オリエンティア Advent Calendar

オリエンテーリングを語ろう。

中学・高校のOL部について

この記事はオリエンティアadventcalendar2018」13日目の記事となります。
はじめまして、元麻布学園OLK所属の折橋 旺と申します。10月に引退したので現在は無所属です。企画者の小柴さんにお声をかけていただき、12/13のオリエンティアadventcalendarを担当することとなりました。
僕は中学1年よりOL競技に取り組んできましたが、中高時代からOL競技に取り組む選手は少数派。普段紹介する機会もあまりない上、OL部のない中高を卒業なさった方も多くいらっしゃるため、中高OL部の活動について謎になっている部分も多いと思います。
 この場をお借りして、中高OL部の活動について少し紹介できればと思います。

以下、4部構成となっております。全部を読むとそこそこの分量(約11,000字)があるので、端折りながら読む事をお勧めいたします。

 

第1部:中高OL部の活動紹介

第2部:中高OL部の歴史

第3部:中高OL部が抱える課題

第4部:まとめ

1  中高OL部の活動紹介

中高OL部も活動の根本は大学と変わらず、「大会に出て成績を残すこと」です。大抵の学校では、週末の大会参加と平日の部活動が主な活動になっています。それに加えて練習会運営や合宿、時たま地図調査と大会運営も行いますが、大学生がやっている規模のものではないです。(東海中高ではWOC2005や全日本スプリントの運営の参加経験があるそうです)

目標としている大会は以下の通り。

①インターハイ

インカレ動画を撮影なさっている方が今年のインターハイについても動画をYoutubeにアップしているので、そちらをご覧になるとインターハイの様子がよく分かると思います。

正式名称は「全日本中学校高等学校オリエンテーリング選手権大会」。「インターハイ」ですが中学の全国大会も一緒です。1987年度(88年3月)の第1回大会以降年1回、現在では例年8月下旬-9月の3日間に渡って開催され、個人戦団体戦(どちらもフォレスト)の2種目が行なわれます。全日本やインカレで使われた実績あるテレインを使う場合が殆どです。

  個人戦はインカレと同様選手権クラス(高校:ME/WE、中学:JME/JWE)と一般クラス(高校上級:MS/WS、高校新人:MF/WF、中学上級:MJ/WJ、中学新人:JMF/JWF)に分かれており、男子は個人戦選手権出場のためにセレがあります。女子は人が少なすぎるので現在はセレなしで選手権に出られる状態。女子一般クラスに至っては催自体珍しいという有様。

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インターハイ2018個人戦ME表彰

団体戦はインカレリレーと同様学校対抗の3人リレー。インターハイは各選手権クラス、1校につき2チーム(AチームとBチーム)までエントリー可能。しかし、遅い方のチームは参考記録となります。同じ学校のAチームBチームで優勝か参考記録か競い合うことも少なくありません。このようなルールになっているのは中高生のDISQが多い特に麻布からであり、インターハイ2018団体MEは完走率40%(10チーム中6チームDISQ)。優勝争いも例外ではなく、2017年、2018年の団体MEは共にトップゴールのチームがDISQという微妙な決着。

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インターハイ2018団体ME優勝の瞬間。DISQによる

繰り上げ優勝なのでウイニングランもない

(写真:国沢五月さん)

男子団体戦は参加校の少なさゆえ東海vs桐朋vs麻布の様相が色濃く、過去のインターハイ高校団体選手権31回中28回がこの3校の優勝となっています。中学男子の団体選手戦は東海が初開催(2012年)から8連覇中。他校を全く寄せ付けない強さで、東海ABチームでワンツーフィニッシュするという年もあります。他校もっと頑張れby勝てなかった人

一方の女子団体戦参加校が少ないどころかいない。エントリーチーム0で女子団体戦中止となる年がほとんど。個人でやっている女子選手は多少いるのですが、同じ学校に3人女子選手がいることは珍しいのです。最後の出場が2014年(残念ながらDISQ)、最後に記録が残り優勝校がちゃんと決まったのは1993年。女子団体では25年以上優勝校が存在しない状態が続いています。

