海外大会の探し方と交流について
こんにちは。5日目の記事を執筆いたしますKOLC所属、慶應4年の吉澤雄大です。はじめましての方も多いと思います。
軽く自己紹介をさせていただくと、目立った実績はありませんが、インカレロング選手権に2度出場経験があります。それから、インターハイ2016の実行委員長をやっていたので、それで知っているという方もいらっしゃるかもしれません。
この記事を書くにあたっては、カナダにいる間に事前にアンケートを取ったのですが、「インターハイについて」よりも「カナダでのオリエンテーリングについて」の方が票を集めたのでそれについて書こうと思います。ただ、昨年すでに加藤さんが記事(http://orien-advent.hatenablog.com/entry/2016/12/04/023912)を書かれていて、実際私もとても参考にさせていただいたのですが、それとできるだけ重複しないものを書きたいと思います。
ということで「海外の大会どう探す?」、「どうやって交流したか」というところに要点を置こうと思います。そして最後の方にカナダのオリエンの体験と地図を何枚か載せようと思います。
①どうやって海外の大会の情報を得るか
皆さんは海外の地図を見たときやJWOCライブ配信の森の映像を見たときなど、海外でオリエンしたいとなることはありませんか?おそらく多くの方がそう思っているはずですし、私もそうでした。しかしJWOCなどは限られた人しか行けないですし、その併設大会やo-ringenも一部の東大生など7月から夏休みという学生を除いてはテスト期間あるいはテスト勉強中で日程が悪い、あるいはそんなに暇な時間がとれないというのが一般的でしょう(社会人はなおさらだと思います)。海外でオリエンをするというのは、夢のようなことと思っている人も多いかもしれません。
しかし大会を選ばなければ、ローカル大会はたくさんありますし(日本でも毎週のようにオリエンテーリングありますよね?)、意外と海外でオリエンするというのは可能なことで、ローカル大会であっても十分交流できて楽しいというのが、私の今回の経験からの結論です。海外のオリエンテーリングの情報さえ知ることができれば、ちょっと海外旅行をした際にでも参加することができると思うのです。ちなみに20代での海外旅行経験率は7割らしいです。一方で海外のオリエンの情報は世界大会などを除いて知らないという方がほとんどだと思います。
ここからは私がどうやってカナダの大会の情報を見つけ出したかということについて書きます。
例えばJWOCやWOCなら言わずもがな日本でも多くの人が代表選考に参加する大会でありますし、世界最大の大会とも言われるo-ringenなどは実際行っている人も多くて北欧で7月に行われていることくらいは知っている人も多いのではないかと思います。世界大会やアジア大会レベルのものは日本でも簡単に情報が手に入ります。日本の大会の情報ならorienteering.comがありますね。ところが、カナダ(海外)のローカル大会や練習会となると、どこで調べていいのかさっぱり分かりませんでした。
最初に行きついたのはworldofoというwebサイト。このサイトのcarenderには世界各国の大きな大会の情報が載っています(下の画像参照、同じようなのがIOFにもありますね)。しかしこれで見つけられたカナダの大会はカナダ選手権のみで、ローカル大会の情報はありませんでした。(日本の大会は1つも載ってないですね。)ちなみにこのサイトは十万以上の世界各国のo-mapを見れたり、WOCなどのコース解説がされていたりと面白いので是非覗いてみることをお勧めします。
それから加藤さんの記事でトロントにオリエンテーリングクラブがあるということを知ってたのであらかじめメールを送っておきました。現地に着くころにトロントオリエンテーリングクラブの方から返信があって、10月にOntario Championships(日本でいうと東日本大会とか東京都選手権みたいなものでしょうか)があるとの情報を得ることができました。分からない場合はやはり現地の人とコンタクトを取るのが手ですね。
さらにその後、気が付いたのはカナダオリエンテーリング協会のページです。見てみると「upcoming events」のページがあります。そこから州ごとのオリエンテーリング協会のページにリンクできました。そこでようやく日本でいうorienteering.comみたいなものを見つけました(下の画像参照。余談ですが、オンタリオ州では土日以外にも水曜や木曜に練習会などの集まりがあるようですね)。上記のオンタリオ選手権の情報も含め、ほとんどの情報はここで手に入りました。その他、地域クラブのページにも情報が結構載っていました。
ちなみにgoogle.caで”Japan orienteering”と打った結果が下の写真になります。オリエンテーリング協会が最初にヒットするのは普通ですが、2番目にヒットするのはスキーOなんですね、意外です。日本の大会情報であるorienteering.comは5番目にヒットします。これくらいで出てくれば海外の人でもたぶんわかりますね。
同様にgoogle.caからorienteering.comを開いてtranslateするとこんな感じになります。
インカレロングのページ開くと、実行委員長だったI井川さんの名前がgrand scaleと訳された以外は違和感がないくらいに訳されています。さすがgoogleです。
このように国のオリエンテーリング協会からイベントのカレンダーを見つけられることは多いようです。そうでなくても検索wordにeventと打つとかなりヒットします。パッと調べただけでもイギリス、イタリア、スペイン、アメリカ、フランス、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、ニュージーランド、オーストラリアは大会情報カレンダーを見つけることができました。日本と同様、かなりの頻度で大会は行われていますね。
大会の情報さえ見つけることができれば、あとは要項を読んで、自分の情報を登録し、支払いを済ませるだけです。海外ではクレジットカード決済も一般的なので便利です。
まとめると、海外のイベントを見つけるには…
