この記事は、オリエンティアAdvent Calendar2021の18日目の記事です。ウォーミングアップ(以下W-up)について書いています。
はじめに
おはようございます、こんにちは、こんばんは。
クリスマスまでもう残り一週間ですね。毎日、皆さんの思いがギュっっと詰まったこのAdvent Calendarを読むのが楽しくて、クリスマスにはあと一か月くらい延期してもらえないかなぁとか思っています(笑)
神戸大学オリエンテーリングクラブ3回生の松本萌恵と申します。このような素敵な企画にお誘いいただき、とてもうれしく思っております。
あまり文章を書くのは得意ではないですが、今年は(裏も含めて)2019年度入学同期がたくさん書いてくれているので、私も負けじと?精一杯頑張ります…!読みにくい箇所が多々あるかもしれませんが、ご容赦願います。
まずは、例に習って簡単に自己紹介を…
中高は陸上部に所属し、長距離専門でバリバリ部活をやっていました。(そのため駅伝の類が好きで、春インカレのリレーが楽しみで仕方がないです。)
オリエンテーリングは大学入学と同時に始め、コロナ禍で一瞬意気消沈していましたが、ちょうど1年前からまたオリエンテーリング沼にずぶずぶはまってきています。今年は、本当にありがたいことにWOCスプリントに出場させていただき、先日のインカレスプリントでは優勝杯をいただきました。スプリント大好き人間です。
前置きが長くなりましたが、今回はウォーミングアップ(W-up)について書いてみたいと思います。
以下が目次です!
背景
今はオリエンテーリングの世界にどっぷり浸かっている私ですが、陸上界からオリエンテーリング界に入ったときに少しびっくりしたこと…
オリエンティア、W-upしなさすぎでは…!
(偉そうに聞こえていたらすみません(汗))
最初は競技が違うからかなと思っていましたが、最近、「W-upってどうやってやるの?」って聞かれることが多かったので、もしかしたらやり方や目的を知らない人も多いのかなと…
専門家ではないので、完全に持論になりますが、陸上部時代に教えてもらったこと、今までの経験、人と話したことなどをもとにW-upについて少し書いていこうと思います。ご意見・ご質問等ありましたら遠慮なくいただけると嬉しいです。
知識編
W-upとは…
ご存じのとおり、運動前の準備運動のことです。
人によって、これから何の運動をするかによって、また、その時の内的(その日の体調等)・外的(気温等)なコンディションによって、内容は変わってきます。
…が、どんなときにもW-upはやってほしいものです。
特にスピードの上がりやすいスプリントレースの前なんかは必須です!必須!!!!
W-upの目的
その目的は細かく分けるとたくさんありますが、私は、次の2つが主な目的ではないかと思っています。
1.パフォーマンスの向上
2.怪我の予防
以下に、この2つについて詳しく書いていきたいと思います。
※今回は、主にレースの前に行うW-upに焦点を当てています。
1.パフォーマンスの向上
つまり、練習や試合で出せる力を最大化するのです。
これには、身体的な面と精神的な面の2つの面があります。
〇身体的な面
ウォーミングアップをすることで、今からレースだぞ!って、身体に気づかせて、日常生活モードから、運動モードに切り替えます。
W-upを行うことで得られる効果は
・体温・筋温が上がる(warming upっていう名前からもわかりますね)
・関節の可動域が広くなる
・心拍数が上がる。
・動作の反応を高める
などです。
これらにより、今持っている力を100とすると、レース中に100出せる状態を作り出します。
ただし、この状態を作り出すことと、実際にレース中に100出せるかは別問題です。
…が、最大で60しか出ない状態で挑むのと、100出せる状態で挑むのでは、後者の方が良いパフォーマンスができる可能性が高いのは自明ですね。
〇精神的な面
切り替えが必要なのは、身体だけでなく頭や心も同じです。
「よし、これから頑張るぞ!」と意識を変えて、集中力を高めます。
W-upを普段から続けていけば、
もし、レース当日、眠かろうと、やる気がなかろうと、今から迎えるのが大きな試合であろうと、とりあえずいつものW-upをすることによって、精神状態を一定のラインにもっていけるようになります。
気合が入っている試合前などに、いつもの動きを淡々することは、自分を落ち着かせ、変に緊張しすぎたりすることを防ぐ効果があると思います。
2.怪我の予防
身体を温めるということは、怪我の予防にも役立ちます。
今までずっと車で座っていた・気温が低い等で、身体が固まっている・冷えている状態でいきなり激しい運動をすると、筋肉や関節がびっくりしてしまいます。最悪の場合、その場で筋肉や腱を痛めたりすることもあります。