こんなインターハイですが色々語っておいて今年が最後。来年からは「ジュニアオリンピックオリエンテーリング選手権大会に生まれ変わります。運営母体がOB組織「OS会」からJOAになり、日本オリンピック委員会の後援(予定)をとりつけるなど営体制の強化が図られています。開催地選定・要項発行の遅れなど運営体制の不安定さが課題となっていたインターハイですが、改革を通して改善に向かうのか注目です。

ジュニアオリンピックオリエンテーリング選手権大会HP

②インターハイセレクション

男子のみあるインターハイのセレは中高生がDISQしまくるので3度に渡って実施ポイント制で,ポイントの高い2戦の合計ポイントで競います。関東と関西の2地区に分かれて実施され、茶の里いるま大会やロングセレといった一般の大会の特定クラス(事前にインターハイ運営から指定あり)にて行います。JWOC代表、前回大会入賞者、学校にオリエンティアが1人しかいないぼっちティアはセレ免除。関東では麻布桐朋浦和の3校(中学は麻布vs桐朋)の部員による争い、関西では殆ど東海の部内セレとなっています。

③ジュニアチャンピオン大会

毎年1月下旬に東京近郊で開催される多摩OLクラブ主催の大会。来月20日は七国峠で第36回大会開催予定。1978年開始と歴史はインターハイよりも古く、男子初代チャンピオンはあの村越真さん東海が参加する年もあり、第2のインターハイとなっています。選手権クラスであるJME/JWEで優勝すると「ジュニアチャンピオン」の称号が手に入り、合計2-3万円相当の景品(Oシューズなど)がもらえます。

④全日本大会

高校生のトップ選手はロング・ミドルでは20Eに参加。東海の森清選手が全日本ミドルM20E連覇など大学生に負けない活躍を見せています。インターハイにスプリント競技がない影響で全日本スプリントに出場する高校生は少ないですが、こちらでも森清選手がMEで準優勝するなど大活躍。その他の高校生や中学生は20A、18A、15Aクラス等に参加。東海と関東の選手が同じレースを走る機会は少ないので、インターハイの前哨戦として一つの目標となっています。

全日本リレーではMJ/WJ代表やXJ代表として出場。東海は愛知・岐阜・三重代表、麻布や桐朋は東京・神奈川代表で出場するので、学校対抗のレースとなることも多いです。

森清選手は岐阜のME1走で3位。高校生じゃないのかもしれない

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全日本リレー2016(岩手)で力走する麻布の選手(東京都MJ代表)

⑤国際大会

毎年4月上旬に開催されている日本代表選考会。U20強化選手を中心に多くの高校生がJWOC(ジュニア世界選手権)出場を目指しており、例年2-3人の高校生が代表入りを果たします。JWOC本戦でも日本人トップミドルB決勝出場等大学生に負けない活躍を見せています。

また、AsOC(アジア選手権)には今年から18Eクラスが追加。中高生の国際大会での活躍の場が広がり、多くの中学生が代表入りしています。

隔年開催のAsJYOC(アジアジュニア・ユース選手権)では16歳クラス、18歳クラスがあり、こちらも多くの中高生が活躍しています。来年は日本開催のため、更に多くの中高生が出場することとなるでしょう。

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JWOC2017に出場する森清選手 

 

このように様々な大会に出場し、活躍している中高生ですが、活動内容や特色は学校によって大きく違います。現在オリエンテーリングを部活で行なっている11の学校を偏見で紹介します。

麻布中学・高校

東京都港区にある中高一貫子校。オリエンテーリング部は1977年創部。現在は部員約60名で地味に運動部ではサッカー部に次ぐ規模だが多分麻布の生徒の半分は運動部なのか文化部なのか知らない

インターハイでは個人9回、団体10回優勝している強豪(団体戦は最多優勝回数を誇る)だが、自主自律の校風そのままに、オリエンテーリング部も競技に取り組む熱意は各部員に委ねられているからか昨日の部活は開始時刻に3人しか来なかったらしい

OBには尾崎弘和さん大田将司さん濱宇津佑亮さんなど。また、今月開催のAsOCでは清古光選手福室凜選手の2人が麻布から日本代表に選出されている。ちなみにインターハイ2018団体高校選手権優勝校。2018年にはTBSラジオの番組内で紹介された。

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2018年1月、TBSラジオの取材に応える金子部長(当時)

