私の長期海外遠征の思い出
皆さん、こんにちは。17日のAdvent Calendarを担当します皆川美紀子です。
現在、埼玉県の地域クラブ『みちの会』に所属し、大会にもよく参加してます。
オリエンテーリングは大学からはじめ、競技歴かれこれウン十年にもなりますが、いまだに下手くそなミスをやらかしているので、まだまだ精進していきたいと思います。
さて、今回、何をテーマにしようか迷いましたが、昔の思い出を語らせていただきます。オリエンテーリングという競技に出会わなければ、絶対に経験し得なかったであろう約5か月間の「海外での修行&大会遠征」をテーマにしたいと思います。
さかのぼること、いよいよ新社会人となる、入社前のこと。
当時の私は、世界選手権(WOC)で日本人過去最高順位を達成するという目標を掲げ、何よりもオリエンテーリングを優先して生活したいという想いでいました。
オリエンテーリングを強くなるには、北欧でのトレーニングということで(当時、北欧でのオリエンテーリング経験はありませんでした)、個人コーチにも相談し、「海外での修行&大会遠征」を決意したわけです。
内定をいただいた会社の社長に直談判し(小さな会社のメリットですね)、4月入社を9月入社に変更いただき、その期間で遠征をさせていただきました。今思うとよく言ったもんだ(若さの強み?)…いやいや思い切って周りに相談して本当によかったと思います。勇気をもって、熱い思いを話してみれば案外理解を得られるものだなと感じています。
遠征スケジュール
遠征スケジュールは、下記のとおりです:4月~8月末、6か国、7大会出場。
※この年の目標とする世界大会は、『WOC@デンマーク』と『ユニバーシアード(WUOC)@スロバキア』でした。
◆スウェーデン(10MILA)→◆デンマーク(WOCトレーニングキャンプ)→◆エストニア(ワールドカップ)→◆ノルウェー→◆WOC選考会のため日本に帰国→◆フィンランド(JUKOLA)→◆ラトビア(JWOCオフィシャル)→◆フィンランド(FIN5)→◆スウェーデン(O-ringen)→◆デンマーク(WOC)→◆スロバキア(WUOC)
このようにじっくり滞在し、トレーニングをするというよりは、転々と移動し、いろんな国での経験を積むことを目的としました。大会も多く、日本人チームとともに過ごしていたので、孤独感はあまりなく過ごしてました。
今回はトレーニング、競技的な話というより、海外の大会の面白さ、楽しかった思い出について記載したいと思います。
春のオリエンテーリングシーズン始まりをつげる10MILA@スウェーデン
北欧では冬季は降雪のためクロスカントリースキーをされるようで、4月末に行われる10MILAがオリエンテーリングシーズンの始まりです。10MILAは、夜中にスタートして、明け方にフィニッシュをする10人リレーです。スウェーデンはじめ北欧では地域クラブが充実しており、地域クラブ同士の対決です。基本的に10人リレーは男性で構成されますが、子供、女性向けにも昼間にはリレー大会が行われ、クラブ員みんなが一弾となって臨む大会です。
オリエンティア(以降、ティア)なら、この大会は見たほうが良いということで、リンシャーピンのクラブに日本人の方が所属されており、その方のつてで、リンチャーピンのクラブの方々に同行させいただきました。会場は広大で、人がいっぱい、大スクリーンと、この規模にまず驚かされました。さすがオリエンテーリング発祥の国。これだけでも興奮してしまいます。そして、ヘッドライトの光が林の中をさっそうと走っていく風景に、なぜこんな暗闇を走れるのか、海外選手のパフォーマンスに感動でした。せわしなく、朝のトップゴールを見て次の地へ出発したのですが、本場の主要大会に触れて興奮しました。
ごく難テレインとしても有名なハルデンでのティアとの出会い@ノルウェー
4月末に行われるエストニアのワールドカップは、珍しく女子選手のみの参加で、競技もテクニカルミーティングも選手のみで行いとても楽しかったのですが、その話は別の機会にして・・・ノルウェーでのトレーニングの話です。ノルウェーと聞くだけで、難しいという印象でしょうが、ハルデンはなかでも難しく、世界のティアがトレーニングをしに集ってくるほどの地です。私もぜひハルデンでのトレーニングをしたいと思い、日本チームの外国人コーチのつてで、ハルデンに在住の選手をご紹介いただき、その方にハルデンでの滞在のサポートをしていただきました。私が滞在させてもらったのは、アメリカやイギリス、フランスなどいろんな国々からトレーニング目的できた選手が入所している、シェアハウスのようなところです。練習会に参加したり、ジョグで少しいけばテラインなので、地図を持ってテラインを走ったりしましたが、やっぱり地図と現地の把握が難しく、残念ながら最後まで適応できたという実感なく、苦戦をした日々でした。ただ、オリエンテーリング好きの人たちとオリエンテーリングのことだけ考えて過ごす日々は、今考えても貴重な時間でした。そして、そこで出会った方々、見ず知らずの日本人に本当に親切で、「世界中、ティアはだれでも友達だよ」という言葉がすごく印象的でした。どんな国でも、どんなレベルでも、オリエンテーリングという競技がつなげてくれる人とのきずながあると、うれしくなりました。
本場7人リレー、ユッコラ。お祭りイベントFIN5@フィンランド
