オリエンティア Advent Calendar

オリエンテーリングを語ろう。

オリエンティア Advent Calendar 2016 アクセス数

お久しぶりです。オリエンティア Advent Calendar発起人のKouheiです。

本日は2017年11月30日。

つまり明日からオリエンティア Advent Calendar 2017が始まります。

 

そこで昨年のオリエンティア Advent Calendar 2016のアクセス数を公開します。

 

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投稿用に開設したはてなブログへのアクセス数なので、個人のウェブサイトやブログ、Facebookなどに投稿された記事に関しては加算されていません。

なので各記事最低でも500回は見られたのではないでしょうか。競技人口の少ないオリエンテーリング界では結構な人気コンテンツだったと言えます。

 

最もアクセス数が多かった日は「卒業後のインカレ(第1部:もう一つのインカレ、第2部:インカレ運営の記録、最後におまけ)」が公開された12月17日でした。非常に読み応えのある記事で、皆さんも記憶に残っているかと思います。唯一アクセス数が1,000を超えた日でもありました。

 

ちなみに、はてなブログの公式Twitterになぜか2回掲載されました。 

 

 

ということで簡単に昨年を振り返ってみました。

それでは今年もオリエンティア Advent Calendarをお楽しみに!

今年度インカレスプリントへの準備

自己紹介

  どうも、神戸大学4年生の築地孝和です!自己紹介として、あまり目立った成績はありませんが、先日のcrazy festivalでは極で優勝、昨年度のインカレスプリントでは5位、先月のインカレスプリントでは4位に入賞しました。と、言えば分かってくださる方は多いのかと思います。

 

 あと、競技面以外の活動としては、一時期部員が0になった神大OLKを東海出身の同期と復活させたこと、現日本学連事業部長(インカレミドル開会式や後夜祭・講習会の運営してる人)であることくらいですかね。

 

 事業部長の仕事に興味がある大学2年生は、ぜひ僕に連絡ください!

 

 

 自己紹介が長くなりましたが、今日はお題の通り

  • 今年度インカレスプリントへの準備(1選手目線)

について書こうと思います。ちょっと大学生向けな部分が多く、それ以外の方には少し退屈かもしれませんが。

 

 

今年度インカレスプリントへの準備

 僕自身、フォレストよりもスプリントのほうが得意で、今年のインカレスプリントでは優勝を目指して頑張ろうと思い、あれやこれやと対策をしていました。主に2のほうにかなりの時間を割きました。

 

1、スプリントの練習機会を増やす。

 

 スプリントの練習会(それに準ずる自主トレも含める)って山に比べて運営が楽です。だから、時間があればどんどん練習会を開きましょう!

 

 一番いいのは、やはりキャンパスOですね。神戸大学のキャンパスはそこそこ難しいコースを組むことができるので、朝練を開いたり、あとは、一緒に活動させていただいている大阪大学の吹田キャンパスにお邪魔したりしました。

 

 関西ではパークOツアーというのがあります。パークOとはいえ、地図自体はJSSOM準拠で、距離感やレースの緊迫感に慣れるのにはちょうどいい機会です。

 

 これはとにかく慣れようっていう、やつですね。個人的にはフォレストよりもスプリントのほうが基本動作の確認がしやすくて、まだオリエンテーリングに慣れていない人には良いのかなと考えております。

 

 そういえば、Facebookでちらっと拝見した中国の特殊な競技形式「100m」を先日見よう見真似でしました。

縮尺は1:1000(1:4000のものを拡大して使用)

実走距離約1km

ウイニング3~4分

 

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(これが正しい形式かは判断できませんが、)大縮尺な分、素早い判断力が必要で、動作の確認をするにもよく、かつ、狭い範囲でできるので、おすすめです。クイックO・スプリントエクササイズみたいな感じで、大会後のおまけレースとかであっても面白いかも?