 

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水色トリムが特徴

桐朋中学・高校

東京都国立市にある男子校。1978年創部で麻布と違って昔から活躍しており、例えばあの鹿島田浩二さん桐朋出身で初代インターハイチャンピオン。最近ではインカレロング2018を制した柴沼健さんなどを輩出している。史上唯一のインターハイ個人戦3連覇を達成した山田高志さん桐朋で活躍した選手。インターハイ個人10回、団体10回優勝(個人は単独最多、団体は麻布と並んで最多)を誇る。

また一方で中高クラブでは珍しく毎年「お父さん杯」という外部公開の大会を開催している(来月にはtabo×2杯を開催予定)。

部活ではランニングに加え校内Oなどオリエンに特化した練習も行なっているらしい。一方で部の雰囲気は緩い。特に上下関係

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インターハイ2018観戦ガイドより。実際のタイムは81分9秒

やりますねぇ!

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赤いトリムが特徴

➌東海中学・高校

愛知県名古屋市にある中高一貫男子校。

一応「ワンダーフォーゲル部」だが活動の中心はオリエンテーリング

オリエンテーリングに取り組み始めたのは1997年と麻布や桐朋、浦和より遅いが、2004年にはインターハイ個人初優勝、2006年には団体戦初優勝、2013年には高校生だけのチームで7人リレー5位入賞(大学生以下のチーム中名椙選抜に次ぐ2位)と個人の強さ、層の厚さの両方を兼ね備える。インターハイ優勝は個人7回、団体9回と既に麻布・桐朋に迫る勢い。JWOCにもほぼ毎年日本代表を送り込んでおり、大学生に勝る活躍をする東海生も多数。

最近ではインターハイ2018個人優勝にとどまらず、JWOC2018Long日本人トップ、インカレスプリントME4位相当(前走にて)、全日本ミドルM20E優勝、全日本リレーME1走3位、全日本スプリント準優勝など既にトップオリエンティアの一員となっている森清星也選手JWOC2018ミドルB決勝出場祖父江有裕選手の活躍が目立つ。

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JWOC2018 LongDistanceでの森清選手

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JWOC2018MiddlleDistance
Qualificationでの祖父江選手

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岐阜県知事に活躍を報告する森清選手

今月のAsOC、東海の現役からは森清選手、祖父江選手の2選手のみの出場だが、中学生ながらキロ8分台でインターハイ2018中学選手権を制し早川正真選手や同選手権4位の森創之介選手、6位の生田真大選手5位かつインターハイ2017中学選手権を制した藤原孝太郎選手など将来有望な中学生も多く擁する。インターハイ団体戦中学選手権では2012年の中学選手権初開催以降8連覇。一度も優勝の座を明け渡したことがない

OBには堀田遼さん、近藤康満さん、宮西優太郎さん、深田恒さん、種市雅也さん、稲森剛さん、佐藤遼平さんなど数えきれないほどの名選手が。

顧問の大野聡生先生によって確立された指導環境や部の体制が圧倒的な強さに大きく貢献しているとみられる。詳細は聞けない

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青と白が基調のトリムに帽子を被ったスタイルが特徴

県立浦和高校

埼玉県さいたま市にある男子校。市立浦和とか浦和学院とかもあるがOL部があるのは県立浦和。

1975年創部で現存する中高OL部では最古参。40年以上活動する他の中高OL部は皆中高一貫である中、県立浦和だけは高校のみでありながら40年以上活動を続けてきた。創部当初から地図調査や練習会運営・合宿の開催、麻雀など精力的に活動していたそう。

学校が「浦和体育学校」と揶揄されるほど体育系の行事が多い。

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県立浦和の1年
そのためかOL部の活動も公園まで片道5km走ってそこで坂ダッシュやインターバルを行うなど結構ハード。*1部員が地図調査を行い、毎年埼玉県内の公園で「UHS大会」という一般公開の大会を開催している。

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オレンジのウェアが特徴

武相高校

神奈川県横浜市にある中高一貫の男子校。顧問の橋本浩一先生は横浜OLC所属のオリエンティアで部員と共に大会に出場なさっている。2003年創部、インターハイ初出場は2005年と歴史こそ浅いものの、過去2度のインターハイ個人戦優勝、部員のJWOC出場も3度を誇る。

