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オリエンティア Advent Calendar

オリエンテーリングを語ろう。

ストリートマップ作成と特色表示のすすめ

オリエンティア Advent Calendar 2016 - Adventar

12月8日担当の坂野翔哉と申します。東京理科大学3年・東海高校卒です。

記事何書こうかな-とアンケートを取ったところ大学クラブの話とかインターハイ運営も人気がありました。が、日本学連の記事には人気がありませんでした、わたくし広報なんですが。。。なお広報部は後継者を募集中です。

結局本記事はオリエンテーリングマップの作成方法についてなんですが、Advent Calendarには今後さらなる地図オタクさんが控えていらっしゃいますのでその導入ということで書かせていただきたいなと。

自己紹介的に作図遍歴を述べますと第1回東京理科大学大会「にいじゅくみらい公園」、葛飾松戸ロゲイニング第36回早大OC大会「両総用水」で地図を描きました。かさ増しすると茶屋が坂公園、可児やすらぎの森、深良財産区、戸山公園、早稲田ストリートマップシリーズもちょろっと関わってました。競技責任者もしばしば。最近もOCADばっかり触ってます。そういうわけで第37回早大OC大会!2/19(日)新宿駅から1時間、「大地沢」を航空レーザー測量成果GPSを導入して完全独自リメイク!こちらからどうぞ→37th-oc-comp

 

ストリートマップの作成

自分で地図を作って持って走る、山に行かなくても近所でオリエンテーリングできちゃいます。オリエンテーリングでもなんでも、どこでもナビゲーションスポーツができます。さらに、作った地図を沢山の人に走ってもらえたら、それはもう面白いことです。
西村さんの記事の通り、いまは大変優秀なソフトウェアとハードウェアがオリエンテーリングのために利用できます。近所を走るのにも地図があるだけで楽しい。地図を読むことは楽しい!じゃあ作りましょう!これから書く私の方法では、慣れて運が良ければ10分でストリートマップ作れます。なお、すでに私が細々と売ってるマニュアルの抜粋が多いです。持ってる方ごめんなさい。加筆もあります。

 

国土交通省国土地理院基盤地図情報

基盤地図情報ダウンロードサービスでは、道路・建物・水域、そして航空レーザー測量成果などが得られます。要登録。無料。基盤地図情報を使用して作成した地図の営利目的の使用などには国土地理院への申請と承認が必要らしいです。申請は測量成果ワンストップサービスが簡単便利です。

基盤地図情報ダウンロードサービスに登録しログイン
基盤地図情報基本項目JPGIS(GML)形式をクリック
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③ 地図から選択→地図から必要なエリアを選択

f:id:orienadvent:20161205050228p:plain


⑤ 選択完了→別の基盤情報を追加で②の画面に戻る
基盤地図情報数値標高モデルJPGIS(GML)形式をクリック
⑦ 5mメッシュを選んで、③と同様にエリアを選択
⑧ 2種類の基盤情報をまとめてダウンロード(zip形式)

f:id:orienadvent:20161205050338p:plain

 

Vector Map Maker

VectorMapMaker国土地理院が公開している測量成果をOCADで使えるように変換してくれるフリーソフト。マニュアルを見るといろいろな地図が作れるようだ。

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①さきほどダウンロードしたZIPファイルを解凍してできたフォルダを「基本設定」で指定します。まとめてダウンロードした場合は地理院と標高データフォルダが同じになりますがそれでも大丈夫です。国交省は使ってないので無視。書き込みフォルダはお好きに。この画面は「描画設定」タブですが、「標高凡例間隔」タブの入力数値が等高線間隔になります。

②用紙サイズ、用紙方向を適当に設定。完成地図の縮尺やサイズとする必要はなく、テレイン周辺まで含む大きめのサイズに。以下の「地図で指定」でも範囲選択ができる。
③「描画設定範囲」の「地図で指定」で、ダウンロードしたファイルがきちんと読み込まれていれば該当エリアの市町村界が表示されます。この際、縦横の分割をするとファイルが分かれてOCADで読み込めないので、サイズは縮尺や用紙や選択範囲を変更して対応しましょう。座標系は適切に選択、東京なら第9座標系と書いてあります。地図名は完成後のファイル名になります。
④上図画面右側、「国土地理GML」で必要なデータ項目をチェック。オリエンテーリングマップなら水域、道路縁、歩道、建物で十分かと思います。
⑤「処理開始」をポチッとな!数分待ちます。読み込みデータフォルダ内のファイル数が少なければ早いです。(設定名).dxfというファイルが指定したフォルダにできているか確認しましょう。

