オリエンティア Advent Calendar

オリエンテーリングを語ろう。

話題になったあの大会のこと

はじめに

 

 ーー遡ること4年前の7月。男たちは突如、謎のオリエンテーリング・イベントを開催した。

 

 このイベントは開催が発表されるや否やオリエンテーリング業界に激震が走り、業界のインフラとして活用されるOrienteering.comへのアクセス数がたぶん激増し、もうひとつの業界のインフラであるところのTwitterではとある二文字を見ない日はなくなり、誰しもが所属欄での大喜利に頭を悩ませ、不朽の名練習会として後世まで語り継がれる予感を全オリエンティアにもたらした。

 

 練習会開催後は期待に違わず褪せることのない名イベントとして語り継がれ、世界的に有名なWebサイトLapCenterのトップにはあの二文字がやはり燦然と煌めき、学業職業そっちのけで参加した58名は初代練習会参加者として経歴に箔がつき、世論はバカバカしい運営者だと賛美する者と馬鹿な運営者だと蔑む者に二極化され、Twitterでは第2回の開催を渇望するツイートが連日タイムライン上に現れ……、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、留年の輪が広がった。

 

 

 本日は、オリエンテーリングを愛するあまり、長い学生生活を送ることになってしまった愛すべきものたちによって開催される「留年大会」の姿に迫る。 

 

 

オリエンティアAdvent Calendar 1日目

「我留年す、ゆえに我あり」

 

 本文は、留年生のことを大いに笑っていただくことを目的としている。もちろん笑いの中から大会運営のヒントや儲け話、さらにはオリエンテーリングが速くなる方法を見つけてもらうことも大歓迎である。もし見つけた場合は、こっそり筆者に教えて欲しい。

 

 

 

1.留年大会(練習会)とは?

 

 留年大会の歴史は………と執筆しようと思ったのだが、留年生は「歴史」という言葉に弱く、中には政治経済学部経済学科の授業で西洋経済史の単位をいつまでたっても取得できなかった過去を思い出してアレルギーを発症する者もいるらしい。また、筆者は普段一度に140文字までしか発信しない生活に慣れきってしまっているため、まじで書くのがしんどい。留年大会の概要は下記リンクを参照いただくこととして、筆者から見た留年大会の特色(思い出?)を書く。

 ■#10_広げよう、留年の輪-第四回留年練習会 (OK-Info, 2017/2/24)

 http://okinfo.hatenablog.com/entry/2017/02/24/143335

 

 ■#33_ヤツらが「大会」運営に乗り出した! – 第5回留年大会:第1部(スプリント、ダウンヒルミドル) (OK-Info, 2017/7/15)

 http://okinfo.hatenablog.com/entry/2017/07/15/173055

 

 ■#35_運営者が来ないかと思った – 第5回留年大会:第2部(ナイト) (OK-Info, 2017/7/17)

 http://okinfo.hatenablog.com/entry/2017/07/17/205230

 

 ■#36_実走20km!?のウルトラロング! – 第5回留年大会:第3部(ウルトラロング) (OK-Info, 2017/7/20)

 http://okinfo.hatenablog.com/entry/2017/07/20/075604

 

■広げよう留年の輪 Twitterアカウント

https://twitter.com/ryunenteer

 

 

【筆者の見る留年大会(1)】

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 第2回留年練習会@勢子辻、前日夜。このときは1日のみの練習会だったので、運営者にも前日にBBQをする余裕があったらしい。楽しそうである。

 

【筆者の見る留年大会(2)】

 第2回留年練習会@勢子辻の開催キャッチコピーは「いちりゅうオリエンティア達による一流の練習会」だったのだが、近年はこのフレーズを聞かなくなった。なぜか?運営書の多くが二留してしまったからである。

 

【筆者の見る留年大会(3)】

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 第4回留年練習会@両総用水の前泊運営宿の様子を某運営者がリークしていた。ご覧の通り、撮影者を含めて3名しかおらず、過疎化していることがわかる。

 