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青が映えるトリムが特徴 

 

東農大三中学・高校

埼玉県東松山市にある中高一貫共学校。活動期間はかなり長く、インターハイは第1回大会より参加している。2010年を最後にインターハイには参加していないが、ジュニアチャンピオン大会や埼玉県民大会といった東京・埼玉の地域クラブ主催の大会には積極的に参加している。

また、長年東農大三高大会」を開催していたが、顧問の先生の引退に伴い昨年で終了した。

中央大学附属中学・高校

東京都小金井市にある中高一貫共学校。

「生物部(wildlife部)」という独特の名前の部活。活動内容はオリエンテーリングフォトロゲ、自然観察、学会等でのポスター発表など多岐にわたり、日本進化学会高校生ポスター発表部門で最優秀賞を受賞するなど輝かしい実績を残している。オリエンテーリングの大会にも参加しており、11月にはKOLC大会(長野)に中高クラブで唯一部として出場翌日には北八ヶ岳山行を行うといった多様な活動ぶりを見せている

➑県立千葉高校

千葉県千葉市にある共学中高一貫校

地理部として活動。巡検や研究活動といった活動を元々していたが、2017年ごろよりオリエンティアでもある顧問の小林岳人先生の働きかけでオリエンテーリングが活動に導入される。頻繁に練習会を開催しており(参加者の所属は地理部、陸上部、山岳部、バトミントン部、テニス部と多岐にわたり、また、千葉大のティアが練習会に参加していることもある)、3月には初の大会となる「上総湊港海浜公園大会」を開催した。インターハイには未参加だが、今後の活動に期待が高まる。

筑波大学附属高校

東京都文京区にある共学の中高一貫校

2017年、オリエンティア2世であり小学生の頃よりオリエンテーリングに取り組んでいた国沢琉選手*2が中心となって誕生。大会や他校の練習会への参加など精力的に活動し、同年のインターハイ団体戦に出場、4位という記録を残した。今年4月には1年生の楢原麻里選手が入部。8月のインターハイWEでは3位入賞を果たし、ME5位入賞の国沢琉選手と共に1990年の川和高校以来28年ぶりのインターハイアベック入賞を果たした。

国沢琉選手は今月のAsOCにも出場予定

➓長岡高校

新潟県長岡市にある共学の高校。

共に二世オリエンティアであり、中学以前から競技に取り組んでいた古田島鈴音選手丸山里那子選が共に長岡高校に入学、「ティア同士で集まれる場所を学校に作りたい」と考えオリエンテーリング同好会を創立。高校からオリエンテーリングを始める部員も入部しており、指導を兼ねた地図読み練習や学校のOMAP調査が現在の主な活動内容。また、新潟大の合宿に参加することでファシュタなどの自分たちだけではできない練習も実施。古田島選手曰く、来年以降新歓を行い、来年のインターハイ団体戦女子高校選手権出場を目指したいとのこと。完走すれば26年ぶりの女子団体優勝校となる。

⑪豊田高専

愛知県豊田市にある高等専門学校オリエンテーリング部は名椙大会や愛知県選手権、昇竜杯といった地元愛知の大会中心に参加し、インターハイのMEにも2006,2007年の2度出場している。

また、2009年には「豊田スタジアム大会」を単独開催、120人程度の参加者*3を集めている。

オリエンテーリングマガジン2009年8月号に掲載された大会の様子

 

OL部、あるいは部としてオリエンテーリングをやっている部活は現在この11校のみですが、社会人クラブに所属して競技をやっている選手(多くは二世ティア)も多くいます。例えばインターハイ2018中学男子個人選手権準優勝でAsOC代表にも選ばれている寺嶋謙一郎選手はES関東Cに所属、インターハイ高校女子個人選手権準優勝でAsOC代表の落合英那選手はOLCルーパーに所属して活動しています。

また、地域クラブでも伊勢志摩OLC三重県内に住む中学生ティア中心で活動しており、混成チームながら伊勢志摩OLCでインターハイ団体戦出場、麻布、桐朋東海のチームに勝利して一般クラス優勝を果たしています。

 

