巡航を上げよう
こんにちは。
京都大学オリエンテーリングクラブ2回生の二俣真です。足は速いけどミス率やばい人として認識している人が多いかもしれません。最近の実績としてはICL2020ME5位があります。ICLの巡航ではあの小牧選手に勝ちました。(レースは普通に負けました) あとオリエンではないですが烏帽子スカイランVK部門3位、SKY部門2位入賞などもしています。(これはどっちも小牧さんに勝ってる)いきなり自慢話から入りましたが記事の信頼度を上げるためです。小牧さん引き合いに出してしまい申し訳ありません。
今回アドベントカレンダーの23日を担当することになり、何を書こうかなあと考えたときに普段の練習内容などを人から聞かれることが多いなあと思ったので「巡航を上げる」と題して記事を書くことにしました。参考になれば嬉しいです。(本当はオリエンテーリングが上手くなるにはみたいな記事が書きたかった...)
1.巡航って大事?
大事です。いやミス率を下げる方が...みたいのは別にいいです。どっちの方が大事かという話ではなくどっちも大事です。ところで「巡航を上げよう」というタイトルをつけておきながら「走力をつけよう」というタイトルのほうが適切な内容になりそうな予感しかしていません。走力以外の要素で巡航を上げる方法については宮西さんの記事が参考になると思います。(アドベントカレンダー2016/12/9に記載)
月間走行距離50kmでもインカレ入賞する10の方法 - オリエンティア Advent Calendar
2.普段の練習
2.1そもそもの練習量
まず月間走行距離を決めてその後1週間スパンで練習を決めるのがいいと思います。1週間スパンでメニューを決めることを負担に感じる人はまずはどの曜日に走るかだけ決めるといいと思います。練習は基本的にはレスト、低強度、中強度、高強度の練習の組み合わせです。主に低強度=jog、中強度=ペース走、LSD、高強度=トレラン、ショートインターバル的な考えでいいと思います。レストが低強度の練習に置き換わってくるとよさげ。以下は二俣選手の1週間の練習例です。参考にしてください。
5月下積み期(5/1~5/10) コンセプト:山に入る
ひたすらトレランをして山の足を作る
読図走も欠かさない
読図走11k 蹴上げトレイル |
読図走11k 蹴上げトレイル |
読図走10k 銀閣寺道トレイル |
読図走11k 蹴上げトレイル22分40 |
読図走11k 蹴上げトレイル20分59 |
読図走10k ロード キロ4分20~30 |
読図走10k 銀閣寺道トレイル |
動画撮影11k 東山 |
読図走7k 比叡山 |
ペース走14k ロード 前半4分15~20 後半3分50~4分10 |
8月追い込み期(8/15~8/24) コンセプト:距離を積む(毎日20k程度)
しっかり距離を積みたいけど惰性ジョグで稼ぐのは微妙→二部練にする
大会や練習会の調整は考えない(前日は軽め)
練習会:真夏のスプリント練習会 |
練習会:真夏のロング練習会 |
読図走20k |
朝 読図走10k 夕 400×8(68-72,レスト45s) 75,66,73,71,72,70,71,67 |
朝 トレラン東山12k 夕 吉田山内周×6,秘伝×6(76,82,81,82,81,73) |
朝 読図走8k 夕 8000ペース走(~4k,キロ4分15,~8k,キロ4) |
読図走11k |
大会:ゴーン杯 |
ジョグ18k キロ4分40前後 |
レスト |
10月調整期(10/9~10/18) コンセプト:インカレロングに合わせる
調子が悪ければジョグで様子を見ることにする
1回はトレランを入れる(不整地に慣れる)
読図走をしっかり取り入れる
11kペース走 キロ3分55~4分 |
ジョグ11k |
ジョグ11k |
ジョグ10k |
蹴上げトレイル12k |
ゆるトレ11k |
読図走10k キロ5 |
読図走10k 1000×1 3分12 |
ジョグ6k キロ4分30 |
インカレロング ME5位 |
上記の練習が参考にならない人は以下を参考にしてみてください。(これらはこうするべきだという練習では決してありません。こういう練習もありじゃない?という提案程度に捉えて貰えると助かります)最初はきつい練習をすることよりも距離を少しずつのばす事、走るのを習慣づける事の方が大事だと思います。
月250km想定
曜日 | メニュー | 走行距離 | 曜日 | メニュー | 走行距離 | |
月 | 速めのジョグ | 10 | 月 | トレラン | 12 | |
