月間走行距離50kmでもインカレ入賞する10の方法
おい誰だよ陳腐な啓蒙書みたいなタイトルつけたの・・・
自己紹介
はいこんにちは、東北大オリエンテーリング部OB1年目の宮西優太郎(@iwahage)と申します。
公開が遅くなってしまいましたがAdvent Calendarの9日目を担当します。
本題に入る前に、僕のことを知っている人も多いかとは思いますが一応自己紹介をしておきますね。オリエンテーリングは中学の時から始めて、高校、大学の間は受験期間を除いてずっと続けてきました。自慢ではないですが、インカレはロング2回、ミドル3回、スプリント1回入賞しています。自慢ではないですが。内3回2位のれっきとした(?)シルバーコレクターです。特に自慢するわけではないんですが、国際大会はJWOC2010, 2011, 2013とWUOC2016に出場経験があります。自慢じゃないですよ。
1秒を削る
えーさて、先日のインカレロング、僕はオフィシャルとして参戦しました。現役を退いて初めてのインカレでしたが、あの熾烈な争いを目の当たりにすると見てるだけで興奮しますね。最高でした。でもちょっと悲しくなったのは、自分も現役の時あれくらい努力していればな、と後悔したことです。
僕はそんなに走るのは好きじゃなくて、走る系のトレーニングはかなり少なめでした。走るのめんどくさいんです。走れば体力つくし、速くなるのは分かっててもやっぱり走りたくありません。だって夏は暑いし冬は寒いんだもん!この気持ち、分かりますよね?
でもでもでもやっぱり速くなってシード選手に選ばれてネタ動画で会場沸かせたいし、ネタ紹介パネルをTwitterに上げて”いいね”もらいたい。。。(ふぁぼくれ)
そんな人、多いと思います(みんなそうでしょ)
でも僕はあの手この手を駆使してなんとか走らずに速くなろうと試みました(いや走れよ) その結果、なんとインカレミドル2014、スプリント&ロング2015では月間50kmも走らずにインカレ準優勝にこぎつけたのです(もっと走ってたら優勝してた)(よいこのみんなはちゃんと走ろう)
と、いうわけで。走らなくも速くなる小ネタ集書きます。
例えば、ベストなレースをしてもトップから5分遅くて、トップの選手はだいたいインカレ入賞レベルだとします。ミドルセレの場合、たぶんトップから5分くらいなら通るか通らないかぎりぎりのラインでしょう。基礎的な技術と最低限の体力はあるとして、この5分=300秒をいかにして走らずに削るかを考えてみることにします。
正直インカレのレベルでは、ミドルはあまりタフさを必要としません。だから意外と体力つけるよりも細かい動作で1分1秒を削っていったほうが速かったりします。いや、もちろん速く走る体力も必要ですよ。
走れる人はこれをやらなくていいかといえばそうではないです。ここ数年のインカレを見てるだけでも1位と2位が秒差だったことは何度もありました。きっとみなさんも1秒の大切さを実感してるはずです。そのレベルだと、多少の体力差はナヴィゲーションのスピードがボトルネックになってあんまりタイム差に反映されないような気がします。他のあらゆる手段でもタイムを削っていったほうがいいのは確実です。
1. パンチングの動作をスムーズに行う
今までいろんな人のパンチング動作を見てきましたが、速いタイムで走る人でもうまくない人は多いです。ふつう1コースで20コントロールくらいあるので、1回1秒短縮できるだけで20秒も速くなっちゃうのです。
みなさんのクラブに電池の切れた使わないユニットやカードは転がってませんか? もしあったら練習したほうがいいですよ。あの戸上直哉選手もインカレに向けてひたすらパンチの練習をしてたって聞きました。室内でもできますしね(これ重要)
広い場所があるならいろんな方向からいろんな速度で進入していろんな方向に脱出してみてください。どの向きが得意とか苦手とか、自分の癖も分かるかもしれません。
2. ディスクリプションの確認を効率的に
毎回毎回コントロールについてからディスクリプションを確認してる人いますが、あれは絶望的に遅いのでなんとかしたほうがいいです。
僕は走りやすい&ナヴィゲーションでロスする可能性が低い区間で3つを番号だけ覚えるようにしています。ショートレッグが続く場合は次のコントロール1つだけ覚えてても間に合わないので。これも全体で20秒くらいは短縮できるのではないでしょうか。
リレーなんかだといちいち地図開かないといけないですし無理してスピード上げる場合も多いので難しくなります。ミドルではデフケース必須ですよ。