このように小規模ながら活躍を続ける中高生オリエンティアですが、昔の中高OL界は、現在よりもずっと大規模なものでした。第2部ではその過去について取り上げたいと思います。

 第2部 中高OL部の歴史

 

70年代~80年代、各地の中高にオリエンテーリング部(同好会)が誕生しました。今回の記事執筆にあたってfacebookオリエンテーリング情報サイトにて情報提供を募った結果、少なくとも以下の学校にOL部が存在したことがわかりました*4太字がOL部の現存する学校です。

・県立浦和高(埼玉、1975-現在)

・麻布中高(東京、1977-現在)

桐朋中高(東京、1978-現在)

東農大三中高(埼玉、1985-現在)*5

・東海中高(愛知、1997-現在)

・武相中高(神奈川、2003-現在)

・中央大附属中高(東京、2012-現在)

・県立千葉高(千葉、2017-現在)

・筑附高(東京、2017-現在)*6

・長岡高(新潟、2017-現在)

・豊田高専(愛知、?-現在)

早稲田実業中高(東京、1973-1998)

国分寺高(東京、1973-1995頃)

保谷高(東京、1973頃₋1990年代前半?)

・川和高(神奈川、1975-1990年代?)

早大学院(東京、1978-1980年代)

・足立高(東京、1977東日本大会参加)

・所沢北高(埼玉、1977東日本大会参加)

・白鷗高(東京、1977東日本大会参加)

武蔵村山高(東京、1978に活動記録あり)

成城学園高(東京、1978に活動記録あり)

・緑ヶ丘高(神奈川、1978に活動記録あり)

・足利南高(栃木、1978に活動記録あり)

・学大附属高(東京、1970年代後半?)

川崎市立向が丘中(神奈川、1978-80頃 )

・川崎高(神奈川、-1980)

・江北高(東京、1980頃)

・東京高専(東京、1980-1998頃)

・宝仙高(東京、1970年代₋90年代)

・豊岡高(埼玉、1980に活動記録有、1987のインターハイ出場)

・須磨友が丘高(兵庫、1985-89)

・旭丘高(愛知、1985-89)

・千里高(大阪、1980年代)

・摂津高(大阪、1980年代?)

・横須賀高(神奈川、1985-1992の活動を確認)

大泉学園(東京、1987のインターハイ出場)

・水戸二高(茨城、1987-1991のインターハイ出場)

・成田西高(千葉、1989、90のインターハイ出場)*7

・茨木高(大阪、1980年代₋90年代前半?)

洛星高(京都、1980年代?-2000頃)

・八王子東高(東京)

水戸一高(茨城)

(12/18追記) 

また、1976~89年の主要大会(全日本、東日本、朝日など)に複数回に渡って団体で参加していた学校に以下の学校があったとの情報をいただきました。OL部が実際に存在したかどうかは不明ですが、多くの学校に中高生オリエンティアがいたことがわかります。

荒川工業高(東京)

・上野高(東京)

・金沢ニ水高(石川)

・川口工業高(埼玉)

清瀬高(東京)

・高志高(福井)

・神戸高(兵庫)

芝浦工大高(東京)

・順天高(東京)

・大師高(東京)

・東海工業高(愛知)*8

・都立北高(東京)

日大三高(東京)

・沼津高専(静岡)

・農芸高(東京)

・半田工業高(愛知)

・平塚商業高(神奈川)

・藤枝西高(静岡)

・藤島高(福井)

・南葛飾高(東京)

安田学園高(東京)

・赤塚二中(東京)

・荏原六中(東京)

・青梅三中(東京)

・木更津ニ中(千葉)

・郷壮中(大阪)

・新町中(東京?神奈川?)

・指扇中(埼玉)

・助川中(茨城)

蘇我中(千葉)

・田無一中(東京)

・富岡中(神奈川?千葉?)