 某運営者の考察によると若者の留年離れが激しいとのことで、これは日本体育大学の公表している「留年者数(5年間推移) http://www.nittai.ac.jp/about/information/remain.html 」を見ても明白なようだ(余談であるが、このページは「留年練習会」でググると出てくる。正直ビビった)。

 

果たして留年生はクラブ員減少に歯止めをかけることができるのか。

 

【筆者の見る留年大会(4)】

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 第5回留年大会@西蔵王の試走をしたあとに、運営者が焼肉をしている様子をTwitterにアップしている。このときは泊まり込みでの試走会だったため、運営者にも焼肉をする余裕があったらしい。ちなみにこのときはキャンプもしているらしく、楽しそうである。

 

【筆者の見る留年大会(5)】

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 第5回留年大会@西蔵王 1日目ミドル競技のあとに、運営者が焼肉をしている様子をTwitterにアップしている。このときはすぐ後にナイト競技が控えていたはずなのだが、なぜか運営者には焼肉をする余裕があったらしい。楽しそうである。

 

【筆者の見る留年大会(6)】

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 第5回留年大会@西蔵王 2日目競技終了後に、運営者が焼肉をしている様子をTwitterにアップしている。こいつら肉焼いてばっかだな。実に楽しそうである。

 

【筆者の見る留年大会(7)】

 留年大会(練習会)は、学生の試験時期に重ねて開催されることが多い。第1,2,5回留年大会(練習会)は言わずもがな7月中旬の前期試験前に開催されている。第4回留年練習会は2月中旬に開催されているが、おそらく国立大の中にはまだ試験を受けていた人もいるのではないか。「そんなこといっても、第3回留年練習会は11月下旬に開催だから、関係ないじゃないか!」という人に対しては、中間試験やTOEICがあった可能性を指摘したい(そもそも、学生とは常に試験に追われている生き物なのである)。

 なぜ学生が苦しむ時期にイベントを開催するのか。それは、挫折を味わう貴重な体験によってこそ人間としての魅力が磨かれるからである。言い換えると、一度膝を折り曲げるからこそ高くジャンプが出来るようになる……そんな留年生なりの親心に違いない。挫折は、良い。社会保障が手厚い現代社会において、挫折するという希少体験ができる唯一ともいえる機会がある。これこそが留年であって、精神的・社会的・金銭的という様々な挫折を味わうことができるのである。だからこそ、大きく羽ばたくことができるのだ。

 従って、挫折という経験を味わえないまま学生を卒業するのは、非常にもったいない。留年生は留年のおかげで挫折経験には不自由しなかったからよかったが、挫折を知らない可哀想な人間に対しては何とかして立場を代わってあげられないだろうか、と常々考えているのである(立場を代わることができないまでも、何とかしてこちら側に引きずり下ろしてやれないものか、と常々考えているのである)。

 ここまで読んで「いいないいな、留年っていいな」と考えている人もいることであろう。かの有名なY城克哉氏も「俺も留年したかった……」と常々こぼしている。先日のCC7の優勝監督、H宇津佑亮氏だって先日筆者に対して「僕も親に留年したいって伝えたのにダメって怒られちゃいました〜(>_<)」と報告してきた。オリエンテーリング界のスター・トータスの彼らが留年したいと望んでいるのだ。きっと留年はいいことに違いない。

 

 

2.留年大会の出走者数が増え続ける10の秘訣

 

 第5回留年大会が盛況のうちに終わったことは読者の皆様も覚えておいでだろう。「2017年ナンバーワン大会を決めるとしたら、留年大会だと断定することに一切躊躇をしない」と言う人もいるかもしれない(もちろん、いないかもしれない)。過去5年間の大会出走者数推移が”58名-88名-158名-67名-726名”となっていることからも、留年大会が多くの支持を獲得してきたことがわかる。しかし筆者は断言したい。運営者の学年が留まったとしても、留年大会の人気は留まることはない。出走者数で考えた時に、次回は1,000人、いや、1,500人にだって届きうると考えている。出走者数を年々増やす秘訣は10個ある。ひとつは次の章で後述する。ふたつは機密事項のため今回の執筆では割愛するとして、もうひとつは忘れてしまい、さらにふたつは今まさに考え中である。今回は、残りの4つについて考察してみたい。