- その国のオリエンテーリング協会のページを見る
- 見つからなければ、国の名前+orienteering+eventを検索wordにしてgoogleで英語検索する
- 州協会や大きい地域クラブのホームページを見てみる。
- クラブなどのページにメールアドレスが載っているのでそれを使って、海外のオリエンティアにメールなどでコンタクトを取る。
といった感じになるでしょうか。
下の画像はこんな感じで適当に探していたら出てきたフランスの地図です。走ってみたくなりますね。あとスペインのWREイベントでは東芝がメインスポンサーになっていたりしますね。
②どうやって交流する(した)か
ここまでは海外の大会情報の見つけ方について書いてきました。しかしいざ大会に行ってコース走って、「面白いテレインだった、楽しかった」だけではもったいないと思います。せっかくの海外オリエンティアと話すことができるチャンスです。是非交流してみましょう。一人で大会行くなら尚更です。
ここからは私がどのようにカナダで交流したかについて書いてみます。
カナダ最初のオリエンテーリングは上記のオンタリオ選手権でした。大会にエントリーしている日本人はもちろん私一人です。知っている人は0人、超アウェー。
どうやって話しかけて、会話にもっていこうかということに日本出る前から最も頭を悩まされました。そして考え付いたのが(中学生でも思いつきそうですが)日本のo-mapを見せること。彼らもオリエンティアですから海外の地図に興味がないわけがありません。私が持っていった地図は勢子辻、伊豆大島、富士見、西蔵王(留年大会)、菅生、横国。この6枚をセレクトした意義ですが、最初の3枚は日本を代表するテレインとして、菅生は典型的な日本テレインの例として、横国はキャンパススプリントの例として、西蔵王はエクストリームなコース及び留年大会について話したくて持っていきました。
オンタリオ選手権のスプリントとミドルの間に時間があって会場で皆さん暇そうだったので、そこで実行してみました。ちなみに着ていたのはIH2015のTシャツで日本語が書かれています。まず、スプリントの表彰式で見かけた人がいたので、話しかけてみます。「あなた、表彰されていましたね、速いんですね。」なんて感じから。話しているとTシャツの日本語から「日本から来たの?」と聞かれるので、「日本の地図見ますか?」と。地図を出すとやっぱり人が寄ってきて、すごい予想通りの展開になりました。
そのうちの一人が上の写真のchristianで、彼も地図を見せてくれましたがその地図がJWOC2017。もしやと思って聞いてみるとやはりJWOCerでした。今年のミドルB-finalに出ていたようです。
別の人は西蔵王(留年大会ウルトラロング)の地図を見て、「この1ポは正気かい?とても長くて275mも上りがあるね、狂っているね笑」と言っていました。「これは留年している人が運営している大会なんです。コースがすごい長いのは人生の長さ、つらさを表しているんです。」というと面白がっていました。
スプリントの日にはDon’t get lostオリエンテーリングクラブから食事会のお誘いがあったので、それに行ったり、シャワーを浴びにJWOCerのおうちに行くなんてこともありました。Christian(とその家族)には色々お世話になったので、伊豆大島の地図をあげました。
さて、大会のあと、何人かとfacebookで友達になりましたが、これがのちのち役に立ちます。
次のオリエンの機会はオタワの練習会だったのですが、chrisitianからmessenger(facebookの友人とチャットできるアプリ)で「オタワに行くなら、コーチを紹介するよ」と言われたのでした。そして練習会会場でそのコーチに会ってみると「明日の月曜、何人かでオリエンするけど、来るかい?」と言われたのでした。というわけでなんと翌日も平日なのにオリエンの機会ができたのですが、それがまた真っ白なテレインでいかにも海外って感じなのでした。ちなみにそのコーチはalexanderでJWOC4回出ていてミドルA決勝も出ている人でした。同い年だけどなんか畏れ多い…笑。彼とは日本の地図とカナダの地図を交換しました。
この経験をもとに考えると
- 積極的に話しかけに行くことが大事
- 日本のO-mapを持っていくと話がしやすい
- Facebookを使うと思わぬ情報、誘いが得られるかもしれない
といったことが挙げられると思います。
③カナダと日本とのオリエンテーリングの違い
こんなところが日本と違って面白いというものをいくつか挙げてみます
- 会場に給水がありました。ソーダ味とオレンジ味の粉末もあります。さらにメープルクッキーやバナナなども普通に置かれていてレース後食べることができます。
- 安全ピンが無料です。箱ごとおかれています。日本の安全ピン高すぎ。
- フォレストでも使うのはSIカードです。
- 地域クラブが大きくて、オタワオリエンテーリングクラブは300人が所属しています。
- ゴールすると記録の紙にレッグ毎のペースタイム(8min/kmなど)が出力されます。
- 冬はスキーOが主流になるそうです。
- ルートガジェットが誰でも見れます。カナダの主要大会の地図がここから見れます。http://www.ottawaoc.ca/index.php/resources/route-gadget
④ O-map
おまちかねです、カナダの地図を数枚載せます。
上の地図はalexがくれた地図です。難しそう。
この地図の地区はオタワ中心部です。日本なら丸の内にあたる場所です。2⇒3や21⇒22読めるでしょうか?
4つやったサーキットコースのうちの1つです。全体的に地面は岩がちですが、植生は本当に真っ白です。オタワで最もタフなテレインだそう。このテレインはオタワ中心部から15kmですが、こんな感じの良いテレインがたくさんあるそうです。オタワに住みたい笑
この微地形も海外っぽいですね。湿地は寒いので凍っていました。オタワなのでフランス語も併記されています。
以上です。皆さんも海外に行かれた際はオリエンテーリングで交流してみてください。こんなに友人作りやすいスポーツは、なかなかないと思いますよ。本当にこのスポーツをやってて良かったと思えること間違いなし!