・豊田中(神奈川)

習志野五中(千葉)

・東村山ニ中(東京)

 

(おまけ)

小学校にもいくつかOL大会に団体で参加する学校があったらしく、越生小(埼玉)、南高麗小(埼玉)、瑞穂第三小(東京)での活動が確認できました。

 

時期こそ違いますが、かつては40校以上のOL部が存在、大会参加のみ確認できた学校も含めると70校以上で中高生オリエンティアが活動し、中高OL界はかなり盛んで遭った事がわかります。

大会参加者も非常に多く、例えば1977年東日本大会の成績表を見ると、H17*9Aクラス57人、H17Bクラス16人、H17Cクラス52人、H15*10Aクラス60人、H15Bクラス41人、H13*11Aクラス35人、H13Bクラス28人、H 13Cクラス54人、男子中高生だけで300人以上の参加がありました。(ただ、当時から女子選手の参加は少なかったようで、同大会の女子選手の参加者は30-40人程度となっています。)

中高OL界の盛り上がっていた背景にはオリエンテーリング自体(徒歩OL含め)の高まりがありました。国のバックアップでオリエンテーリングが猛プッシュされていた時代、子供の頃にオリエンテーリングをする機会はいまよりもはるかに多い時代だったようです(オリエンティアでもなんでもないうちの親ですら小学生の頃オリエンテーリングをやったことがあるそう)。学校でもオリエンテーリングが行なわれており、国立中央青年の家・研修センター主催の教員志望者向け野外活動講座では(文部省の方針で?)オリエンテーリング研修も行なわれていたそうです。

 

 高校OL部間でのつながりも強く、 1978年当時「関東地区高校オリエンテーリングクラブ連絡協議会」には26校が加盟。

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当時の活動記録(提供:池ケ谷悦郎さん)

1980年夏の「6日間練習会」や1980年代半ばの「10回定例会*12など現在では大学クラブもなかなかやらないようなイベントを高校生のみで開催していました。「関東高連リレー」

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6日間練習会成績表

2校だけで練習会を6回開催

(提供:池ケ谷悦朗さん)

活動は関西でも盛んで、千里高校、茨木高校、摂津高校、洛星高校を中心に合同練習会をたびたび開催したり、関西学連(大学の学連)に運営を委託して「関西高校選手権」を開催したりしていたそうです。

やがて関東・関西の高校OL部が一堂に会して競い合う「高校生親善 OL東西対抗戦」が1982年にスタート*13。ただレースで順位を競うのみでなく、関東の学校が東軍、関西の学校が西軍に分かれ、上位10人の合計タイムを競い合うものでした。また、関東では「関東高連リレー」というリレー大会も開催されていました。

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第1回東西対抗戦成績表表紙(全日本高等学校・中学校選手権大会 成績表 - オリエンテーリング インカレリレーデータ集より、以下1枚も同様)

 

 

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開催地の紹介

清水寺のど真ん中をオリエンで駆け抜けてみたい

このような自分たちで大会運営を行う行動力は、やがて1988年3月の第1回インターハイ開催へとつながっていきました。

しかし、インターハイが始まった頃より、数多く存在した中高OL部はひとつ、またひとつと消えていきました。しまいには関西圏のOL部全滅*14。関東でも麻布、桐朋、浦和、東農大三高を除いて全滅*15しました。

第3部 中高OL部の課題

 

かつては多数あった高校OL部の殆どが消えてしまった背景には、現在中学高校が直面している事情があります。

まず、中高OL部は規模が小さく常に存亡の危機にあるということ。そもそも中学・高校の全校生徒は中高一貫でも2000₋3000人程度、高校のみ、中学のみの学校だと1200人程度。生徒数の少ない中学・高校では10人部員を毎年集めるのも現在では*16難しいです。さらに高校のみ、中学のみのOL部には2学年しか部にいません。この状況で1回新歓に失敗し、0人の代ができてしまうと、その翌年上の代が3年生になり引退。OL未経験の1年生しか部にいなくなることも。こうなってしまうと顧問がオリエンティアでない限り未来はありません。こういった問題が部員減少の背景にあります。

 麻布の場合、「インターハイ団体優勝!」と大会実績をアピールしたり、「部活では楽しくサッカー!」ともはやオリエンと関係ないところをアピール*17したりしてなんとか部員を確保しています。

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でかいトロフィーで勧誘する作戦

また、部の活動のためには部員をただたくさん集めればよいのではなく、部員を教育して大会で活躍できるようにしなくてはなりません。しかし、全ての部員にオリエンテーリングのモチベーションがあるわけではない上、上級生から下級生へと技術を教える体制がしっかり整っていない*18ために指導不十分なまま大会に出場させてしまう*19ことが多々あります。このような体制の未熟さが中高生オリエンティアの実力が大学生ほど伸びない一因となっています*20

