のバンケット。雰囲気をガラッと変え、各チームで衣装を揃えて参加をし、ダンスを踊ったり、他国の選手と交流をしたりしました。日本チームはピカチュウの衣装で揃えて出席しました。

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集合写真。ピカチュウ、天使、悪魔など、様々な恰好をした人がいました。

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全身タイツでピカチュウを表現


これにて今年のJWOCは幕を閉じました。

パスポート入れ違い事件

JWOCも終わり、帰国の時となりました。帰国はJWOCの翌日にすぐ帰る先発隊と、1日観光してから帰る後発隊に分かれました。先発隊は、JWOC最終種目の翌日朝にバスと電車を乗り継いで空港に向かいました。

宿舎で先発隊をお見送りしてから数十分すると、先発隊からある電話がかかってきました。内容は先発隊の悠ちゃんのパスポートと、後発隊の由希ちゃんのパスポートが入れ違ってしまっていたのに気づいた、という連絡でした。

先発隊はもうすでにバスに乗って駅に着き、駅で空港行きの電車を待っている所でした。宿舎から駅までは約3.5km、それほどバスの本数も多くないし、空港行きの電車の出発時刻も迫っていました。どうしよう…最後にして最大の危機を迎えました。

解決策として、先発隊と後発隊から一番足の速い人を送り出して走ってもらい、宿舎と駅の途中で落ち合ってパスポートの受け渡しをする、ということでした。

金子君と樹さんの活躍により、中間地点で無事にパスポートを受け渡すことに成功しました。

観光 

観光ではデンマーク第2の都市、オーフスに行きました。オーフスの歴史を再現したテーマパークの「オールドタウン」や、現代アートを楽しめる「アロスオーフス美術館」などに行きました。

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アロスオーフス美術館の屋上にある、レインボーパノラマ。カラフルなグラデーションで彩られた円の内部を、ぐるっと一周歩いて楽しめるスポットです。とても綺麗なのでオススメです。

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美術館のシンボル的な作品。高さ約5mの巨大な少年。

終わりに

私はこの2週間で、沢山の感情を味わうことが出来ました。自分のレースに関して言うと、悔しさばかりだったかもしれません。しかし、それらも含めて一生の思い出になりました。さらにはオフィシャルさんやチームの仲間、そして現地の方に支えられた2週間だったと実感しています。

 

今回この記事で一番伝えたいことは、日本でのオリエンテーリングももちろん楽しいですが、海外でのオリエンテーリングは楽しい!ということです。日本とは違った風景でのオリエンテーリング、海外選手と競える機会、生活面などなど、楽しいことが沢山あります。さらに、2週間もオリエンテーリング漬けの日々を過ごせる機会なんてめったにないです。というわけで、JWOCに行ける資格のある人はこの舞台を目指してほしいなと心から思います。

おまけ?

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JWOCの広報担当の人にインタビューされ、会場の巨大スクリーンに写っている椎名くん、大石君の様子。

 

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顔が瓜二つなデンマークの代表選手(Mads Skaug)と伊藤樹さん

 

 


まとまらない文章でしたが、最後までお読み下さり本当にありがとうございました!