まあでもThierry Gueorgiouは番号確認しないみたいですから、正しいコントロールについたと自信があるなら確認しなくてもいいかも知れません。この人たまにペナってますが。
3. 先読みする
先輩に先読みした方がいいよって言われても具体的にどのタイミングでやればいいのか分かりにくいのかもしれません。
ズバリ先読みをすべきときは、次のチェックポイントまでの距離が十分にあり安全かつ自信を持って走れる区間です。例えば長い道走りとか、見通しが良いときとかです。そんなに何レッグも先まで読む必要はありませんが、今のレッグが終わるまでに次のレッグのルートチョイスができているといいですね。
一朝一夕で身に付くものではありませんが、普段地図読み練習をするときにどの区間なら読図しやすいかを考えるといいでしょう。
4. 読図走をする
先読みするには読図走やんないとだめですよね。読図走の練習はだれでもやってますが、後輩たちをみてるいまいち効率的にできてないな、と思うことがあります。そこで僕がいつも気をつけていることを紹介します。
まずはサムリーディングで現在地のあたりを押さえておきます。
次に視線を上げて向かう方向を決めます。これによりナヴィゲーションの負荷を減らし(=安全に進める区間を準備する)地図を読むための時間を作ります。またオリエンテーリング中に走りながら地図を読むにはある程度走りやすい地面を選ぶ必要があります。
で、今把握している情報を整理し、欲しい情報を考えておきます。(例えば、この沢を越えた先のヤブをどこで切るべきかの情報が欲しい、とか)
ここでようやく地図を見て必要な情報を拾います。一度では読み切れないことが多いので、1秒程度の読図を数回繰り返して必要な情報を得ます。
ただ漠然と地図を読もうと思っても情報量が多すぎて処理できないので、準備をしておくことと細かく分けることが大事ですね。先読みじゃなくても走りながらナヴィゲーションできるようになれば止まる回数がぐっと減るはずです。1レッグで5秒減らせるだけでも100秒削れます。すごい。
5. ルートプランは時間をかける
ルートプランは重要です。というか、僕はルートチョイスが苦手なので時間をかけるようにしてます。
ミドルでも最近はロングレッグがあることが多いですよね。まあロングレッグがなくても勝負レッグみたいなものがいくつかあると思います。そういうレッグではじっくり考えて選んだ方が速い、ということが少なくありません。
自分の場合、ショートレッグはコンパスでバシッと決めますが、300m以上になってくるとしっかり右、真ん中、左の3つのルートは最低限考えてからチョイスをするように心がけてます。読み切れてないときはコントロールで止まってでも読みます。こういうとこはゆっくり丁寧に考えた方が結果的に速いです。ミスはなくてもちょっとしたルートの違いで10秒くらいすぐ違ってくるんですよね。自分がミスしない範囲でできるだけ登りや距離が少ないルート、走りやすいルートを選びましょう。
6. コントロールが見えてから着くまでの時間を有効活用する
特別にヤブかったり隠されたコントロールでなければ、20〜30m手前からフラッグが見えます。この距離だとだいたい10秒くらいかかると思います。読図走ができる前提なのですが、アタックの10秒でかなりの地図が読めると思いませんか? というかかなり読めるようになるまでトレーニングしてください()
1レッグ全部プランまでするのは厳しいかもしれませんが、それまでの先読みと合わせてルートチョイスと脱出方向くらいは決めておきたいですね。
実はコントロールにつく前に脱出を考えておくのはすごく重要で、コントロール手前で脱出方向が分かっていればより広い視野で見ることができ、スムースに脱出できます。脱出方向が90度違った!とかも防げるわけです。
7. 他のランナーを利用する
こいつクソかよ、とか思わないでください。追走するんじゃなくて、利用するんです。必ずしも他の選手が正しい方向に進んでるとは限りませんが、自分の行き先と似ていたら利用します。前を走る選手がヤブに引っかかっていたり崖ですべっていたらそこが通りにくいと分かりますし、難なく走っていたらその後ろをいけばいい。アタックのあたりで前の選手が方向を変えたらコントロールが見えたのかもしれないので自分でも確認します。結構使えますよ。
ただし忘れてはいけないのは、ナヴィゲーションの主体は自分であること。相手はあくまでも利用するだけで依存してはいけません。これを気をつけるだけで快適に追走ができます。
8. コンパスを使わないで整地する
