おはこんばんちは。
一橋大学OB一年目で、現在はトータス/練馬OLC所属の大田将司と申します。
高校から本格的に競技を始め、学生時代は御多分に漏れず年に2回のインカレで結果を出すことを目指していました。
このAdvent Calendarは4年目ということですけども、毎年読者として楽しく読ませてもらっています。
今回初めて投稿させてもらいます。よろしくお願いします。
はい、そんな前置きはよしとして、オリエンテーリングのギア(道具)好きな私。
ギアっていうのは道具のことです、はい。コンパスとかシューズとか。
本日は「オリエンテーリングギアについてまとめてみた」と題して、2019年の年末時点でオリエンテーリングギアについて注目すべきメーカー・特徴をウェア・コンパス・シューズの3つについてまとめてみました。
今日はウェアやシューズ選びをする中で、ここ数年でものすごく新興のメーカーが盛り上がってきていて、今後もオリエンテーリングにおいてギア選びがより面白く多彩になっていきそうだよということを伝えたいです!
凄く真面目でまっすぐでエネルギーのある面白い記事の中に交じって、なんだか恐縮なのですが、今日はライトな話題なので気楽に見ていただければ幸いです。
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Index:
- ウェア
- コンパス
- シューズ
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1. ウェア
オリエンテーリングウェアと言えば、あまりにもこの2大ブランドが有名ですね。
それは、TRIMTEXとNonameです。
信頼の品質、オリエンテーリングウェアとしての機能性の高さゆえに、日本では、各クラブ・チームのウェアは主にこの2大ブランドが採用されています。
ソックスやレガースなども合わせて、大会会場での販売やオンラインショップで容易に入手が可能であり、現状他の選択肢がないほどです。
しかしながらヨーロッパや中国を中心に、他にも様々なメーカーがオリエンテーリングウェアの製造を行なっているんです!
特に近年スタートしたブランド Truestory / FRENSON / FIREEの3つに注目!
Truestory:Edgars Bertuksというラトビアのオリエンテーリングチャンプが2018年に立ち上げたブランド。ラトビアのナショナルチームのウェアなどを製造しています。現在35才の彼は自身のブランドとも言えるこのTruestoryのウェアを着て自国開催である、2018年のラトビア世界選手権を戦いました。そんなカッコイイ彼の生き様と共に注目したいブランド。動画も載せちゃう。
FRENSON:こちらはラトビアの新興メーカー。トップページの動画広告が印象的。こちらはチームウェアというよりもソックスやディスクリプションケースなどを合わせた比較的リーズナブルな製品を多く取り揃えている印象です。まもなくSalming(後述)と同じ日本の代理店で販売開始されるとの情報もあり、どれぐらいの値段設定で来るんだろうかと筆者の胸も高鳴るばかりです。
FIREE:AsJYOCの大会スポンサーとして脚光を浴びた中国のメーカー。デザインの目新しさとリーズナブルな価格設定で今後チームウェアのシェアが高まっていきそうな予感。今はウェブサイト構築途中のようで販売体制も整っているとは言えません。しかし、来年には日本でもオンラインでの申し込みなども始まるのではないかなと大胆予想しています。
- その他
Bagheera:スウェーデンのナショナルチームのウェアを製造するなど、北欧を中心に人気のメーカー。オリエンテーリングだけでなく、スニーカーやランニングシューズ、ウェアを製造しており、スポーツウェアメーカーとしての知名度も高い印象です。
T-Style:エストニアのナショナルチームのウェアなどを製造しています。1992年からスキーウェアやオリエンテーリングウェアを中心にクラブチームのオーダーメイドを主に請け負っているそうです。因みに筆者が2年前にラトビア遠征をした際に、日本でもチームウェアを作成する時は声をかけてほしいとのお誘いを受けました。
TOREAD:中国の最大手アウトドアブランドであり、中国のナショナルチームのウェアを製造していたこともあります。
DESCENTE(デサント):日本でかつてオリエンテーリングウェアの製造をしていました。再開が待ち遠しいですね。
2. コンパス
コンパスは長年SILVAとMoscow Compassのシェアがとても高いです。
SILVA:スウェーデンの老舗メーカーでオリエンテーリングチャンプが開発したコンパスが起源です。1933年から続く安定の品質。因みにオリエンテーリング用のピンパンチもSILVA製造であることが知られています。
Moscow Compass:ロシアのコンパスメーカー。SILVAに比べて、針の細さが良いと感じる人がチョイスしている印象です。プレートとカプセル(コンパス本体)が分離でき、コンパスの種類も針の安定性や針のスピードによって様々なので、カスタマイズが簡単に出来ることが魅力です。
またコンパスメーカーとしてはWOLやSuuntoといったメーカーが古くからあり、特にWOLは最近の大会会場でもよく比較的安価で販売されていることが多いので、持っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、個人的にはKanpas / Str8の両メーカーに今後は注目したいです!