 

OCADでdxfファイルの読み込み

オリエンテーリングクラブなら誰かは必ず持ってるソフトのOCADです。画像データにコースを組んで印刷するだけじゃもったいないです。私か使っているのが9なのでそれを前提に進めます。Windows10で使っています。

①OCADで新規作成を開いて通常の地図、orienteering map 1:10000を選択
プリセット記号が違うだけで何を選んでも大丈夫ですが、いろいろと設定済みのJSOM記号セットがあれば便利です。CAMap研究会でOCADの購入や記号セットのダウンロード可能です。

②ファイル→インポートでさきほどのdxfファイルを選択。以下の画面になると思います。

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③オフセットはGPS成果や別の基盤地図情報など、今後他のdxfを今後インポートするときに使えばピッタリ合わさるというもの。初回は新しいオフセット。

オリエンテーリングマップは磁北を真上にしなければならないので、テレインの磁北と真北の差を知るために国土地理院 地磁気測量でテレインにおける偏角を調べます。今月発表されたばかりの2015.0年値で東京は7.31 °(度)でした。日本は西偏だから磁北は真北から西向き約7度ずれているということ。dxfデータは真北が上になっているため、オフセットの角度には-7.31が入ります。地磁気ですが、意外と侮れない経年変化があります。地球って凄いですね。

⑤完成地図の縮尺はいま決断しましょう。あとで変更するとなにかと面倒です。dxfデータ作成のときと値が違ってもOCADが勝手に調整してくれます。

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でました!私の住んでいる葛飾区金町です。これは東西およそ2km。西部の空き地は大学が建つ前の工場跡地ですね。どうやらデータはそう頻繁に更新されるわけではなさそうです。このデータは葛飾松戸ロゲイニングに使用しました。

 

O-mapの場合。薄紫が基盤地図情報。随分修正はされていますが、航空レーザー測量成果で生成した等高線はかなりの精度があります。すこし前まで崖の左右で等高線の本数が違うなんてザラだったくらいですから。f:id:orienadvent:20161205090143j:plain

2016の両総用水はもともと2012年NishiPRO作のものを更新しただけなのですが、この西村さんの等高線が絶妙でとても真似できるものではないのです。表現の素晴らしさに感動しました。

 

航空レーザー測量成果は多くの地域で利用可能なので、お暇な方はgoogle mapや基盤地図情報を使ってテレインハントでもどうぞ。新規テレインの予習もできてしまいます。

国土地理院 基盤地図情報の整備状況(5mメッシュDEMを選択)

 

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そして山川さんも凄い 。

 

OCAD作図

読み込んだ灰色の線は選択すると「013建物L」だとか「等高線10m」などの名前が付いているのが分かります(画面下に表示される)。灰色線をクリック→記号ボックスの記号をクリック→ツールバーの「記号の変更」または「すべての記号の変更」により、OCADで設定された建物や等高線などのオブジェクトへ置換していきます。この灰色線たちはレイヤーという機能で、レイヤーごとに選択して置き換えや、置き換えの対称ファイル作成もできます。

 

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「にいじゅくみらい公園」作成中の図です。渉外で頂いた下絵画像を読み込んで、等高線をなぞっています。すごい精度の下絵でした。渉外は作図のためにも重要です。

 

ここまでできるともう地図ができたようでウキウキしてくると思いますが、道の肌色をどうやって塗るのか多くの人が途方に暮れます。他のオブジェクトは周囲をレイヤで囲われているので変換すれば内部が自動で塗られますが、道はそうはいきません。このときに便利なのがカラーテーブルです。メニューバーの記号から色をクリックして下さい。

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この表の並び順で色が重なります。つまり、建物の黒色や私有地の緑色より下に舗装路の肌色を下げればいいのです。また、地図記号を透過して判読性を高めるための特色設定というものがあります。いまメニューバーの表示欄はノーマルモードになっていると思います。これを特色表示に変えてみると肌色と緑色が混ざってしまいました。つまり、ノーマルモードでは上の色が優先されて下の色が完全に覆われますが、特色表示では下の色は上の色に混ざります。