また、OL競技に取り組みずらい環境にあることも大きな問題となっています。例えば顧問の問題。中高の部活動では顧問の存在は不可欠*21です。しかし、オリエンテーリングに理解を示してくれる顧問は限られています。*22特に公立高校の場合は定期異動が存在し、活動に理解を示していた顧問が急に転勤していなくなってしまう場合も有ります*23顧問に恵まれずに消えていったOL部も数多く存在します。顧問の問題の他にも、車を持たず行動範囲が限られている*24ことや、金銭面の都合から大会参加があまりできない*25ことが活動の妨げとなっています。

 第4部 まとめ

中高OL部は現在小規模ながら頑張って活動していますが、それでも多くの問題点を抱えています。時には大学生・社会人の方のご協力*26を受けて活動しています。中高OL界が盛んになれば森清選手のような名選手がもっと出てくることと思うので、これからも応援して頂けると幸いです。

最後となりましたが〆切を1時間半もオーバーしたことをお詫び申し上げます。

 

 

本記事の執筆に当たっては以下の方を始めとする多くの方に情報提供などでお世話になりました。この場をお借りして御礼申し上げます。

池ヶ谷悦郎さん

石澤 俊崇さん

稲田 旬哉さん

今井 康博さん

宇治橋さん

大井 和之さん

片山さん

国沢五月さん

 倉部 淳さん

後閑さん

長友 武司さん

三科 伸之さん

 

 

(情報に誤りがある、選手の氏名を間違えている、東海ばかり取り上げるななどあれば折橋の Twitterあるいは当記事のコメント欄までお願いします。)

 

 

 


 

 

 

 

 

*1:インターハイ2015観戦ガイドより

*2:父親の国沢五月さんは桐朋OBで1991年WOC代表、兄の国沢楽さんも桐朋OBで2015年JWOC代表

*3:現在100人超規模の大会を単独で開く中高OL部はありません

*4:部として認められていなくても○○高校OLCと名乗っていたこともあったようなので、ここで紹介する学校の一部にはOL部がなかった可能性も有ります。

*5:中学OL部創部は高校OL部よりも後になってから

*6:中高一貫だがOL同好会は高校のみ

*7:現:成田国際高校

*8:現:愛知産業大学工業高校

*9:現在のM18に相当

*10:現在のM15に相当

*11:主に13-15歳の男子が参加

*12:1年間かけて10回行い、年間ポイントを競うもの

*13:ただこれは現在のインターハイほど重要な大会ではなく、当時の高校生の目標はあくまで全日本大会(東西対抗戦は全日本大会の翌日に開催)や公認大会H17クラスやHAクラス、大学主催の大会のHEクラスであったそうです

*14:東海が登場するのは全滅から数年後のこと

*15:武相、県立千葉、筑附、中附は皆21世紀に入ってから出来た新参勢力

*16:ブームが去ってしまいOLがマイナーになってしまったことも部員不足の大きな要因となっています。

*17:全日本チャンピオンの麻布OBの方はこのサッカーが入部動機となったらしいです

*18:麻布の場合、地図読みを部活で行うことがなく、部全体で技術指導を行う場が殆どないため、技術向上は各部員のモチベーションに依存している。

*19:立入禁止の地図記号を知らない、尾根のデフ記号がわからない、スタート地区とスタートフラッグの違いをわかっていない、など

*20:インターハイ一般クラスの結果を見れば、指導が行き届いている学校と、そうでない学校で大きく違うことがわかります。

*21:大野聡生先生が東海の活躍に大きく貢献している例が、顧問の重要さをよく表しています。

*22:オリエンテーリングは誰の目も届かない山中に自ら突っ込んで行くような競技なので、安全面から理解をしめさない先生もいるでしょう。

*23:そのためか、麻布や東海、桐朋といった強豪校の殆どが私立学校です。

*24:車がないと矢板や富士、八ヶ岳のテレインに自力で行けません

*25:行き帰りの交通費2000円弱もかなりの痛手

*26:車の同乗や合宿コーチとしてのご参加、OcadやMulkaの講習会開催など