 

 練習を増やせばうまくなりそうですよね。(雑)

 

 

2、予想コース

 こちらがメインです。どんなコースかを予想することが楽しくて楽しくて、色々と考えたことをつらつら書きます。とても長くなるのと、メリハリがなくて読みにくいかもしれませんが、来年の参考になることがあればいいかなと。

2.1 地図調達

 まず予想コース?を組む前に、その下絵となる地図がないとどうしようもないですよね。今年のインカレでは、親切なことに旧図があげられていたので、それを使おう!と思ってみたら、なんだかスプリントっぽいコースが組めなさそうだなと思い、頑張って作ってみるかぁと思って作りました(協力者:某同期と某後輩)。

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↑僕が作ったもの

 

 

旧図や実際の地図と比較してみてください。

旧図は開催地 | インカレスプリント・ロング2016 

実際の地図は報告書で掲載されると思うので、そちらで。

 

 版権云々のことがわからないので、解像度下げたり、自分を宣伝する字を並べたりしましたが、もしダメなら消します。

 

2.2 地図作成

 どのように作ったかというとかなり原始的。ocdデータは持っていないので、以下の3点を使って作りました。

 

・旧図(開催地 | インカレスプリント・ロング2016

・航空写真(Google マップ

ストリートビューGoogle マップ

・ネットに落ちてる画像・動画

 

旧図と航空写真は主に下絵として。ストリートビューとネットに落ちてる画像・動画については、下絵がきちんとあっているのかというところと、植生(特に生垣・花壇・植込み[色green100%,black50% ])、その他通行禁止なところの確認に利用しました。この通行禁止というのが予想コースを立てるのに非常に大事だと僕は考えております。

 

 ネットに落ちてる画像・動画ですが、探せば結構出てきます。特にびっくりしたのが、公園を散歩している動画ですね。しかも、かなりきれいな映像で。さらに、驚いたのがほんの数日前あたりからインカレスプリント前日に新しい散歩動画が出ていたこと。

 

オリエンテーリング関係者の可能性??(投稿者の動画を見ているとあちこちの公園で撮っているので違うでしょうが)

 

 これについては本当に映像が綺麗で、もっと早くに出ていれば、さらに正確な地図が描けたのかなぁって。ちなみに、再生回数を見ると結構面白くて、天平の丘公園だけが3桁超えていたので、他の参加者も視聴しているのだと推測できます。

 実際、インカレスプリント当日に某大のエリートも動画を見たような発言をしていたので、他の大学も情報収集はきちんとしているんだなと感心していました。

 

 あと、インカレの要項3(プログラム)に載っている画像も下絵にしました。というか、それを見て旧図を当てにしてはいけないと感じました。

 

 等高線はこのテレインにおいては必要はないかなぁ(他のもので十分補える)と思い、航空レーザー測量とかその辺のものは使いませんでした。…でも、道とか河川とかの情報くらい取り込んでもよかったかもと少し後悔しましたが。

 

 他に地図をベクタデータに変換して、それをOCADに取り込める形に変換して描くのを試みました。しかし、どうも線が歪んだり、細かい表現が潰れたりでとても役に立つものはできなかったので、上述のような原始的な方法で描きました。

 

2.3 コースの回し予想

スタート、ゴールはいつも予想すると思いますが、今回はテクニカルミーティングの資料より横断箇所が指定されているという点も含めて、回しを予想してみました。

エリート待機所予想

 今回は周辺に収容できそうな施設があまりなく、以下のものに絞れました。基準は

1、ウォームアップできる場所があること。

2、雨風をしのげる建物があること。

3、トイレがあること。

です。

 

・秋山亭(右下の耕作地と駐車場から少し北西の位置にある、小さい建物(右))

メリット:テレイン内にあって、会場からも十分近い。トイレもすぐ隣の建物にあり。駐車場があり、そこをウォームアップエリアとして使えそう。

デメリット:テレインの東部分がスタート地区から見えてしまい、使える範囲が狭くなる。施設の大きさが十分広くない。

 

・栃木県埋蔵文化財センター(会場から道路を挟んですぐ南の大きな建物)

メリット:会場から最寄り。植込みに囲まれているため、テレインのほとんどの部分が見える。広い部屋が借りれそう。この施設は土曜日休館日だから、一般客に迷惑かけることなく借りれそう。

デメリット:近いので、会場でのアナウンスなどが聞こえて、情報が漏えいする可能性あり。休館日だから、そもそも借りれなさそう。

 