 

(1)チャレンジングでタフなコース

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 留年大会の特色は?と質問をしたときに最も多く出てくる答えだと考える。地図を開いた瞬間に飛び込んでくるえげつないレッグ。「これ本当にたどり着けるの?難しすぎる」と言いたくなるような難解なコントロール位置。「これ本当にたどり着けるの?しんどすぎる」と言いたくなるようなロングレッグ。通常の大会では味わえないようなレッグの数々が、参加者を待ち受けている。しかし、単体のレッグとして見たときにきちんとオリエンテーリングに必要なすべてのスキルを要求する。運試しではなく、れっきとした競技。”クレイジー”ではなく”チャレンジング”であることが、人気なのかもしれない。……といった趣旨のことを、M西が語っていた。

 

(2)メディアの活用、そして意外性

 広報責任者は、シャープ株式会社のTwitterの人気ぶりを見て思ったそうである。

 

 「これ、まんま真似すればいいんじゃね?俺って天才だわ。」

 

 企業の公式Twitterアカウントが会社とはあまり関係ないゆる〜い内容をツイートすると、なぜか人気が出る法則。これを真似しようと考えたのだろう。一般的常識と照らし合わせたらクソくだらない内容にしか思えないのだが、

 

 

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こういうのとか、

 

 

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こういうのとか、

 

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 こういうツイートを継続してポストしまくってみたところ、なぜか反応が良かったようだ。不思議なものである。他にも実行委員長やテレインをルーレットで決めたりするなど、やっていることがめちゃくちゃである。だが、手法が何であれ、大会に注目してもらうことが重要という目線に立てば、こういうのも良いのかもしれない。

 

 ちなみにマーケティング論的には、ザイオンス効果であるとかアイドマの法則だとか色々あるらしい。だが、中にはマーケティングという言葉を聞くと政治経済学部経済学科の授業で行動経済学の単位がいつまでたっても取得できなかった過去を思い出して嗚咽する者がいるかもしれないので、ここでは難しい話はしないこととする。ともかく、筆者は勝手にこれらのツイート手法を「”抜け感”ツイート」と呼んでいる。留年生のバカ加減とのシナジーがあったのだろう。

 

 

(3) 参加したくなる動機づけ ハッシュタグ、留年ボード

 「みんなが参加するなら俺も行こうかな……」

 同調、同列、付和……、批判をするわけではないが、日本人の特性としてよく語られていることである。だが、大会運営者にとってこれほど日本人の習性にありがたみを感じることがあるだろうか。みんなが行くなら彼も行くのだ。

 

 「なら、みんなが行くことを示せばいいんじゃね?やっぱ俺って天才だわ。」

 

 広報責任者はそのように考えたのだろう、このようなツイートをしてみた。

 

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 参加者は留年大会の話題にハッシュタグをつけてつぶやくと、何かしらの特典がもらえるかもしれないらしいので、たくさんつぶやく。つぶやきが他人の目に触れる。これらによって「あいつが行くなら俺も行こうかな…」「こんなに話題になるなんてさぞかし良大会に違いない」と考えてくれたなら儲けものである。自らの力で広報せずに参加者任せにするなど言語道断、と思われるかもしれないが、広報責任者はひたすらハッシュタグを検索してリツイートするだけだったので、楽だったようだ。

 

 他にも、

 

 

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とか

 

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とか

 

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 など、各種大会会場で「留年ボード」を手にそこら中の人々と記念撮影を行い、Twitterにて広報させてもらっている。悲しいかな、表彰台にあがって宣伝をする実力がないため、Twitterで宣伝しまくったようだ。どれほどの効果があったかはわからないが、「あいつも参加しちゃうの?」と思ってくれたらラッキーである。

 

 筆者はこれらを総称して「"赤信号 みんなで渡れば 怖くない"式マーケティング」と呼ぶことにした。

 