Kanpas:中国のコンパスメーカーです。初心者からエリートまで幅広いラインアップがあることや非常にリーズナブルであること、日本語版のオンラインショップもあり、購入も容易であることなどが魅力です。ただオンラインショップの日本語は少し変であるために、知らない人に売れそうにないのが玉に瑕かなと思います…(com/passさんでは取り扱いがあります)
Str8:こちらはオーストラリア出身のオリエンティアが開発したコンパスで、エリート向けのサムコンパスを製造しています。Thierry Gueorgiouがサポートし、次世代のコンパスと呼ばれています!値段は少し高めですが、このコンパスをWOC(オリエンテーリング世界選手権)で活躍する選手の多くが使用していることが、サムコンパスとして品質が優れていることを保証していると言えるのではないでしょうか。最近発売されたStr8 Evoはリーズナブルでかつ品質もOriginalに負けず劣らず高いと謳っていることから、今後学生にもヒットする可能性はあるだろうと私は睨んでいます。
3. シューズ
シューズについては、Advent Calendar2017のこちらの記事にインスパイアされて簡単な調査を行ってみました。
さて、2019年のオリエンティアはどんな靴を履いているでしょうか。
まずは下のグラフを見てください。今年の10月に行われた2019年度全日本ロングのM21Eに出場した選手の着用シューズをまとめたのが、このグラフです。
ご覧の通り、フォレストのシューズはinov8が52%ものシェアを持っていて、次点でNviiとVJが続きます。一般的な学生はもう少しSalomonのシェアが高いと思います。
それでは、各メーカーの特徴を見てみましょう。
中でも注目はinov8 / Nvii / VJの3大オリエンテーリングシューズメーカーです!
inov8:x-talonやmudclawを始め、オリエンテーリングに適した軽くてグリップ力もあるシューズを多数扱っている王道UKオリエンテーリングシューズメーカー。最近では王道のx-talon classic(元x-talon212)を始め、x-talon230、x-talon ultraというシューズが学生だけでなく各世代に売れています。軽くてグリップがあることが幅広く支持されている理由ですが、ただ欠点としては、踏み抜きのケースが多く、またソールが削れやすく靴自体の耐久性が他のシューズに比べ若干低いことがあると思います。しかしながら、手に入りやすさと機能性そしてコストパフォーマンスのバランスが優れたinov8は現状外せないオリエンテーリングシューズメーカーと言えるでしょう。
2019/12/19 追記:
UKの来年のラインナップにはx-talon G 235というモデルが加わることになりました。
靴底のラグは従来のx-talonで使用されているものを使い、耐久性を上げたモデルとなっています。
オリエンテーリング向きのシューズとして日本でも近く発売された際には、要注目のモデルと言えそうです。
Nvii:2019年4月からO-supportさんにて取り扱いを開始したフィンランドの新興メーカーです。NonameやStr8の開発者、またオリエンテーリングチャンピオンのThierry Gueorgiouが開発に参加し、非常に軽く、かつ丈夫なオリエンテーリング専用シューズを製造しています。Forest1を始め、Crazy light F1など、軽さやサポートに多くの特徴がある商品が現在販売されており、後述のVJと並んで世界選手権では多くの選手が着用しています。全日本ロングでも9名もの選手が履いていたことからもエリートを中心に今後シェアは高まっていくものと見られています。
VJ:1981年からオリエンテーリング専用のシューズを開発するフィンランドのシューズメーカーです。世界選手権でのシェアは一番高いメーカーであり、多くの支持を得ていることがまず特徴。integratorというシューズは踏み抜きにも強く、丈夫なピン付きシューズであることから全日本ロングでも多数の着用者がいました。他にもboldやirockを世界選手権などで履く選手が非常に多く、総じてオリエンテーリングに適したシューズを安定して販売し続けています。日本では現状、個人輸入等の手段しか手に入れることができないことから入手が非常にしづらいものの、是非一度手にとってほしいメーカーです。
- その他
Salomon:アメリカのアウトドアシューズブランドで、Speedcrossを始めいくつかのラインアップは国内でも多くの愛用者がいます。斜面でのグリップ力や軽さ、丈夫さは他メーカーに比べ少し劣ると感じる面もありますが、初心者〜中級者にとっては一番手に入りやすく、不整地だけでなくロードでも安定して走ることができます。ロードの割合が多い日本で多くのテレインに対応できるという意味で、今後も外せないシューズメーカーであるでしょう。
icebug:今年のWorld Cup FinalチャンピオンのTove AlexanderssonやGustav Bergmanが着用していることで有名なスウェーデンのシューズメーカー。アイスの名の通り、雪や氷の上でのランニングに強いことが特徴です。
Salming:日本では目新しいシューズメーカーですが、今年度からJOAのスポンサーにも名を連ね、大会会場でも多く販売を開始しているスウェーデンのシューズメーカー。OT CompやElementsといったラインアップがオリエンテーリングに適したモデルです。Salomonと同様、手に入りやすさとロードへの対応のしやすさから今後もシェアが増えそうな予感はありますね。
残念ながらランニングシューズの知識については乏しいのですが、手短にスプリントシューズについても見てみましょう。今年度のインカレスプリントのME・WE参加者を対象に着用シューズをまとめたのがこのグラフです。
およそ半数の参加者はAsicsとAdidasを履いていました。次点でMizunoとNikeが続きます。
スプリントシューズにおいてはAsicsとAdidasの2強であることがわかりました。駅伝系のシューズがよく売れている印象です。
オリエンテーリングシューズメーカーも近年WOCのフォーマット変更などに伴って、NviiやVJ、Salmingを中心にスプリント専用シューズの開発にも注力しており、世界選手権では大多数の選手がそれらのメーカーのシューズを履いています。日本でもスプリント競技がもっと浸透すれば、今後はそれらのシェアが上がっていくことと予想されます。
- 最後に
オリエンテーリングにおいて道具選びは終わりがありません。ここ数年の新興メーカーの盛り上がりと更なる日本市場への参入が見込まれることには正直ワクワクしています。
より高い結果を求める手段として、また個性を表現する手段として、「オリエンテーリングギア」にもっと注目が集まり、こだわりを持つ仲間が増えたらなと考えています。
皆様が一番合ったギアに出会えますように。
それでは少し早いですが! Merry Christmas !