以上2つが有力でした。インカレスプリントのテクニカルミーティング(要項・プログラム | インカレスプリント・ロング2016)の資料(6、その他注意点)がとても参考になりました。住宅街ってどこだよってなりましたが、上の2つのうち、住宅街を通すことができるのは秋山亭しかないです(ただ、少し遠回りになるのがどうなのかなという疑問はありましたが)。これで、栃木県埋蔵文化センターの可能性はなくなり、たぶん秋山亭かなぁとなったのでよかったです。

 それでも、デメリットであるテレインの東部分が使えなくなるというのが少し引っかかってました。後々記載のコースの回し予想と関係があるので、そちらで詳しく書きます。

 

 他にも夜明け前(民俗資料館)や近くの空手武道館などが候補として挙がっていました。ただ、夜明け前(民俗資料館)にはそもそも空室はあるのか、また、スプリントとして楽しそうなエリアが十分に使えないとかデメリットが大きかったので、候補からは消していました。

 

あと、スタート方式についても考えていました。プレスタート方式っていうのかな?ブルーシートで1分前枠を綺麗に覆っていたのは、「そこまでするんだ!」という驚きがありました。実際に写真があればいいですが、報告書待ち?

 

横断箇所予想

 スタート地区はほぼほぼ秋山亭だろうと考え、次にテクニカルミーティングの4、道路の横断について、考えていきました。

・2本の車道を横断するということ

・待機所が秋山亭

・会場(ゴール)が北東の場所に位置すること

この3点から、まず間違いなく東西を横切る道路とそこから北に延びている道路の2つだろうなと予想できました。というか、そこしかない。

 

次に、

「片方の車道の横断地点は、 【708 通過地点】で
表されており、約40mの横断区間を設けています。
もう一方の車道には、渡河点の表記はありません。」

について。どちらに渡河点の表記があるかないかは容易に判断できました。明らかに道路の大きさが違うし、渡河点の表記があるのは、東西を横切るほうだと。

 どこに渡河点があるのかを判断するために、僕は以下のような40m渡河点棒を作成しました。

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↑40m渡河点棒

これを道路に並べて、この辺かなぁと確かめていきました。それと渡らせるのであれば歩道がついているところだろうと予想し、該当箇所があるかどうかをストリートビューで確認していたら、

・夜明け前の駐車場周辺

・会場付近

の2点に絞れました。

ここからさらに、

・コース距離が男子は2.7kmあること

という点で、会場に回すと距離が稼ぐことができないので、夜明け前の駐車場周辺で渡らせて、北西のほうを回すんだろうなと予想しました。ちなみに、この予想はほぼほぼ当たっていたので、レース中歓喜だったんですが、誘導前のコントロールをタッチするのを忘れていて、ミスタイム12秒も計上しています。。。予想の意味。。。

 

ゴール予想

ゴールについてはプログラムに載ってあったので、助かりました。会場を観客を盛り上げるために、可能な限り、会場ゴールではあるかと思いますが。

  

通行禁止箇所の把握

ここについては2.4で話す予想レッグと関係が少しあります。
昨年度の第一回インカレスプリントのコースプランナーY城さんと優勝者のG味さんがそれぞれイベントアドバイザーとコースプランナーということで、まず間違いなく昨年度のようなルートチョイスが大事になるコースに仕上がるだろうという予想を立てました。
ルートチョイスを生むためには、コントロール間に遮蔽物、すなわち、通行禁止(通行不能)なものがなければなりません。そのために、把握しようねということです。

天平の丘公園で使えそうな通行禁止の特徴物(範囲)は
・生垣や花壇などの濃緑で表されるもの
・岩崖
・公園中心の古墳周りのお堀(テクミ資料が出たときはビンゴ!ってなりました)

・柵
・水系、池
・植物園の範囲(オリーブ色)

今回、建物自体があまりなかったので、そんなに重要だと考えませんでしたが、来年度の市街地(予定)インカレスプリントでは、建物がとても重要になってくるので、予想が大変そう。あと、去年のインカレスプリントみたいなテレインだと等高線は必要だと思います。

で、これから以下の範囲を使うのかなって予想しました。

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 ↑紫斜線が使用しそうな範囲

実際は北西が使われず、北東のほうが使われていました。

 