この遠征の中でもフィンランドの体験はすごく楽しく、充実していました。実は4月の出発前の段階では、フィンランドの滞在場所が決まっておらず、どうしたものか頭を悩ませていました。しかし、そんな時(確か)ワールドカップでフィンランドのオフィシャルの方とたまたま話す機会があり、私がトレーニング遠征をしてフィンランドの滞在先が見つかっていないというような話をしたら、「それならうちにおいで」と言ってもらえるラッキーがおこりました。そして、ホームスタイのような形でお世話になることになりました。さらに、その方の旦那さんはパイミオという地域クラブチームのコーチをやっている方で、近辺の地図もたくさん持っているし、アドバイスもいただけてちょーラッキーでした。
豊富な地図で自主練(常設コントロールもある)をするだけでなく、フィンランドも平日の夕方に練習会があり、その練習会に連れて行ってもらうなど、本当によくしていただきました。
ユッコラの7人リレーに出場するのは難しいのですが、パイミオのクラブの4人リレーの1枠に参加させていただき、ユッコラを走ることもできました。ちなみに、ユッコラも夜通し走るのですが、ちょうど白夜のとき開催されるので、暗くはなりません。気候も穏やか夜は更けないということで、大スクリーンの前で白夜の薄暗い光を受けながら、ゴロゴロしながらトップ選手の走りを観戦させてもらいました。
日本のクラブカップ7人リレー、その起源でもあるユッコラのように、さらに盛り上がる大会となり、地域クラブの充実が図られることを願っています。
そして、2回目のフィンランド訪問は、FIN5の参加のために訪れました。そのときはFIN5とマウンテンバイクオリエンテーリング(MTB-O)が同時開催だったようで、見知った顔の人々にも出会え、ほっこりしました。スウェーデンのO-ringenは有名だと思いますが、O-ringenのフィンランド版のような、5日間大会でのトータルの成績を競う大会です。ここではWOC前の足慣らしという意味合いで、レベルを落としたクラス(D21B)へエントリーしました。そしたら、参加人数も少なかったこともあり、初日はけっこう大きくミスをして順位が低かったのですが、日々順調に順位を上げ、優勝をさせてもらいました。クラスの選択が適切だったか恐縮な思いでもありましたが、海外大会で優勝、表彰を受けるのは特別感があり、やはりうれしかったです。ちなみに、優勝賞品はコーヒーメーカーでしたので、お世話になったパイミオのクラブの方へお渡ししました。その他のチェーンソーとか、地元色強いお品がならんでました。FIN5は、またぜひ参加したい大会の一つです。
ティアなら一度は参加しては?!初めてのO-ringen@スウェーデン
O-ringen、その名を聞いたことがある人は多いと思います。私らの学生のころはオリエンテーリングのお祭り海外遠征と言えばこれ。ハードフロアーにみんなで雑魚寝。走っては夜宴会して、本当に楽しく仲間と過ごす、こんなイメージがあります。
当時、私は初のO-ringeでその規模の大きさに驚き、感動しました。この大会のために作られる橋、そして、スーパーマーケット、一つの街ができあがっているような大会。フィニッシュレーンには、老若男女がひっきりなしに駆け込んでくる。山の中でツボっていれば、おじいちゃんが「こっちにフラッグあるよー」と、「今ここにいるよ」と手を差し伸べてくれる。難しいエリアでは、何人もが自分のコントロールを探しうろうろしていると、子供でも怖いことなく、出走できそうな雰囲気、本当に人が多い。
今回の開催地は「Mohed」というところで、湿地の微地形というより大陸、岩がちなところもあり、少しは走りやすいテラインだったと思います。私はWOC前ということで距離の短いD21Kクラスにでましたが、現地の対応が難しく、ミスが多く、スピードを出して気持ちよく走れたレースではありませんでした。ただ、つぼっててもみんな一緒につぼっているので、笑えてきました。オリエンテーリング大好きな大勢の人たちと過ごす時間に、楽しさばかりでした。
遠征最後を締めくくるWOC、WUOCは前者の大会とは気持ちも切り替えた勝負の時間でした。
デンマークのWOCも熱いレースで印象深い大会ではありますが・・・ここでは割愛をさせていただきます。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
コロナ禍で、いつになったら国際大会に行けるのかという状況ではありますが、オリエンテーリングは、国内にとどまらず海外でも楽しめるスポーツ、そして、年齢、国境を越えてティアは仲間であるということが、少しでもお伝えできたのなら幸いです。
おまけ(雑感)
・若いときほど、自由な時間(長期間の)を持ちやすいと思います。だんだん仕事や家庭、体力面の心配など、諸々制約も出てきますので、若い方々には海外遠征にかかわらず、いろんなことに挑戦をして、たくさんの経験をしてほしいと思います。
まずは、自分のやりたいことを声に出すことです。
・一方で、オリエンテーリングは生涯スポーツで、年齢別のクラスがあり、海外でおじいちゃん、おばあちゃんの熱い走りをみました。いつまでも、一生涯つき合っていけるのではと、将来の競技生活もワクワクしてます。
これからも末永く、宜しくお願いします。
・ちなみに、私は英語が不得意ですが、ジェスチャーでなんとなく通じる、おどおどした英語より自信満々の日本語+ジャスチャーの方が通じるというのが持論です。