火 | トレラン | 12 | 火 | ジョグ | 10 | |
水 | レスト | 0 | 水 | レスト | 0 | |
木 | LSD | 15 | 木 | LSD | 14 | |
金 | ジョグ | 8 | 金 | LSD | 14 | |
土 | ペース走 | 10 | 土 | 1000×2 | 8 | |
日 | ジョグ | 5 | 日 | レスト | 0 |
月200km想定
曜日 | メニュー | 走行距離 | 曜日 | メニュー | 走行距離 | |
月 | ジョグ | 8 | 月 | ジョグ | 5 | |
火 | LSD | 12 | 火 | 速めのジョグ | 8 | |
水 | 速めのジョグ | 8 | 水 | トレラン | 10 | |
木 | レスト | 0 | 木 | レスト | 0 | |
金 | トレラン | 10 | 金 | 速めのジョグ | 8 | |
土 | レスト | 0 | 土 | ジョグ | 5 | |
日 | ジョグ | 10 | 日 | LSD | 12 |
月150km想定
曜日 | メニュー | 走行距離 | 曜日 | メニュー | 走行距離 | |
月 | ジョグ | 5 | 月 | レスト | 0 | |
火 | トレラン | 12 | 火 | 速めのジョグ | 7 | |
水 | レスト | 0 | 水 | LSD | 15 | |
木 | ジョグ | 7 | 木 | レスト | 0 | |
金 | 速めのジョグ | 7 | 金 | レスト | 0 | |
土 | レスト | 0 | 土 | ジョグ | 8 | |
日 | LSD | 10 | 日 | 速めのジョグ | 10 |
月100km想定
曜日 | メニュー | 走行距離 | 曜日 | メニュー | 走行距離 | |
月 | レスト | 0 | 月 | レスト | 0 | |
火 | ジョグ | 5 | 火 | トレラン | 10 | |
水 | LSD | 12 | 水 | レスト | 0 | |
木 | レスト | 0 | 木 | レスト | 0 | |
金 | レスト | 0 | 金 | ジョグ | 5 | |
土 | 速めジョグ | 8 | 土 | 速めのジョグ | 6 | |
日 | レスト | 0 | 日 | 速めのジョグ | 6 |
2.2不整地練(トレラン)
近くに山ないって人はどんまいです。積極的に取り入れたい練習ですね。僕はトレランで登りが強くなりました。練習での鉄則は「歩かない」ということです。どんなに遅いペースであっても走り続けましょう。あとはフォームにメリハリをつけることを意識しましょう。登りと平地と下りで走りの切り替えが出来てないのはアウトです。例えば登りの場合、踵を接地するかどうか、どれだけ体を倒すか、どの程度のピッチで刻むか等考えることはいくらでもあります。なんとなく走っていても速くなりません。トレランをする際はいつも以上に体の使い方をしっかりと意識しましょう。
あとはトレランのTTコースを設定するといいと思います。ゆっくり山を走るだけでも十分ですがやっぱりぎりぎりまで追い込むのはやった方がいいです。フォレストでのペース感覚も養えると思います。
2.3平地練
2.3.1ペース走・ビルドアップ走
辛い上にたいして面白くない練習の代表がペース走だと思います。それに加えて競技場で練習が出来るわけでもないしペースメーカーも難しいのでなかなかするのは大変です。オリエン中はペース一定じゃないからやる意味ある?ってのもあるかもしれません。個人的にはトレランの方が大切だとは思いますがやった方がいいと思います。ジョグしてたら気持ちよくなってペースどんどん上がるなあって時がたまにあると思いますがそんな時はペース走のチャンスだと思いましょう。時速15km(キロ4)で8kmのペース走がこなせるレベルの走力があるといいのかなあという感じです。(オリエン中フォレストでキロ4切ることはそこまでないでしょって感じ)
2.3.2ショートインターバル
1000×5や400×8等といった短い距離を速いペースで走る練習です。きついですがやりがいがあるので嫌いじゃないという人も多いと思います。ここで質問ですがインターバル走のセット間(繋ぎ)はどうしていますが?ジョグで繋いでいるという人と数分その場で休むという人 がいると思います。ジョグで繋ぎましょう。足を止めるのはレペティション走といい、全力→休憩というのを想定した練習になります。インターバル走では繋ぎのジョグでなんとか息を整えて次のセットに行くという部分が大事です。歩くのも微妙です。走り終わった瞬間から止らずにジョグです。