 ちなみに、地図作製のときもこれは意識していて、「まばらに木の生えた開けた土地(402.0)」とオープン+独立樹のような、ルートチョイスにそれほど影響を与えないものについては、それっぽく描きました。逆に、生垣は細かくありすぎて、途中できちんと描くのを諦めましたが。。。。

 

 以上を踏まえ、プログラム掲載の距離に合わせて組んだ予想コースが以下のものです。

 

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確認したかったのは、

・2.7kmでどれだけ回すことができるのか

という一点でした。

 

これ自体、自分はそんなに大事なものではないと考えています。というのも、同じコースなんて絶対にできないじゃないかっていうのが理由です。回し方、どの地点でどういうところを回されるか、だいたいわかればいいと僕は思います。

 

2.4 予想レッグ

 今回、というか今年に入ってですが、以下の方法でルート検討することがあります。これで結構同じようなレッグがあり、レース中のルート決めが素早くできた(と思っている)ので、したことなかった人は試してみてはと思います。特に、ルートチョイスが分かれそうなところ(右か左かという選択)でこれをすると、効果を発揮するのではないかと。

 以下が実際考えていた一つの予想レッグです。

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 西のコントロールから東のコントロールへのレッグですが、東には3つの赤色の円があります。

 こういう間に岩崖やお堀などの通行禁止の部分があるレッグはスプリントのコースを組む上では必ず重要になってきます。

 

 で、実際にこれを使って何を考えるのかというと…

 赤の円が上下にどこまでいけば、下から巻くか上から巻くかというのを考えます。ここで知りたいのは、上からも下からも同じ距離となるのはどのあたりかということです。その位置がわかれば、それよりも下の位置にあれば、下から回ればいいし、上の位置にあれば、上から回る、というように特に何も考えずに判断することできます。

 

 でも、実際は距離以外にも走りやすさ、曲がりが急でスピードが落ちないか、などなど、様々な要因を考えなければならないので、こんな簡単には決まりません。だから、あくまでも一つのルート選択法ということで。

 

 ちなみに、上の地図では、一番下の赤の円が大体上からと下からの距離が同じになります。上下でなくても左右でも場所によってはルートが大きく変わることもあるので、いろんなレッグを作って、試してみてはいかがでしょうか。

 

2.5 当日

 あとは、もうレースでどれくらいあっているかの答え合わせです。といっても、会場周辺の景色は待機所移動までに見ることができるので、どんな感じなのか、実際の目で確かめることができるので、それだけでも面白かったです。

 実際、会場の北の建物が工事していたこと。そのさらに北の林の走行可能度が高かったことがわかり、北東まで回すのかなぁと予想を補正(というか、あれだけ準備している様子が見れたら、予想でもないか)することもできました。

 

 実際にレースを走ってみて、楽しさにおいては予想を遥かに上回るもので、レース後はエリートで走れて幸せな気分に入り浸っていました。。。

 

 

最後に

 あまり時間が割けず、まとまりがない文章で、読みにくくなりました、すみません。僕は以上の対策をして、インカレスプリントに臨みましたが、4位入賞留まりでした。結果自体は悔しかったです。でも、課題であったルートチョイスについてはかなりクリアできたと思っていて、そういう意味では嬉しい気持ちでいっぱいでした。課題をクリアできたときの嬉しさはオリエンテーリングの面白いところの一つだと思っています。もし、同じような課題を持っている人がいれば、以上のことを試してみたらいいかと思います!ただ、むちゃくちゃ時間がかかりました笑。たぶん、作図やらなんやら全て含めて、50時間くらいかけてるんじゃないかな。走るのが嫌いな人はM西さんのと僕の記事を読んで対策すれば、インカレのエリートの舞台でも十分戦えるのではないかなと思うので、来年度どなたか試してみてください笑

 

 長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。 

僕の地図調査史を振り返りながらGPSの話でもしようか

どうも。東北大09入学の中村憲です。田村の同期と言ったほうが分かりやすいでしょうか?