どうしても防げない怪我もあるのですが、W-upをすることでそのリスクを下げることはできるので、オリエンテーリングを楽しく続けていくために、防げる部分は事前に防ぎたいですね。
↓(ちょっと高度なので、ここは読み飛ばしてもらって構いません)
プラスαとして、W-upの段階で自分の弱部に刺激を入れる動きをすることで、自分の弱点を克服して怪我を防ぐこともできます。
例えば、読んでくださっている方の中で、レース後半に前腿(太ももの前側)が張ってくるんだよね...(そのまま膝が痛くなる)..というような方はおられませんか。私は高校生の途中までそうでした。その原因は、走るときに臀部、裏腿をうまく使えていないことでした。原因がわかったから、じゃあ、臀部と裏腿を使って走ろう!って思っても意外と走り方って変えられないものです。
そこで役立つのは、W-up 段階で行う筋トレです。練習・試合前に筋トレ?って思う方もおられるかもしれないですが、これから意識して使いたい部分(自分の弱いところ)に、疲れない程度に刺激を入れることで、自然とその部分に力が入るようになり、徐々に意識しなくても使えるようになります。
私はこれを教えてもらった時から、練習前に、ヒップリフトやスクワットなどを行って、身体に臀部を使うことを覚えこませることで、以前より、無意識的に臀部や裏腿を使って走れるようになりました。
↑
っとここまで、ごちゃごちゃウォーミングアップの知識的な部分を書いていましたが、結局何をしたらいいの?って感じですよね。
ここから、実際にやることを紹介します。
実践編
冒頭にも書いたように、W-upは、人によって、これから何の運動をするかによって、また、その時の内的・外的なコンディションによって、やるべき内容は変わってきます。
以下に1つのテンプレートとして、私が普段レース前に行っているW-upを紹介したいと思います。いつもやっているW-upないよっていう方はこれを参考に自分に合うようにアレンジしていただければと思います。
もう既に自分のW-upのやり方が確立されている方はそれを続けていただくのが一番です!(京大の二俣君の去年の記事に、彼のW-upについて少し書かれていましたね)
W-upのやり方!
1.計画を立てる
これ、試合前にW-upをする上で一番大事なのではないかと…!
W-upしようと思ったけど、レース前にお話していたらもう出走時間だ!やばい!みたいな経験ありませんか。
それを防ぐために、予め出走時間から逆算して計画を立てておきます。
下の写真は、この前のインカレスプリントの時に書いていた私のW-up計画です。私は行動予定表と呼んでいて、中学生の時から、大事な試合前は必ず書いています。(練習の時とかは頭の中で考えています)
ちなみに、中学生の時に書いていたのがこちらです。
これを書くことによって、確実にW-upができるほかにも
・レース本番に向けた気持ちの高まりを事前にイメージできる
(似たようなことを杉村さんがAdvent Calendarに書かれていた気がします)
・レース直前に出走時間の勘違いや忘れ物などのケアレスミスをして、あたふたするのを防ぐ
などの効果もあります。
以下は行動予定表に書いてある内容です。
ざっくりと説明します。
2.心の準備
この時間から、レースモードです。
(逆に、ここまではリラックスモードでいいと思っています。あまり早くからスイッチオンにすると疲れるので。)
本当にレースモードになれるかは別として、気持ちを切り替えるタイミングを設けるだけで、集中力が変わってくるかなと思っています。
3.準備
靴を履いたり、トイレに行ったりする時間です。
4.ウォーク&ジョグ
気温によって、5分だったり、10分だったり…
ゆーっくり動き始めて、じわじわ温めていきます。
5.体操
体育の授業の時にやった準備体操でも、ラジオ体操でもなんでもいいと思います。
オリエンティアは足首の体操必須ですね。
6.ストレッチ・体ほぐし
ドリルとか、動きづくりとかっていう人もいますね。サッカー部の人がやるブラジル体操とかも該当すると思います。いわゆる動的ストレッチです。
やり方わからないって人は調べたらいくらでも出てくるとは思いますが、きっと会場で誰かしらやっていると思うので、その人に聞いてみたり、見様見真似でやってみたりするのが一番早いと思います。恥ずかしがらず、堂々とやっていたら、多分真似していることはばれないはずです(ばれても誰も怒らないと思いますが(笑))
7.ジョグ
10分だったり、15分だったり、20分だったり。気温や、レース距離、その日のコンディションによって変えます。
スタート誘導が長い時は、その移動中にジョグをすることで代替することもあります。そこらへんはフレキシブルに!