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歩道を塗るならちょっと面倒ですが、これでストリートマップが完成すると思います!あと磁北線は特別→グリッド線で垂直線を作成・角度0で描きます。この要領で特徴物を増やし、色を塗り、体裁を整えればほとんどO-mapですね。

※レイヤの線が途切れているせいで一括変換だけではうまく面状に色が塗れていないことがあります。そういうときは手動で線をつなげるか、なぞって編集していくしかありません。

 

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このように私有地や建物を全部塗ったものを印刷するとシアンやイエローのインクだけが大量消費されます。住宅密集地や常時立入禁止の記号の使用をおすすめします。

 

特色表示

まず下の2つの図を見てください。f:id:orienadvent:20161205064252j:plain

 

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上がノーマル表示、下が特色表示です。パープルの下が透けて見えるだけでなく、等高線も透けて藪の境界が等高線に隠れてしまっても判読可能になっています。混ざりあった色が良いですね。気品と高級感があります。でもただメニューバーの表示欄を特色にすればいいというわけではありません。まずこんなことが起こります。

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混ざりあっちゃいけない色が混ざってしまいました。ここでカラーテーブルの混色してほしくない色の特色欄に0を書くと

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こうなります。

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緑と黄色は混ざらず緑が優先されます。水色は茶色とだけ混ざる。茶色の特色欄は0を書かなかったので黄色や緑と混ざる。実際の地図ではこれ以外にもいろんな色同士が混ざりカラーテーブルが複雑になるため、なるべく境界をきちんと重ならないように描くことも大切です。この場合は黄色と緑は境界を重ねなければ特色の設定は不要ですが、水系や等高線など線状特徴物の設定は避けられません。

ストリートマップでのカラーテーブルの一例です。下から舗装路<私有地<水域<建物<等高線として、私有地・水域・建物の特色欄Brownを0にすると舗装路が混色されませんが、等高線のBrownは影響ありません。建物の特色欄の黄色と緑を0にすることで私有地との混色を避けられます。

 

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この加工をしていないと

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 ノーマルモードだと建物の形が等高線で隠れてわかりにくいです。

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特色表示の素晴らしさは伝わりましたでしょうか。特色表示を使用して印刷された地図は多くはないのですが、ぜひ利用していただきたい機能です。

 

最近見つけた小ワザ

いくら見やすい特色表示でも見づらい箇所は存在するのですが、コントロール番号ってたまに邪魔になりませんか?特にスプリントやリレーのスペクテーターエリアで顕著です。文字に白い縁取りを作るとくっきりとして見やすくはなりますが、透明化ができないので覆われた情報が読み取れなくなりました。が、透明化と白フチを両立することに成功しました。

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白フチなら記号の編集にて輪郭タブからwhite・線を選択するとできます。コースをエクスポートして原図に重ねた後、文字を全て選択して記号化して下さい。すると新しく作った白フチが実は文字の内側と外側の2パーツに分かれていました。内側を選択して削除すれば上記のようになります。つまり、馬鹿みたいに面倒です。特にコース数が多いリレーでは現実的じゃないです。

 

よくある質問

Q:等高線の直線と曲線を切り替えて1本に繋げたい

A:一度切ってオブジェクトの末端からShiftキーを押して描くか、2本を近づけて合体。

Q:道沿いに耕作地があるので道の線をなぞりたい

A:任意の位置でCtrlキーを押して、任意の位置までのトレースが可能

Q:コントロール円の円弧切りやレッグ線切りがしたい

A:はさみマークで切断。クリックするとその位置で分割される。ドラッグするとその範囲でオブジェクトが削除されて分割される。

Q:でかい崖を表現したい

A:崖のヒゲを伸ばします。鉛筆マークの図形化により、ヒゲ1本1本を編集します。

 

おしまい

長くなってしまいましたが、とりあえずこれくらいです。オリエンテーリングマップの作図は角度とか色とか印刷とかデザインとかめちゃめちゃ奥が深く、時間もかかり、いま作成中の「大地沢」も試行錯誤中です。私は有り難いことに、作図に関しての助言を明日に控えるiwahage氏からいただきました。こうした試行錯誤だとか成果が共有・評価できたらもっと地図作成や更新が盛り上がるんじゃないかなあと思いながら記事を書きました。オリエンテーリングマップを評価管理するような仕組みがあると良いのですが。

まだ数枚の地図しか手がけたことのない若輩者ですが、マッパーがオリエンテーリング界に増え、良質なテレインが増えてくれることを願っています。