今日の記事では、僕が経験してきた地図調査の経験を通してGPSなどの利用法を紹介していきたいと思います。

東北大大会はちょうど僕のいた時期が調査技術の過渡期でした。歩測中心の調査からGPS,航空レーザー測量原図の調査に変わっていきました。そんな訳で、自分の調査の思い出話を通じて、GPSの種類や、使い方などを紹介していこうかなと思います。

2009年-入学

東北大に入学して、オリエンテーリング部に入部。

この年の東北大大会はハミングの森(地図名は音和山でしたが試走中ハミングと読んでいたので、ハミングの森の方が個人的にしっくり)この大会では地図づくりには関わっていませんが、先輩たちを見てとにかく地図調査って大変なんだなと思いました。

この時点では、東北大はGPSを導入していません。地図調査は歩測で道などの骨格を取るっていう部分が肝心で、ここで歪みが発生すると大変だったようです。同期全員で調査する上に歩測で骨格を取るということで、境界合わせも大変そうでした。原図の情報量にもよりますが、歩測とコンパスの正確さが、地図の進捗に決定的な影響を与えていた時代です。

参考:みんなでハミングすればヤブくない!?-第32回東北大学大会 - Orienteering News in Japan

 

2010年-初めての地図調査

この年の東北大大会は荒浜でした。冬くらいから、1年生も練習を兼ねて調査に駆り出されます。東北の冬なので、寒くてつらい時期ですが、植生がいいこの時期に地形をしっかり調査できていると夏休みが楽になります。調査で凍えた後のコンビニの肉まんが美味しいんだよなぁ。

 ちなみに東北大の地図調査は基本的に自転車か原付きで通いです。私は原付きを持っていなかったので、自転車でした。どのテレインも大体10km以上あるので、往復は結構しんどいです(自転車圏内にテレインが複数あるというのは恵まれた環境ではありますが)。この年は試験的にGPSを使ったようです。が、どんな機種を使ったか、僕は把握していないのですが、あまり役に立たなかったとのこと。

ちなみに、ご存じの方も多いかと思いますが、このテレインは津波で消失しました。あの震災があと1年早ければ地図調査中の部員が巻き込まれていてもおかしくなたったと思います。この辺の被災地域の一部は防災公園になるそうなので、もしかしたらいつかまたここで東北大大会が開ける日が来るのかなぁ…

参考:海岸テレインを爽快に駆け抜けろ!-第33回東北大学大会 - Orienteering News in Japan

 

翌年の大会に向けて

さて、4月の新歓が終わると翌年の大会に向けて動き出します。僕らが運営の中心となる年です。この時点でマッパーとかやる気はさらさら無かったのですが、成り行きでマッパーになりました。誰かが推薦したか、学科の3年時のカリキュラムが暇そうだからとかそんな感じだったと記憶。結構適当なもんです。テレインは岩切に決定。

この年の秋に地図調査の練習として、同期で地図調査を行いました。テレインは青葉の森。東北大の裏山です。この地図調査は既存の地図のリメイクでしたが、当時の青葉の森は結構歪んでいることが知られていました。さらに、前年経験したテレインが荒浜だったため、僕らは山テレインの調査は初めて。何がなんやらって感じで迷走しました。結局散々な地図ができちゃいましたね。いや、それでも初めての地図ってのは感慨深かったですけどね。

画像の右側が私の担当範囲です。境界が全然合わないので、おりゃーでつなげた記憶。懐かしいなぁー。ちなみに、この地図を使って田村杯ってのをしたので、”TC”のロゴが入ってます。PCの奥から地図データを探してきましたが、環境の問題でフォントが一部おかしくなってますね。

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GPSへの興味

さて、いつ頃からだったからか忘れたのですが、多分この頃からGPSというものに興味を持ち始めました。上の代や自分たちの調査練習通して、GPSというものにあったら楽に高精度な地図できんじゃね?って感じで(実際はそんなに甘くはないのですがね…)。林業GPSの本とか、ネットの情報とかいろいろ探してましたね。

東北大大会の余剰金の積み立てがだいぶ出てきたので、GPS買っちゃおうか、なんて話も出てきた頃にO-NEWSの記事で、京都OLCからお手頃価格でレンタルできる、という記事がいいタイミングで出ました。