※汗をかくのと筋温が高まるのは違うので注意です!
今年4月のWOC選考会で数名がW-upのジョグ中に読図走をしているのを見て、私も取り入れてみたところ、レーススタート直後に地図が今までよりスッと入ってくるような気がしたので、最近はこのタイミングのジョグで読図走をすることがよくあります。
インカレスプリントの前なんかは、別のテレインの地図で読図走をしながら、その日の目標(アタックするときに、脱出後の景色を想像する)を頭の中でシミュレーションしていました。
8.流し
短い距離を全力の80%くらいのスピードでダッシュします。
心拍数を上げたり、身体をスピードに慣らしたりする効果があります。
ざっくりとこんな感じでしょうか。
以上の項目に加えて、トイレに行く時間とか、テーピングをする時間とか、靴を履き替える時間とかを考慮して、スタート時間から逆算して、スケジュールを組んでいます。
ここまでいろいろと書きましたが、これはほんの一例です。
練習がジョグの日とかはここまで長い時間W-upしないですし、車の到着時間が遅かったり、単純に時間がなかったりしてこんなにW-upできないよっていう日もあります。
要はこれがすべてじゃないってことです。
あくまでW-upなので、あまり神経質になりすぎずに自分が本番でベストパフォーマンスが出せる方法を見つけていただけたらと思います。
よくわからんって人は、とにかく身体を温めることだけを考えて、疲れない程度にたくさん動いてみましょう!
(私も中学生のとき、冬季は下校時間の関係上W-upの時間が十分に取れなかったので、放課後の掃除で、雑巾がけを全力でやることで、身体を温めようとしていました(笑))
最後に
ここまで偉そうにパフォーマンスが…とか、けが予防が…とかつぶやいていますが、この記事を書いた本当の理由は、私が単純にインカレや、全日本、選考会などのレース前に見られる、みんながW-upを始める時間が、空間が、大好きだからです。(WOCのW-upエリアなんかは殺気さえも感じました(笑))これから全力の戦いが始まるんだなっておもってワクワクします。だから、この記事を読んで一人でもW-upをする人が増えたらいいなあと思っています。
一人でやらないといけないっていう決まりはないので、ぜひぜひ周りの人も誘って楽しく、
W-upしようよ!
おまけ
〇気持ちの準備の補足
W-upを始めるときに心の準備をするとか、読図走をして頭の中を切り替えるとかがあったと思いますが、もう一つ、インカレスプリントの日の朝、会場につくまでにやったことがあります。
それは、アドベントカレンダーのスプリントの記事を読むことです(新たな情報を得て頭がパンクしないように初見ではないものがいいかなとは思います)。上島さん(兄)のスプセレの記事と、大石さんのスプリント失格集を、そして、(これから、コースプランナーと戦うぞって意味で、)北見さんの記事も読ませていただきました。
どれも本当に素敵な記事で、今日は、スプリント頑張るぞーってスイッチが入って、やる気チャージ満タンです。
アドベントカレンダーじゃなくても、過去に書いたアナリシスを読むのもとってもいいんじゃないかなと思います!
〇クールダウン(C-down)について
実はW-upと同じくらい大切なのが、レースや練習後に行うC-downです。こちらについてもちょこっとだけ。
W-upが日常生活モードから運動モードに切り替えるためものだとしたら、C-downはその逆で、運動モードから、日常生活モードに戻すためのものです。C-downをちゃんとすることで、疲労の残り具合を軽減させ、怪我を予防することができます。
私はだいたい、「流し×2、10分ジョグ(ほんとにゆっくり)、体操、ストレッチ」という感じでやっています。
ゴールするとついつい地図を囲って話したくなりますが、地図をもってdownジョグに出かけましょう!
長くなりましたが、最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました。
あと一週間も新しい記事が読めるなんて幸せですね~
みなさん、素敵なクリスマスを!