(4)運営者が楽しめる大会

 これ、大会終了後の参加者の声で意外と多かったので驚いた。参加者が楽しむための秘訣として、運営者が楽しんでいること……そんなことがあるのだろうか。確かに運営者はひたすら楽しそうに運営をしていた。

 大会運営は、大変である。それはもう紛うことなき事実である。なぜ大変なのか?時間が奪われる、競技ができない、お金がなくなる…。様々な理由があるとは思う。しかし、しんどそうに運営している様子を参加者に見せてしまうと、参加者もげんなりしてしまうのではないだろうか。運営者が運営のことでTwitterに愚痴をこぼしている大会に、果たして参加したいと思うだろうか……。改めて、そのようなことに気付かされた。

 ちなみに留年大会の運営者はしんどい感じを表に出さなかったのではなく、たぶん本当に楽しんでいたのだと思う。そりゃもう、参加者から頂いた参加費で連日のように肉を焼いて酒を飲んだり、余剰金でCC7にタダで出場できたりしたのだから、めちゃくちゃ楽しいに決まっている。運営がしんどくなる理由のうち、ひとつだけでも解消できたことは大きかったのではないだろうか。

 

 

 

 

 

 以上、筆者なりに留年大会の人気の秘訣を考えてみた。これらの秘訣は、例外を除けばすべての人にわかっていただけると思う。(どんなものにも例外があるのが残念である)。

 その他にも留年大会の良かったことがあれば、ぜひハッシュタグをつけてTwitterでいまいちど大会を振り返って感想を述べて欲しい。(悪かったところはたくさんありすぎて悲しくなるので、述べないで欲しい)。

 

 

3.第6回留年大会開催情報!

 11月26日に開催されたCC7。1走でなんかよくわからん変な名前のチームがトップフィニッシュしたことが記憶に新しい。実はレースと並行して、とある重要会議が行われていた。なんと次回留年大会の開催が正式に決定したのである!!!まだ構想段階ではあるため確定ではないが、以下にその情報を記す。

 

■日程

2018年7月21日(土)、22日(日)

 

■開催種目

7月21日(土)

スーパーフラットミドル

・ナイトO(タイムスタート?)

キャンプファイヤー

・もしくはバーベキュー

 

7月22日(日)

・リレーマラソン

→2-5人のチームでリレーを行い、一巡したらまた任意の走者へ。制限時間(6時間or8時間)内に何コース完走できたかを競う。

(これこそが、先の章で述べた、次回留年大会の述べ出走者数が絶対に増えると断言できる理由である)

 

■テレイン

愛知県田原市『休暇村 伊良湖

テレイン旧図その1 ( http://home1.catvmics.ne.jp/~ono511/map/iragos.jpg )

テレイン旧図その2 ( http://home1.catvmics.ne.jp/~ono511/map/iragon.jpg )

マキノ高原を少しやぶくした感じだろうか?10年使われていないらしい。楽しそう。

 

■役職

実行委員長                    茂原(1留)

運営責任者                    若松(1留)

競技責任者                    重石(2留)

渉外責任者                    川上(1留)

広報責任者                    山川(1留)

1日目プランナー           ふみごん(1留)

2日目プランナー           熊見(1浪1.5留)

会計責任者                    細淵(1浪1留)

イベントアドバイザー   宮西(2留)

 

 ちなみに、実行委員長は前回大会の表彰式においてルーレットで決定したことは有名だが、その他のメンツは全員分の免許証/学生証を集めて、役職ごとにカードをツモることで決定されたらしい。

 

 

 

 いまのうちにスケジュールを確保してほしい。次回大会にもご期待あれ。詳細はそのうち出ます。

 

 

さいごに

 

留年してしまったあなたへ。

恥ずかしい、みっともない、情けない、しんどい、、、わかります。その気持ち。

互いに傷を舐め合い、そしてクラブ員として一緒に運営しましょう。黄色いTシャツがあなたを包み込みます。

広げよう、留年の輪。

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