おりらぼ-第17回:GPSを利用しよう! - Orienteering News in Japan

ってなわけで、とりあえずこれをレンタルして、良かったら似たようなものを買おうって話に。

余談ですがこの時の京都OLC担当者が現NishiProの西村さん。GPS目当てで京都OLCに入ったという噂。

2011年

宅急便でGPS本体が届いたときは、銃でも入ってんのかというようなアタッシュケースに入って届いて少しびっくり。

結構でかくて本体はリュックに入れて、そこからUFOみたいなアンテナが出てるタイプです。もって歩くと不審者です。100万円だか200万円だかのまさにプロ用のGPSちなみにこのGPSは、海上保安庁が船舶向けに出している中波ビーコンで送られてくる補正情報を受信するGPS受信機です。今ではこのタイプは少ないのではないかと思います。このGPS精度は高かったのですが、問題は感度。オープンでは安定して位置を取得できても、森のなかに入った瞬間不安定になります。受信できていれば精度はいいのですが、感度が低く、特に沢底ではいつまで経っても受信できないこともしばしばです。

それはともかく、そんな訳で、GPSを使い始めた訳ですが、なにせ東北大はGPSを使った調査の経験無し。っていうか自分の地図調査の経験自体貧弱。どういう風に運用していいのか分からず迷走しました。

GPSがレンタルで借りれる期間が限られることもあり、初めに一気に特徴物をGPSで取ろうという作戦でした。なのでGPSで点や線を取る→現地調査を行う、という順序を考えていましたが、これが結構時間がかかってなかなか現地調査に入れない。そもそもこのテレイン(岩切)は東北大所有の地図の中でもトップクラスの面積を持つテレインなのです。

GPSで何を取るべきか、というのがはっきりしてなかったのも問題だったと思います。(このときは尾根線や沢線もGPSで取ろうとしていたのですが、今思えば原図に乗ってるような尾根沢線まで取る必要は無かったのではとおもいます)。

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f:id:orienadvent:20161218172323g:plain↑2011年冬のGPS調査の記録。原図と比べて、GPSの精度は高そうです。かなりの密度で点を取っていましたが、道、主尾根沢など、多くが原図から十分読み取れる特徴物でした。むしろ原図の精度が高く、情報量がリッチなんですよね、このテレイン。

 

そんな感じで迷走しているうちに東日本大震災が発生しました。テレイン内でも主要道が崩落するなのどの被害。テレインは変更せざるを得ませんでした。
でも、もしこの震災が無かったら…?
正直、ちょっと恐ろしいです…
あのまま行ってたら地図調査の進捗は結構やばかったと思います。
僕はきっと地図調査の進捗を遅らせた戦犯のマッドサイエンティスト扱いされていたでしょう。
(でも、まぁ新しいことに挑戦するときにリスクと失敗はつきものですよね、うん。しゃーないしゃーない。)
同期の皆さん、迷惑ばっかりかけてほんどごめんなさいでした。

ちなみにこの年のテレインはみちのく湖畔公園で公認S。
地図はリメイクでした。GPSは使ってません。公園なら調査楽だろと思ったけど、そうでもなかったです。
大会一週間前にラスポ周辺にフェニックスが出現するしね。

 虹かかる秋空の下、湖畔公園は大盛況-第34回東北大学大会(2011) - Orienteering News in Japan

東北大もGPS購入

時系列は少し戻りまして確か夏前くらい。

結局部費で買ったのか大会会計で買ったのか忘れたのですが、なんやかんやで東北大もGPSを買いました。機種はMobileMapper6。今はもう売ってません。値段はあまりネット上で情報がないのでここでシェアしておきますが、確か30万円弱でした(後継機種も似たような価格帯だと思います)。

このGPSの特徴は、

・コンパクト
・高感度
・リアルタイムの精度はそんなでもない(一般向けのものよりは少しマシ程度?)
・線や点に属性を付けて記録できる(道、水系、穴など)←プロ向けのGPS全般の特徴ですが
・後処理によって精度が大幅に向上

というところです。この後処理について説明します。
後処理は国土地理院が公開している電子基準点の計測データを用いることで、
PC上で計測点の誤差を補正する技術です。受信状態にもよりますが、結構精度が上がります。ただし、リアルタイムでは使えませんので、同じ場所に2度調査に行かなきゃいけなくなります。しかも、後処理でどんだけ精度が良くなるかは実際にやってみないと分からないという…