コンパスなくても整置できるようにしましょう。整置するためたけにコンパスを見るのは遅いです。針が動くのを待たないといけないですから。もちろんコンパスを使った方がいい場合もありますが、コンパスを待っていられない場面も多いはずです。針が止まるまでの0.5秒が惜しい人は整置練習しましょう。
昔僕が整置練習とか直進練習に使ってた地図がこれです。
これ使って部屋でくるくる回ってました。インドア派なので。
9. リスクマネジメントはしっかり
走れない人にありがちなんですが、がんばって走りすぎてあまり考えてなかったからミスったという人。よく走る人にもいますが。
体力の有無にかかわらず、自分のできることとできないことを把握してルートプランを立て実行するのが大事ですよね。
1分1秒の争いをしているという意識を持ってできるだけミスがなく速いルート取り、ナヴィゲーションをするべきです。そうじゃないと走れる人たちに勝てません。
リスクマネジメントをしろというのは決して安全なルートを通れというわけではありません。全体を通してもっとも速くなるようなルート、プランをしてほしいのです。僕にもまだ難しいんですが、まずは自分がどういうスキルを持っていて、どれくらいの時間をかければどれくらいの精度で実行できるかを知っておきましょう。そこから自分のスタイルとか、得意不得意とかが分かってくると思います。
10. 応援してもらう
ネタが尽きてきたのでこんなのも入れときました。実際応援してくれると速くなりますからね。
おわりに
以上、10の方法でした。全部やったら5分くらい速くなるでしょ(雑) いつもうちの後輩たちに言ってることになっちゃったかも。
オリエンテーリングの練習と言えば、走力トレ、地図読み、実践練習くらいしかやったことないかもしれませんが、こういった1秒を削る練習をしてみると分単位で速くなるはずです。でもここに書いたことだけじゃなくて自分で考えて削れるとこを探すのも必要だと思います。闇雲に練習するんじゃなくて、きちんと自分と向き合ってください。
最後にもう一回言っておきますが、これをマスターしたからといって走らなくていいわけはではないです。ちゃんと走ってね。
番外編 11. 練習は裸足で走る
騙されたと思って靴脱いでみよう。
おまけ(OCADのはなし)
OCADのことを書いてほしいと言われてる気がするのですこしだけ。
最近はほとんどOCAD触ってないので昔部内誌に載せた内容そのまま抜粋しただけの内容です。読んだことある人は飛ばしてくださいな。OCADのノーマルモードで透明を設定したときの話です。簡潔にいきますよ。
ノーマルモードでは色の画面(ここではカラーテーブルと呼ぶ)から透明を設定できます。デフォルトでは100になってます。
数字が0に近づくほとその色が薄くなり、下にある色が濃くなります。下にある色とは、カラーテーブルでより下にある色のことです。
こうやって設定すると…
こんなかんじでシアンが薄くなって透けました。
透明の設定をしたときに表現される色がどうなるかを調べると、一般的に以下のようなことが言えると考えました。まずはカラーテーブルのそれぞれの数字を文字で置き換えます。
で、Tiが表現される色のCMYKとすると一般式はこんな感じです。
ぜひ透明を使ったお絵かきに応用してください。
いや、こんなことはどうでもいいんです。色を複数用意して透明を同じに設定してみてください。試しにシアンとマゼンタの透明の値を同じにしてみました。
どうですか?透明になりましたか?
実はこれ、シアンとマゼンタが重なってるところが透明にならないんです。いろいろ試してみると、上下で隣り合わせの色が同じ透明の値が設定されていると全く透明にならないということが分かります。なので近い透明の値を設定したい場合、全く同じ値ではなく少しずらす必要があります。こんな感じです。
こうやって設定するとちゃんと透明になってくれます。
透明の値が同じだと透明にならないのはおそらくOCADのバグだと思われます。みなさんOCADでお絵かきをするときは気を付けてください。あ、地図描くときは別に気にしなくていいですよ。OCADは奥が深いなぁ。
さすがにざっくり書きすぎて何が起こってるのかついてこれないと思うので、興味があったら聞いてくださいな。
おわりに②
なぜか二部構成になってまとまりがなくなってしまいました。よくばりすぎ。ほんとは軽量化についても書きたかった!けどまた何かの機会で。
オリエンテーリングで1秒を削るのも、ファストパッキングで1gを削るのも似てる気がします。こういうのが好きなんでしょうね。
この企画、読んでて面白いし自分で書くのも楽しかったからぜひまたやりたいな。
それでは。