2.4jog
根元さんのjogのすすめを読みましょう。(アドベントカレンダー2019/12/23に記載)
jogのすすめ - オリエンティア Advent Calendar
僕からはLSD(Long Slow Distance)を紹介します。LSDはjogとは違います。楽だけど辛いとかいう謎の練習です。大事なのは絶対にペースを上げないということです。地面から反発をもらわないつもりで走りましょう。Youtube等に解説動画も上がっているので詳しくはそういうのを見て下さい。どっちかというと複数人でぶらぶら走る感じでやるといいかも。
3.レース当日
3.1レース前
ウォーミングアップしっかりしていますか?ジョギングと流しをしている人は結構見受けられますがそれ以外のアップも軽く紹介します。僕自身は整理体操→ジョグ→動き作り→流し→ジョグ→流しという流れでアップをしています。何が言いたいかと言うと整理体操と動き作りもありじゃない?ってことです。(するかしないかは置いといて知識としては知っといてほしい)整理体操は別にラジオ体操でもいいと思います。動き作りについてはこれもYoutubeとかを参考にして下さい。あとは流しについてですが全力で何本もやってる人いませんか?疲れるだけなのでやめましょう。個人的には8割くらいで3本前後がおすすめです。
3.2レース中
3.2.1平地
平地は休む区間である、というのが僕の考えです。何言ってるんだこいつと思った人もいるかもしれませんが、「ある程度のペースで走りながら息を整える」ということはある程度練習をしていれば出来ることだと思います。ここで大事なのはこの区間で休もうという意識を明確に持ちながら走ることです。この走りながら休むというのはショートインターバルの繋ぎのジョグやトレランのずっと走り続けることと通ずるものがありますね。練習でやってないことが本番で出来るわけないので普段の練習でも走りながら休むという意識を持ってみるといいと思います。
3.2.2登り
走った方がいいと思います。僕は登り終わった後にすぐ走り出せるかどうかを意識して登りの出力を決めている気がします。レース序盤だから走れるけどあえて歩こうとかは全く考えません。最初は頑張って登って登り切る直前に息を整えるためか歩き出す人がいますがやめたほうがいいと思います。登り切る=平地or下り区間に移行する=必然的にペースが上がる、なので登り切る直前は走っていい流れで平地に入ることを意識しましょう。(自転車のギアを1から6に上げたら一気に足に来るしスピード上がらないよね?ってことです)
3.2.3下り
ちょこちょことすり足で下る人と広いストライドで大きく下る人の2タイプがいる気がします。どっちがいいのかは分かりません。上半身を上手く使うことが大事な気がします。上半身はリラックスして下半身の動きに委ねる感じがよさげ。(伝わってる?)
4.諸々のおすすめ
4.1スカイランの大会に出よう
最近スカイランの大会に出場しました。アップ率10%なんか緩い方です。翌週のオリエンの登りが平地のように感じました。(さすがに言い過ぎ)登りの耐性をつけたい人は是非出場してみるといいと思います。あとは単純にスカイラン楽しいです。出走1時間前にすき家で朝食食べてる時は「なんで申し込んだんやろう?帰りたいなあ」と思ってましたが走り終わると「やっぱり来てよかったなあ」となりました。おすすめです。
4.2記録をつけよう
トレの記録つけてますか?絶対につけた方がいいです。僕は以下の感じでつけています。参考にしてください。
月 | 日 | 練習したか | 開始時間 | 練習の種類 | メニュー | 感想 | 距離 |
8 | 1 | ○ | 18時 | 個 | ジョグ ナビ旅Oエキストラ | GPS反応悪いなあ | 11.5 |
2 | ○ | 11時 | 個 | ジョグ 銀閣寺トレラン | 水うめえ | 12 | |
3 | ○ | 10時 | 個 | ジョグ 1000×1 3分15 | あつすぎ | 11.5 | |
4 | ○ | 忘 | 個 | 蹴上TT 18分31 | ベスト更新 | 12 | |
5 | ○ | 忘 | 個 | 1000×3 3分09,3分05,2分47 | いい感じやんけ | 15 |
5.まとめ
広く浅くいろんな事を紹介したつもりです。もしかしたら薄っぺらい内容になっているかもしれません。もし気になることがあれば会場などで声をかけて頂けると嬉しいです。巡航以外でも勝てる選手になりたいなあ。