このGPSを使って最初に作った地図が、七北田公園。
同期の有志数名で作りました。この地図は個人的にお気に入りです。
”なかけんメソッド”(この年発明)を初めて実用した地図でもあります。
まぁ原図にかなりの情報が乗ってる公園テレインだったので、あんまりGPS使う意味なかったかもしれないけど。
ここ、東北大大会では未使用です。仙台OLC大会を一度やったことが有ったくらいかな?
地下鉄駅も近い、いいテレインなので、前日大会とかで使われないかなぁ…(渉外的にどうなんだろう)

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七北田公園のGPSサンプル。GPSで特徴物を取るときに属性を付けられるので、OCADに取り込んだ際に、それぞれを適当な記号に対応付けることができます。


あと、この年は基盤地図情報から地図が作れるようになりました。以前から(いつからかは忘れた)航空レーザー測量と言うものがあることは知っていて、その一部が基盤地図情報とて公開されている事も知っていたのですが、そこから地図を作る、というのは時々思い出して挑戦しては失敗で飽きて諦める、ということの繰り返しでした。初めてコンタが生成できたときは感動でしたねー。


インカレロングが新テレイン(長野のアルプス公園のとこ)で、地図読み対策などがしずらかったので重宝しましたね。
航空レーザー測量のデータじゃなかったけど、ロングの対策としては十分。


2012年

この年はさくらんぼ大会(鴫の谷地沼)と東北大前日大会(台原森林公園)の地図を作りました。両方共、航空レーザー測量+MobileMapper6で調査しました。GPSは本大会の方から間借りですけど。特に台原森林公園の方は都市計画図のコンタがかなりいい加減だったので、航空レーザー測量のデータが有難かった…

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↑都市計画図と航空レーザー測量のデータの比較。都市計画図のコンタはかなりいい加減。当時台原は結構ゆがんでると言われていましたが、原図の影響が大きいのではと思います。結局、この当時の精度の良し悪しは原図の良し悪しに帰結するのかもしれない。

この年、大奮発してOCAD11とGARMINのeTrex20を買いました。学生には高い買い物です。(それでもこの時期は円高最盛期だったので割安でしたが)

GARMINGPSはOCADのデータ(を画像化したもの)を下絵に出来ます。OCAD10以降はOCADから直接出力できるようになりました。OCAD9以前でも原理的には出来るはずですが、面倒くさいです。やったことはありません。カシミール3Dで変換できるっぽいです。

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GARMINGPSの画面


あ、ちなみにGARMINGPSは英語版がおすすめです。日本語版高いです。「みちびき」に対応というセールスポイントはありますが、たぶん精度的にはあまり変わらないのではないかと思います。(少なくとも精度が良くはならない。精度が悪くなる確率が少し減る程度?)
GARMINでも、線や点を記録することはできますが、面倒くさいので基本記録しません(線や点に属性をつけることが出来ないので)。GARMINの背景に調査板と同じ画像をセットしておいて、調査板と見比べながら現在位置の参考にします。
まぁ当然精度はそんなに良くありませんが、無いよりは全然マシです。
正確に点や線を取るというよりも、適当に歩いていても、自分が居るおおよその位置が分かるってのが便利。コストパフォマンスはかなりいいと思います。

原図が航空レーザー測量だと、GARMINでも十分に自分の位置を確定させることが出来ます。例えば、いま尾根線上に居るときに尾根線上の大体どの辺にいるかをGPSで見る、というのがよく使うやり方。

 あ、ちなみにこういうふうに、原図をGPSの背景にして、って言うやり方はGARMINだけじゃなくて、MobileMapperなどでも出来ます。そっちはGeoTiffを使うのでOCAD Viewerで出力できたり。

 

内容盛りだくさんの争奪戦初日-第13回さくらんぼ大会1日目(2012) - Orienteering News in Japan

さくらんぼ大会は時期的に、大会直前に植生が急激に悪化するので大変でしたね。短時間でぱぱっと調査しようというスタンスを知れたのはさくらんぼ大会。

トレイルとミドルで公園の表裏を楽しむ-東北大大会前日イベント(2012) - Orienteering News in Japan

台原は結構NoMappedエリアが出来てしまったんですよねー心残り。台原はこれまで1:5000、等高線間隔5mだったのを等高線間隔2.5mに変えました。このテレインは公園テレインみたいな顔した山テレインで、想像以上に谷が深い、っていうのを反映させたくて。大会は気楽に開くつもりが、公認トレイルと共催になり、院試期間とも被ってて大変でしたね。あ、そういえば某実行委員長は院試落ちてましたね。

2013,2014年

院生になってからはさくらんぼの調査だけですね。

MEは藤沼が連覇、WEは関谷が初参加で制す!-第14回さくらんぼ争奪オリエンテ ーリング2日間大会(ナイト、ロング) - Orienteering News in Japan

2013年さくらんぼは「横倉の壁」。標高が高いので、調査中寒かった記憶。2012,2013のさくらんぼ調査は蔵王温泉だったので、温泉三昧でいい思いしました。

2014年は西蔵王の修正&拡大。就活も終わってない中の調査で大変でしたねー。うんうん。(この年の4月でO-NEWSが終了しているので記事がない…)

 

2015年

社会人になって和歌山に来ました。(このとき、引っ越しのどさくさでサムコン、プレコン、eカード、eTrex20などを紛失…損害額いくらだろう…)

この年は何も調査していないのですが、新しいことを試してみました。

OCADに直接GPSを繋いで、タブレットで地図調査をすることです。結論としては、あまり使えないなぁ、という感じなのですが、工夫次第では実用的になるかもしれないので、シェアしておきます。

OCADはGPSのデータをリアルタイムで取り込むことができます。といってもどんなGPSでも、というわけではありません。NMEA0183というフォーマットで、シリアル通信でデータを送ってくれるGPS受信機が必要です。手元にあるGARMINGPSはそれはできないっぽいです。もしかしたらできる機種もあるかもしれないけど。

 とりあえず実験のために↓を買いました。USBで接続できるタイプのGPSです。

https://www.amazon.co.jp/GlobalSat-BU-353-S4-WaterProof-Receiver-SiRF/dp/B00I1F7DOM

PCはSurfacePro3。12インチは調査向きじゃないですね。

最初に試したときのレポートをFaceBookに書いています↓

タブレット×GPS×OCAD

2016年になって和歌山で調査する機会があったので一回試してみました。

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タブレットPCを裸で持ち歩くのはどうなんだろ…と思いつつ。左はGARMINのGPSMAP64。こっちの方が精度は良かった記憶。

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↑道を取っているところ 

当然、道を歩いても結構ズレてます。なので、道を歩いてそれをそのまま記号で置き換える、ってのは難しい。結局位置が合ってても角度や形がおかしくなってたらだめなんですよね。しかし、コンパスを使おうにも、タブレットPCの上にコンパス置いたら当然使えないわけで…そうなると調査板の方が使い勝手がいいですね。

というわけで、Surfaceを持っていったのは1回きり。USBのGPSも家で眠ったままです。

 

今後この方式が活用できる可能性はあるか?工夫や使い方次第かなと思います。

まず、山テレインで道や主要な地形を調査する段階では不向きです。そもそも山にPCの持っていきたくないし、コンパスが重要なので、相性が悪い。
なので、骨格が原図でほぼ確定してる公園テレインでの調査か、山の場合も最後の仕上げなどが使いどころかと思います。

また、調査に持っていくなら12インチではなく、10か8インチ位がいいと思います。ただし、スタイラスペンは必須です。あと、これはOCAD側に要望したいことですが、タッチ操作に対応して欲しい。ピンチイン、アウトなど。それができるだけでだいぶ操作性が良くなると思います。

 

 うめくさ

東北大の部誌、だっちゃでけさい、では余白に埋草を書く習慣がありましてね。私はそれ結構好きだったんですよね。ブログで埋め草って意味ないけど、なんとなく書きたくなってしまって…

うめくさ

他に書く候補として新ISOMについて、とか、GPSの使い方講座、みたいなのも候補でした。まぁ結果的に書きたいことを書くことにしました。PCの奥に眠る懐かしの地図データと出会えて良かったです。また、図らずもO-Newsの存在意義というか偉大さを再認識する記事にもなりました。GPSのこと聞きたい人はTwitterとかで聞いてもらえれば、知ってる範囲で答えます。

うめく3

大事なのは何よりも好奇心